寒いのは・・・
「寒いです!」
俺は台所にあった、囲炉裏の前に張り付いた。
「もう、ヒロユキくん、城代なんだからもっと威厳をもたないと。」
ミユキは笑いながら食事の準備をしていた。
「俺、寒いの苦手で・・・」
俺は囲炉裏で沸かしていたお湯をつぎ、ゆっくり飲む。
「そうなんだ、じゃあ、この時代は厳しいよね。」
「うん、隙間風は入るし、暖房は無いからね。」
「でも、マサムネくんは薄着で外を走ってるよ。」
「あれは違う生き物だから。」
「もう、そんなこと言って。」
其処にユメもやってきた。
「お兄ちゃん♪」
ユメは俺に抱きつき、甘えだす。
ミユキが奥方を名乗ってから、ユメはよく甘えるようになっていた。
「あーユメちゃん、離れなさい。ちゃんとした距離をとるの!」
ミユキは怒るが
「寒いから仕方ないよね、お兄ちゃん。」
「寒いのなら仕方ない!」
「ヒロユキくんも認めない!
女の子は恥じらいをもたないとダメだよ!」
「お兄ちゃんならいいんです!」
二人は睨み合うが、
「ハイハイ、喧嘩は止めて、仲良くね。」
「「はーい。」」
俺が止めるとおさまってくれる。
元々、俺がいない時は二人は仲が良いのだ、俺にユメが甘えて来るのが真面目なミユキからは、はしたなく見えるらしく、注意をしているだけなのだろう。
俺がそう考えていると、城内に勤めている兵士が台所に走り込んできた。
「城代、やはり此処でしたか。
今、信繁様より使者が参っております。」
「やはりってなに!
まあいいか、信繁さまから?わかった、広間に通してもらえる?あと火鉢を用意して、使者さんにもちゃんと暖まってもらって。」
「はい、わかりました。急ぎ準備します。」
兵士は駆けていく。
「ミユキさん、使者さんに暖かい食べ物を出してあげて。」
「わかった。」
「じゃあ、俺は着替えてくるよ。」
俺は使者を出迎える為に着替えに行こうとする。それにユメもついて来ようとして・・・
「ユメちゃん何処に行くのかなぁ~
ユメちゃんは此処でお手伝いするのよね?」
ミユキに捕まっていた。
「使者殿お待たせして申し訳ない・・・って信豊かよ、着替えて損した。」
「いやいや、父上からの使者としてなら最上級だからな!俺より下には着替えて、俺には着替えないってどんな理由だよ!」
「いや、信豊だし、いいかなと。」
「いいけど、良くないからな!」
「どっちだよ!
まあ、いいや。それで信繁さまは何の用事?」
「はぁ、お前だしな・・・少し義信さまの相談に行ってくれないか?」
「相談?」
「三河の運営が上手くいってないようなんだ。
支配したばかりだから仕方ない所もあるんだが、後継者が手間取るのは他の家臣に示しがつかないと信玄公が心配なされてな。」
「それで俺に行けと?」
「お前なら何とかするだろうと言われて父上が引き受けたんだ。」
「うーん。」
俺が悩み始めたので信豊は心配し始める。
「お前でも無理なのか?」
「うん、この寒さだし、三河は遠いかなと。」
「・・・待て、お前が心配しているのは寒さだけなのか?」
「うん、そうだよ。」
「・・・なぁ、何とかなる手はあるのか?」
「三河だしね、どうとでも出来ると思ってるけど。」
「なら、行くぞ!」
「ちょ、ちょっと!外寒いよ!」
「うるさい、冬が寒いのは当たり前だ!さっさと行くぞ!」
「あーわかったって!でも、ちょっと待ってくれよ、留守にするなら準備がいるからな。」
俺は準備をするが・・・
「ミユキさん、また三河に行ってくるね。」
「・・・」
「ミユキさん?」
「いや!」
「いやって・・・」
「だって、こっちに来てからほとんど一緒にいないんだよ。」
「いや、まあ、仕事だし・・・」
「今回は戦争じゃないんでしょ?なら私もいっしょに行く!」
「そんなこと言っても・・・」
「行くからね!」
ミユキが意見を変えないので信豊に説明して一緒に行くことにしてのだが・・・
それを聞いたユメも一緒に行くことになった・・・




