領内
俺は領民達と開墾を行っていた。
ミユキのお陰でみんなが協力的になっており、しんどい開墾も文句1つ言わずに行ってくれている。
そして、酒作りも順調で商人も尾張、美濃、相模、駿府と少しずつ遠くからも買いに来るぐらいにはなってきた。
そして、その際に米を買い込み、酒の材料とし、更なる増産をはかる。
資金が潤沢になって来ているので俺はアルコールの蒸留を実験してみる。
これが完成すれば消毒薬として、様々な事に使えるだろう。
・・・ついでに酒の種類も増えそうだが。
そして、ミユキも研究を始めた、どうやら昔見たテレビの知識でペニシリンの作成に挑戦しているらしい、今は機材を鍛冶職人と相談して作っているようだ。
是非とも上手くいって欲しいものだが、果たして、出来るものなのだろうか。
俺やミユキが研究や開発に時間を費やしているなか、マサムネは1人の少年と手合わせをしていた。
「その程度か!ほらかかってこい!」
「たぁ!」
「いい太刀筋だが、まだまだだ!」
マサムネは弾き返す。
何度か相手をすると少年は敗けを認めた上で頭を下げて願い出る。
「どうか、僕を弟子にしてくれませんか!」
「弟子!」
「はい!先生のような強さが欲しいのです!」
「おまえ、親はどうした?」
「もう、いません!だから剣の道で生きていこうと思い村を出たのです。だから、お願いします!僕に剣を教えてください!」
真剣な眼差しをマサムネに向ける。
「俺は武人だ、俺の弟子なら戦場に出ることもあるが覚悟は出来ているのか?」
「はい!道半ばで倒れても構いません!どうか僕を強くしてください!」
「いいだろ、お前名前は?」
「前原景久と名乗ってます!」
「そうか、景久今日からお前は俺の弟子だ、しっかり鍛えてやるから逃げ出すなよ!」
「はい!」
景久のちの伊東一刀斎と呼ばれる男がマサムネの弟子となった瞬間だった。
「ヒロユキ、俺の弟子の景久だ。よろしくな。」
「はじめまして、先生の弟子にしていただきました。前原景久と申します。以後お見知りおきを。」
「マサムネ、弟子を取ったのか?」
「ああ、いいセンスをしているんだ、鍛えたら強くなるぞ。」
「へぇ~・・・あれ?前原景久何処かで聞いたような・・・
まあ、いいや、景久、俺はマサムネの親友のヒロユキだ、こっちはミユキさん、この子がユメちゃんだ。
基本的に俺達は一緒に食事をしてるから景久も一緒に食べよう。」
「そんな、弟子の僕が一緒になんて!残り物をいただければ充分にございます。」
その言葉にミユキが怒る、
「残り物なんてあげません!ちゃんと食事をとらないと強くなれないよ。
それとも、私が作るご飯は食べれないの?」
「い、いえ、奥方様がお作りになる、料理を食べるのなんて恐れておおい・・・」
「ねえ、ヒロユキくん、聞いた?奥方さまだって♪」
奥方と呼ばれて嬉しそうだった。
「ミユキさんそこじゃないからね、景久ミユキさんが言った通り、食べる事は大事だよ、まだ君は体を作る歳なんだからね、本当に強くなりたいのなら、一緒に食べよう。
それにマサムネの弟子だろ?
それなら家族も同然じゃないか、遠慮なんてするなよ。」
「そうだぞ、俺達に遠慮なんていらないからな、もし恩に感じる事があるなら此処にいる三人を守ってやってくれ。」
「・・・はい、必ずお守り致します。」
景久は優しくされた事に感動で涙を浮かべながらそう答えた。
俺達の仲間が増えた瞬間だった。
それからはマサムネが丁寧に指導を行い、みるみる上達する上、栄養を考えた食事をとることで体も引き締まったものになっていく。
その強さに弟子になって1ヶ月でマサムネ率いる部隊の副隊長の座を手に入れていた。
そして、空に雪が舞い散る季節がおとずれた。




