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16話 筆記試験

 ーーー受験会場ーーー


 オルスはバーンと一緒に受付を済ませ、筆記試験の会場内の席に座っている。

 何故、オルスが受付を済ませれたかと言うと、バーンが「こちらの手違いで受験申請ができなかったのですが、よろしいですか?後ほど追完をするのですが。」という王子の権力を振りかざしたためである。

 逆らう者の家は全て、一発ファイアーで消し去られるという噂は王国中で常識となっている。

 そういうことがあって、オルスが一人で受付をしていたら弾き出されていただろう、厳格な受付をあっさりと通過出来たのだ。


 会場内には色々な受験生がいてる。

 席は満席。

 難しそな本を読んでいる人、トイレで席についてない人、沢山の人達が場を賑わしている。

 オルスはそれを眺めながら、ニヤニヤしている。


 トイレから一人の受験生が帰って来た。

 その人はあからさまにズボンの前を濡らしている。

 手を洗う際についた水の量では説明はつかない。

 説明をつけれる人がいればどう説明するか楽しみなくらいだ。

 凄まじく濡れていて、誤魔化そうとした形跡すらない。

 そして、会場内に自分の席がないことに気がつく。

 会場内の一番前まで歩き、「あの、席がないんですが。」と試験官に言っている。

 


 「では、試験についての注意事項を言います…」(試験官)


 「始め!」(試験官)


 その合図が終わってから、トイレの神様への即席の机と椅子を用意され、試験開始10分後にトイレの神様は試験を始めた。


 一方その頃、オルスの手は止まったままである。

 魔法陣の構築理論という難しめの問題や、魔法それぞれの相性という簡単なものまで問題として出題されているが、オルスにとってはどうでもいいことだった。

 全て分からないからだ。

 気づけば、周りの受験生はカチカチとイライラする筆音を響かせている。

 オルスだけがペンを持たないでいる。

 そんなオルスを見て、トイレの神様は小馬鹿にニヤニヤしている。



 「はい、そこまで!」


 筆記試験は終わった。

 オルスがペンを持つことすらできなかった筆記試験は終わった。

 試験官は試験用紙を集め始め、オルスの真っ白なゴミ同然の用紙も仕方なく収集した。

 トイレの神様の答案用紙もほぼ白紙。


 「次は実技試験ですが、お昼休憩を1時間取ります。1時間後には、学園の中心にある園庭に集まってください。」


 試験官の人はそう言うと、受験生のほとんどは会場から出た。


 「オルスさんは、どれくらい書けました?」(バーン)


 「自信はないですね。あまり書けなかったです。」(オルス)


 「まぁ筆記テストは、あまり意味のない試験なので実技試験が良ければ受かりますよ!」(バーン)


 「そ、そうなんですか!?それで、実技試験というのは?」(オルス)


 「魔法と剣術ですよ!」(バーン)


 「プチファイアで受かりますかね?」(オルス)


「…いけますよ!」(バーン)


 オルスとバーンは筆記試験の出来具合について話をし、次の実技試験についての話もした。

 オルスは話をする度に不安になり、顔がげっそりとしてしている。

 不正に受験している身でありながら、本気で試験に挑んでいるのだ。


 そして、トイレの神様も会場から出たすぐのところで仁王立ちしながら硬直している。

 明後日の方角を見ながら。

 そんなトイレの神様の横を、試験について話しながら歩いている大勢の受験生達が通り過ぎて行った。

 


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