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9話 魔法は存在したんだ。

 


 オルスは、城の裏口の前に立っているバーン、その横にいる屈強な男性と対峙している。

 バーンの横にいるのは、ガンズ王。

 つまり、バーンの実の父である。

 しかし、オルスはニワさんが父親と思っている。

 オルスは自分なりの答えが欲しかった。


 (これは、誰なんだ?王ではない。しかし、権力を持っている。そもそも、この男の子はなぜ、自分の父と離れることになったんだ!?俺が水浴びしていたからだ。なるほど、この庭師らしき父は、可愛い息子に庭園の所有権を譲渡したから息子はそれを自由にできるんだ。そして、この屈強な人は男の子のボディーガードというわけか。読めてきたぞ・・・。) 


 オルスはその鋭い洞察力で間違った答えを導き出した。

 

 オルスは、バーンに気に入られていることが分かり、庭師を引き受けることにした。


 「やらせてもらおう。」


 王に対する言葉使いとは思えない。

 オルスも王だと分かっていたらこんな言い方はしない。

 あくまで、ボディーガードに対して話しているつもりだった。


 ガンズ王は、少し眉間にしわが寄り手が震えていた。

 ちょっとだけ怒っているのだ。

 顔は真っ赤になっているが、ちょっとだけしか怒っていない。


 

 ゴッホン!!(ガンズ王の咳込み)



 「では、私が直々に教えましょう。庭師というものを。」


 ニワさんは、このままではバーンの計画が崩れると思い、”王直々に庭師という素晴らしい職業について教えましょう”というニュアンスでオルスに言った。


 「え、直々に・・・そんな、ありがたいんですが、こんなどこの馬の骨かもわからない私に貴重な時間を割いてまでも、、」


 「いいんじゃよ。久々に良い目をしている少年を見て、ワシも嬉しいんじゃよ。」


 オルスとニワさんの茶番。

 それを見ているガンズ王は、顔から湯気が出ている。

 

 (なんだこのガキは!この私には失礼な言葉を、あのニワじじいには尊敬の眼差しを。)


 ガンズ王は、怒りを抑えることに全ての魔力を消費した。

 治癒の魔法。

 治しても治しても、湧き出てくる怒りの感情。

 その感情を完全治癒するには、治癒の魔法ではなく忘却魔法が効果的なのだが、ガンズ王はその魔法を使えない。

 というか、忘却魔法は古代からの言い伝えにすぎない、皆はそう認識しいている。

 ガンズ王は全ての魔力を使い果たし、目がクラクラして城の中に戻っていった。

 何も言わずに。



 

 「さっそくじゃがが、、、庭の手入れについて教えようと思うたが、バーンがおぬしと遊びたがっているようじゃ。明日からにしよう。今日はパーティーとしようじゃないか。バーンが帰ってきたお祝いじゃ!パーティーが始まるときには呼びに行くから、バーンと遊んでいなさい。」


 ニワさんは、バーンの表情によるサインを見逃さなかった。

 バーンの顔は”そうじゃない”という表情しか現れていなかったが、ニワさんには分かるのだ。

 そして、今日この城で会合があることを思い出し、その会合に参加させようとした。

 ちょうど、庭師としてニワさんも呼ばれている。

 会合は、西ラグラの権威を示す場でもある。

 王国一の庭師として、剪定の手法を他国に知らしめ、西ラグラ王国の圧倒的な文化の違いを見せる。

 というのが、ニワさんの今日の任務である。

 その場で、皆にオルスを紹介しようと企んだ。

 きっと、驚くだろう。ニワさんが庭師の弟子をとったのはオルスが初めてなのだから。


 

 「承知いたしました。では、バーン様と遊びに行ってきます。」


 オルスは男の子の名前を知った喜びから、すぐに名前で呼んでしまった。

 

 

 勝手な行動をとれないオルスは、オモチャのように手のひらで遊ばれている。

 オルスは、あの最善のルートを辿りたいと考えている。


 ”王子と仲良くなり、庭師として働きながらも王子と仲良くし、陰では特訓をしている。そして、数日後に現れる王子の暗殺・誘拐を目論む悪者を倒し、その実績を買われて、王子の側近に就く。さらには、バーンが学園に入学する時にはオルスも一緒にそこに入学し、素晴らしい学園ライフを送る。王子がいるから友達もたくさんできる!”


 という、そのルートに入れば確定演出間違いなしのアレ。

 オルスは従うしかないのだ。

 

 「こっちです」


 バーンが案内する。

 バーンの遊び場というおもちゃランド(部屋)に。

 



 2人が城の中に入ると、屋敷の使用人たちがたくさんいた。

 「おかえりなさいませ。」と一人の男性が言うと、周りの使用人がお辞儀をする。

 オルスもお辞儀をする。

 こういう時に、おどおどしながらのお辞儀返しは、ポイントを稼げるのだ。

 最初は頼りなさそうに見せといて、後でさりげなく実力を見せつけると「オルス様ーー!キャーー!」って言う可愛い女の子が周りにうじゃうじゃと湧いてきて、ハーレム生活突入なのだ。

 だから、この時点での、使用人からの哀れな人を見る目線にも屈しない。

 気にしない。


 オルスはそんなことを考えながら、バーンの後ろをついていった。

 オルスはこれから起こるイベントを楽しみにしていたので、何も考えずにバーンについて行った。

 気づけばバーンの部屋についていた。


 オルスの目の前に広がっていたのは、自分の部屋には無いトロフィーがたくさんあった。

 賞状は捨てられているので、この部屋にはない。


 オルスが目にしたのは、杖だった。

 ”火の魔法A級 バーン”

 と書いてある。


 オルスは、両目から涙が出た。

 魔法が存在したことに今気づいたのだった。

 だが、このタイミングで「魔法を教えてくれ」と言ったら最善ルートから脱線してしましそうでオルスは、魔法は後回しにすることにした。


 「ここが僕の部屋!いいでしょう???」


 バーンは、いい子ぶりながら厭味ったらしく言った。



 「バーン坊ちゃん!!」(世話係)

 「どこをほっつき歩いていたんですか??もう、食事会(会合)が始まりますので、ご案内します。お連れさんも一緒に来てください。」(世話係)


 世話係の女性の名前は、マリー・ジーン。

 年齢不明。50歳かなってバーンは思っている。

 バーンの世話係を好きでしている。


 

 






 

 


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