プロローグ
ドグラシエ大帝国には大学校が五つある。
どれも15歳から18歳までを対象とする三年制の学校だった。
ドグラシエ第五学院と呼ばれ、他国からも注目される学校だ。
そしてここ大都市ラドリシアにはそのうちの一つ、シアン学院がそびえ立っていた。
今年その学院にドグラシエ大帝国四大王子と令嬢たちから密かにささやかれている四人の男子が入学する。
ドグラシエ第一皇子ルードラファス=ドグラシエ、
ザラトラス公爵家長男ルークハルト=ザラトラス、
ハルビライン公爵家次男アルベルト=ハルビライン、
そしてカールシアン公爵家当主リクリライト=カールシアン。
四大王子と言われている理由の一つは身分である。
ドグラシエは王族→公爵→侯爵→伯爵→男爵の順で身分が上であり、公爵家は三家しかない。
つまり彼らは身分が最も高い四人組なのである。
そしてもう一つ。
それは─―顔だ。
黒く短めな髪に真っ赤な目を持つ、寡黙で近寄りがたいルードラファス。
混じりのない白髪に金の目を持つ、温厚で愛想のいいルークハルト。
深い緑色の長髪を一束に結い、明るく話しやすいアルベルト。
そして、明るく天パのはいった長めの青い髪に、紫と青の目を持つミステリアスなリクリライト。
これはそんな彼らの破天荒な物語――