本物のこわいはなし
これは、私の身に本当に起こった怖い話です。
なんだかとても暑い日でした。それに加えて蝉もジージー鳴き立てる、すごくつらい朝でした。私はいつものように、五分後の電車を待ちながら、暇つぶしにスマホでネット小説をあさっていました。ひたすらに暇だったので、ひとり肝試しでもしようかと、適当にキーワード検索で遊んでいました。
みんな知った作品と思いきや、一つだけまだ読んだことがないものがありました。
ちゃんと大体の作品は目を通したはずなのに……思わず私はそれを開きました。
やっぱり、知らない作品で、怖い話、みたいなタイトルでした。どうせありきたりだろうと、あまり期待せずにスクロールしていきました。
めちゃくちゃ誤字だらけな小学生の日記でした。
かえって、これがどうホラーになるのか気になって、私は夢中で読み続けました。
えんどうくんの家に行った……と続くこと実に数十行。全くちゃんとおもしろくなってくれる気配もありません。今のところ、背筋がひやりとしたのは、挙げるとして、ちらほらある、不自然に過去形になっているところだけです。
こんどは負けたくなかった、遊びたかった……不自然な過去形。生きていた頃を忘れまいと書き留めたような。
なぜか心がぞくりとしました。ここで止めればよかったのに、私は読み進めてしまいました。
よくないものの気配を感じつつ読み続けると、急に文字が無くなりました。そのまま少しスクロールすると、なにか書かれていました。
ずっといっしょだよ
眼が凍りついたように、文字から目が離れませんでした。
私が見続けるうちに、文字は少しづつ形を変え、ナニカを形作って、いや、幼い少女の顔へと代わって行きました。
目を離せない私を、その顔は笑っていました。
圧倒的な憎悪をもって、こちらを見ていました。
私はおもわず、全身に力を込めました。
身体は、少しなら自由に動くようでした。
私は、最後の力を振り絞って、前へと、
ーちょうどやってきた電車のま
ずっといっしょだよ
いかがでしたでしょうか。皆様に涼をお届けできれば幸いです。
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