ピアノの彼女
『綺麗なピアノだったなー』
そんなことを考えながら俺は次の日も放課後になるのをただぼーっとしながら待っていた。
「キーンコーンカーンコーン」
その日の終わりを告げるチャイムが鳴り響き、またいつもの静かでどこか寂しげな学校に変わる。
いつものようにけだるけな俺だが、高遠と鳥谷との予定の前に、昨日約束した彼女の元へ向かう。
音楽室に着き、扉の前に立つ。綺麗な音色が聞こえる。
扉を開けると、そこには昨日と同じ綺麗な景色が広がっていた。
彼女はこちらに気づいたが、止めることなく弾き続ける。
俺は彼女のピアノのすぐ横に腰かけ彼女の奏でる音を聴く。
やはりとてもいい音色だと聞き惚れながら彼女の弾く姿を眺めているとすぐに時間が流れていってしまう。
彼女と会話をすることはなく、俺はまた明日彼女のピアノを聞きに来る約束を交わした。
次の日、彼女のピアノを聴くようになった3日目。
俺は彼女に会いに行き初めて彼女自身について視線を向けた。
『君、名前はなんて言うの?』
彼女はピアノを弾くのをスっと止め、おもむろにカバンからスケッチブックを取りだした。
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