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【完結】魔術師は嘲笑の中を足掻き続ける ~嫌われ魔術師は、策謀と陰謀が渦巻く王国で、その嫉妬と羨望、そしてその力を聖女暗殺に利用されるが、それを受け入れ自身も利用することにした~  作者: 成吉灯篭
第一章 魔術師は嘲笑の中足掻き続ける

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幕間54

 幕間54


 ドクン。ドクン。

 心音は不気味にアリアナの身体の中で響き続ける。


 ビチャ。ピチャ。

 身体からこぼれ落ちる血は、止まることなくあふれ出す。


 「さて、ここからどうするかね」

 目の前に立つリリアーナは、こちらに背を向けながら黒色の炎の壁と向き合っている。


 ユラが配置したと思われる炎の壁は、未だに消えずに周囲を取り囲み、アリアナ達の動きを封じていた。

 リリアーナは、その壁を打ち消そうと、既に倒したアリアナの方を振り向くこともなく、様々な方法を試している。


 アリアナは、自身の身体の状態を確かめる。

 貫かれた左胸からは、未だに血が流れており、止まる様子はない。

 手足には力入らず、碌に動かすこともできない。


 だが、魔力は別である。

 自身の体内にある魔力は、まだ十分に残っている。


 最も、その多くは痛めつけられた身体の回復と、生命維持のために使われており、自由に使える魔力は決して多くはない状況であった。


 「解呪!うん、これもダメね」

 アリアナの目の前で、リリアーナは、様々な術を試しながら、ここからの脱出を試みている。

 その様子では、既に倒されたアリアナに対しては、何の注意も興味ないようであった。


 その背中を見つめながら、アリアナは、注意深く動き出す。

 少なくとも、相手に気づかれてはいけない。

 そして、今の隙だらけの相手の様子は。アリアナに主の命令を実行するのに、おあつらえ向きであった。


 身体にある魔力を少しずつ込めながら、術式を展開していく。

 狙いは、リリアーナの首。

 斬首に成功をすれば、彼女の生を確実に止めることができるだろう。


 リリアーナは、こちらの様子に気が付いてはいない。

 その様子を見ながらも、アリアナは、慎重に事を進める。

 少なくとも、ある程度のギリギリまでは、落ち着いてゆっくりと進めていくしかない。


 「さて、どうしようかしら」

 リリアーナは、独り言をつぶやきながら、目の前の壁に様々な術式を試し続けている。

 最も、ユラが放った魔術の強靭さ故か、黒い炎は、魔力が当てられるたびに多少揺らぎはするものの、すぐに強く燃え盛り、侵入を拒んでいた。


 そんなリリアーナを睨みつけながらも、アリアナは、魔力を込め続ける。

 そして、限界を感じた瞬間、アリアナは、一気に勝負に出る。


 「?!なに?」

 慌てたように後ろを振り向くリリアーナ。

 だが、既にアリアナの魔術は発動している。


 自身の身体の回復、生命の維持に回されていた魔力も強引に加えた今放てる最強の一撃。

 急に現れた強大な魔力にリリアーナは、驚いたような表情をこちらに向けている。


 その表情に向けて、アリアナは、魔術を放つ。


 生み出された黒い魔竜は、その口を開きリリアーナに襲い掛かる。


 「死ね!」

 大量の魔力を放出し、既に魔力に限界が見えていながらも、アリアナは、リリアーナに向けて強く力を込めて声を発する。

 同時に、魔竜がリリアーナの身体へと噛みつく。


 「無駄よ!」

 だが、リリアーナは、刀を一閃、アリアナの放った黒竜の首を切り落とす。


 「そのようですね」

 だが、アリアナは、その様子を見ながらも笑みを浮かべる。


 同時に次の一手が発動する。

 魔竜の影に隠れるように放たれていた黒い槍が、魔竜の胴を貫きながら、そのまま、リリアーナの腹を貫く。


 「な、に?」

 リリアーナの驚いた声が響く。


 魔力の残りも少ないが、この好機を逃さぬようアリアナは、動き出す。

 黒い刃を、一気にリリアーナの首を刎ねるべき放つ。


 「ちぃ!」

 だが、リリアーナは、舌打ちと同時に、一気に背後に飛ぶ。


 そして、そのままユラが放った黒い炎の壁へと、胴体に槍を突き刺されたまま、飲まれていった。


 ボシュウ!

 そんなリリアーナを追って放たれた黒い刃は、炎の壁に当たり、そのまま消滅する。


 「逃したか」

 アリアナは、炎の壁を見ながら、そうぼやく。


 すでに血を流し続け、それでも身体を維持していた魔力もほぼ使い切った。

 故に、その身を動かすことは、もう無理だろう。


 聖女の暗殺という、主の最上の命令を達することができなかったのは、心残りであるが聖女には、致命傷を与えられたであろう。

 そのことに、どこか満足を感じながらも、アリアナは、目を閉じた。

 このまま深い眠りに、アリアナは、落ちていった。


 だが、瞬間、その身体に走った感覚が、彼女を強引に覚醒させた。


 主の乱れた魔力。

 その感覚が、アリアナを強引に動かせる。


 目の前には、炎の壁が、未だに燃え盛っている。

 先程、リリアーナが飲み込まれたときのままである。


 そこから感じる禍々しい魔力に、アリアナは一瞬躊躇しながらも、強引に身体を動かす。


 炎は、近づくもの全てを焼き尽くすような、その熱気を感じさせてくる。


 だが、アリアナは、その感覚を強引に振り切り、その一歩を踏み出し、炎の中へと飛び込んだ。


 瞬間、アリアナは、魔力の炎によって身体を焼かれる感覚に襲われた。

 だが、その感覚を自身の持つ残り少ない魔力で押し返しながら、主の魔力を感じる場所へと向かおうと足掻き続ける。


 魔力の炎は、アリアナを押し返そうとより強い力をぶつけてくる。

 アリアナは、その力とぶつかりあいながらも、その一歩、一歩を確実に進み続けた。

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