角砂糖のアソート1/4「ロボット問題」
このページを見た皆さんにお聞きしたいのですが、皆さんは角砂糖を食べた事、食べてみたいと思った事はありますか。私は食べた事があります。親に止められても食べていました。今振り返ってみれば、どうしてあんなに食べたかったのか不思議です。ただ覚えているのは角砂糖を食べた時の不思議な気持ちを感じたのを覚えています。期待通りと言えば期待通りだけども、どこか肩透かしを食らったような、そんな気分を角砂糖が口の中で無くなるまでの間、感じていました。今回は、僕が小説を書こうと考えたけれども、文量が足りずに没になってしまったネタたちをショートストーリー四本として書くことにしました。この小説を読んだ皆さんが、不思議な気持ちになっていただけたなら、僕は満足です。ぜひ楽しんで読んでください。
いつも通っている喫茶店で、いつも食べているモーニングセットを注文し、できるのを待っていると、店のテレビからこんな映像が流れてきた。
「近頃、人間とロボットが知らない間に入れ替わるという問題が頻繁に発生しています。ロボットは、外見は完全に人間に見えるように作られており、記憶もすべて引き継いだ状態で作られます。ロボットと入れ替えられた人間の消息は確認されていません。しかし、ここ最近、あらゆる病院に、差出人不明の新鮮な臓器が大量に送られるという事例が起きています。これはあくまでは推測ではありますが、恐らく今回のロボット問題は、誰も気づかないうちに人間から臓器などといった利用することのできる素材を回収するために行われると警察側は発表しています。皆さんも不審な人に見えるものを見かけたら、速やかに逃げてください」
それは、耳にタコができるほど最近聞いているニュースだった。ニュースの言う通り、今、世界は気づかないうちにロボットと人間が入れ替わるという事件が起きている。入れ替わったことに外見からは一切気づくことはできない。外見も記憶も一緒のロボットなぞパッと見でわかるわけがない。そう、周りの人間は言っている。
モーニングセットが運ばれてくる。ウェイターが軽くお辞儀をして戻る。ウェイターの背中をぼんやりと眺める。俺には分かる。あのウェイターは、ロボットだ。俺には、何故か目の前の人間がロボットなのか人間なのかが分かるのだった。だが俺はそのことを誰にも言っていない。誰にも気づかれないようにこんなことをしている奴だ、もし俺が気づいていることを知られたら一番に消されてしまう。だから俺は目の前の人がロボットかロボットじゃないかがわかるという事を隠しているし、しばらくは隠し続けるしかないと思っている。きっといつか俺と同じような状態の人間が現れてくれるはずだ。解決策を考えるのは、それからでも遅くはない。仮に遅かったとしても、この状況で生き残るために、俺ができることは、その程度のことしかなかった。
私はモーニングセットを食べ終え、食後の飲み物を飲み、喫茶店の外に出た。すれ違う人も、ロボットであることの方が多い。俺は身震いをしながら街を歩いた。いったいこの街はどうしてしまったのだろうと嘆きながら歩いた。
願わくは、どうかこれからもあの喫茶店には通い続けたいので、どうか無事でいたいものだ。俺はあそこの食後に出るレギュラーオイルがたまらなく好きなのだから。
2015年度漫画研究会合同誌秋部誌に提出した作品です。
4つの短編を提出しました。
「ロボット問題」
ミステリーホラーみたいなの物を考えてロボットと人が入れ替わる話を描いていたのですが、話全体の落ちが過去に見た作品と酷似していたため没にしたネタです。