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†聖剣伝説†  作者: 廃人弟子
王国~アースガルド~
9/10

ガーディアン

西国~メタルエンパイヤ~荒れ地



騎馬は隊列を成し、進行する。


「結構来たな。今どの辺りだ?『投擲』」


「今、もう直にエリアEを抜けます」


「そろそろアレ(・・)」が目撃される所だな…」


「投擲!よく見張れよ!皆の者列を崩すなよ!」


「はい!」



「しかし、よくここまで来たな~初の召集が半数もいるのに…」


「まぁ『黒森』と『激流』は畑違いだっただけでしょ?十分戦力だし…いざとなったらアドルフ司令と『拳闘』がいるしな」


「『聖鉄』、『吸血』お喋りが過ぎるぞ!」


「すみません…。」


「司令…またしても魔犬の群れが前方に!」投擲が発見した。


「またか、やれやれ…『黒森』達はたまには休ませんとな…『聖鉄』『吸血』殺ってこい!騎馬を傷つけられたら、かなわんからな…」


「…了解です」「了解しました」


二人は騎馬に鞭を入れ、列の前へと走らせると、しばらく行った所で馬を降りた。


前方には羊くらいはあろうかと言う大きく黒い犬の群れ。歯は口から出るほど大きく、鋭い、鼻は潰れパグのようだ。毛はボサボサで薄汚い、目は淀み、ヨダレを垂らし、走る姿はとてもペットには出来ない醜さだ。その数およそ100。このエリアでは最も低級だが、群れを成しているので注意が必要だ。


『聖鉄』は肩に巻き付けていた銀色の鎖をほどいた。その先にはびっしりと奇妙な文字の書かれた分銅がぶら下がっている。男は黒いフードを脱いだ。背は高く、銀髪で黄色の瞳、白い肌、高く整った鼻、長く尖った耳はこの男が人間ではないことを物語る。


No.22『聖鉄』アリエル・ジュート・ロウはエルフの亜種で信仰心の極めて高い一族「聖人(セイン)族」の1人だった。


ロウはこの鎖を振り回し、唱える。

「解き放て『断罪の聖鎖(ジャッジメント・チェーン)』!!」

鎖は眩しいほどの光に包まれ、太くなり、長くなり、そして、魔犬の群れに一直線に飛んでいく。


しかし、魔犬の群れは止まるどころか、臆することもない。


「シューーーーーグシャ!!」先頭にいた2、3匹を分銅が潰す。

「スットラァイク!!っと」そう言うと、ロウは鎖を引っ張り、左に傾ける。


「グシャ!グシャ!グシャシャシャ…」鎖は左に流れて行き、次々と魔犬を潰していく。


「よーし。サンキュー。聖鉄ぅ~!」吸血は腰にぶら下げた剣を抜いた。

抜いた剣は剣と呼ぶにはあまりに細く、薄い…おまけに刃はボロボロ、長い針と行った方が言いかもしれない。そして、その男は髪は黒くボサボサ、目は力なく、顔立ちは平凡、顔色だけが病人のように青白かった。背丈も普通、体つきもどちらかと言うとやせ型。その風貌はとてもこの国最強の軍隊の一員には見えない。


「さぁて、出番だぞ!ヴァンちゃん!!」「ガリッ!!」

そう言うと、吸血は右手の親指を噛み、血を剣の刀身に塗った。


すると、見る見るうちに、剣が太く、そして輝きを取り戻して行く。


血吸いの魔剣(ヴァンパイア・ソード)発動!!」吸血がそう言い放ち、剣を降ると、ロウによって殺された魔犬の血が刀の尖端に集まって行く。


吸血の前奏曲(ヴァンパイア・プレリュード)!!」吸血が剣を降ると、集まった血が塊となって、斬撃とともに飛んでいく。


そして、魔犬をことごとく切り裂き、血の弾丸によって駆逐していく。その攻撃によって、出た大量の血液がまた剣の尖端へと集まっていく……。


血吸いの魔剣(ヴァンパイア・ソード)はNo.27『吸血』ツペエッシュ・ヘル・ブラドだけが使える上級魔具だった。


「グシャ!グシャ!グシャ!」

「ザクッ!ヒュン!グシャ!」


「相変わらずアイツらの戦闘は品がないな……」アドルフが声をもらす。


「まるで地獄絵図ですね…。そこら中血だらけになりますからね」投擲が答える。



「しかし、この魔犬の一切、回避行動を取らず、突っ込んで来る感じ…十中八九アイツ(・・・)の仕業だろうな……」


「やはり、アイツ(・・・)らですか…厄介ですね…」


「まぁいざとなったらワシがやれば良い話…ハッハッハッ!」



アイツら(・・・)…まだ、どえらいのがいるのか!?』リチャードはアドルフと投擲の話を密かに聞いていた。



~数分後~



「ザシュ!!」最後の一匹にブラドが止めを刺す。

「よーし!仕上げだ!!思う存分吸っとけよー血吸いの魔剣(ヴァンちゃん)!次出番がいつになるか分からないからな。」


辺り一面に飛び散っていた魔犬の血はブラドの剣に集まり、跡形もなくなった。残ったのは犬の残骸だけだった。


「我等が主よ…今日も素晴らしき好敵手と闘う事が出来た喜びを感謝致します…。」隣ではロウがセイン族特有の儀式『祈り』を捧げていた。



「思わぬ足止めを食ったわい…日没までにはエリアDに入りたいからのう…皆の者行くぞ!!」


魔獣との戦闘を終え、一団はエリアDを目指し、速度を上げる。このエリアDは現在アースガルドが最も攻め入っている最前線のエリアである。このエリアの砦の破壊が今回のアドルフ部隊のミッションとなる。


~そして2時間後~


「やっと着いたのう…」


部隊はエリアDの目前にある巨大な岩影に馬を止めた。ここがアースガルドの最前線キャンプとなっている。



「投擲…見えるか?」


「えぇ…バッチリとアレ(・・)が!!」


「ようやく来たな!|待ってろよ!守護機神兵(ガーディアン)!!」


《登場人物紹介》


No.20『投擲』カタパルト・ノクタス

幾戦もの招集経験を誇るベテラン兵士。王国騎士団に入る前は国の護衛部隊に配属していた。常に狙撃用のゴーグルを装着し、大きな体には其処ら中プロテクターを装備している。遠距離からの攻撃を得意とする。


No.22『聖鉄』アリエル・ジュート・ロウ

信仰心の高いエルフ聖人族(セイン)の1人。だが、セイン族には珍しく性格はお茶らけている。そのセイン族特有の魔力を使って操るは悪しき者を捕らえる聖なる鎖「断罪の聖鎖(ジャッジメント・チェーン)」。セイン族にしか扱うことの出来ない聖魔具の1つである。「吸血」ツペエッシュ・ヘル・ブラドとは何回かの招集で仲良くなった戦友である。


No.27『吸血』ツペエッシュ・ヘル・ブラド

愛称「ヴァンちゃん」こと上級魔具の「血吸いの魔剣(ヴァンパイア・ソード)」を扱う兵士。この魔具を扱える事を差し引くと極めて平凡な戦闘力の持ち主である。実は接近戦は苦手。血を媒体として闘うので殺戮兵器(キラーマシン)との戦闘には向かず、対魔獣戦闘員としての招集がほとんど。普段の任務は南側の魔獣の駆除である。

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