第016話_王族の縄張り、初の魔術戦闘_後編
背景の描写が甘い事とか色々時間あれば直していきます。
三人称とか関係なく気分で書くこともあるので、時間を見て直してます。誤字等も直しますので、へんな所あれば教えてもらえるとありがたいです。完結させるつもりで書いてるのでどうぞこれからもよろしくお願いします。
俺は状況を打開すべく、『神威』を発動し、ファブニール横抱きに飛び退る。
高速移動を可能とするこの魔術に対抗できる奴は早々いない。
俺は張りぼての台の天辺に移動し、とにかく退路を確保せねばとあたりを見渡す。
「見違えたよルナル、君が少女だったなんてね」
声がしたほうをみれば、ゆったりと剣を抜き放って、俺の視線の中央にエドガーがいた。
なんとも度し難い勘違いをしてくれているが、俺は早速訂正した。
「何を馬鹿言いやがるか、俺は男だっ!!」
否定いっぱいに叫んだ。
見た目なまじ似合っているために、いやな勘違いをしてくれるものだと俺は改めてエドガーを見る。
こいつ反応したのかと、ルナルは『神威』の速度についてこれる魔術師と断定した。
「そうか…、やはり男なのか」
どこか残念そうに呟いた。
ピクリとこちらの神経を逆なでしてくる言い方に、俺は知らず質問をして時間を稼ぐことにした。
「今の魔術についてこられるとは、どんな魔術を使っているんだ?」
「使っていない。」
冗談だろうと、俺はしたまでの高さを見た。
実際、5m前後、後ろの柱の天辺に俺が立っているのだ。
その横合いは同じ高くらいの柱だ。
俺は魔術補正の速度で壁をけり上に上ったが、エドガーは何もしないで上り上げたというのだろうか
これをを自力で飛んだ問う言うことを鑑みて、ルナルはエドガーを疑う。
そう言えば、俺はエドガー自身の戦闘能力を一切知らなかったと今更ながらに思い至った。
「へー……。ちょっと試してみるか」
魔法使いとしては、錬金術師程度にまけるわけがないという安易さからだった。
ルナルは呟いて懐から、5本の長い棒を投擲した。
それはゆったりとした動作でエドガーのまん前に放り投げたような状態だった。
素人の投げだから、当たり前にまっすぐ飛ばないし、エドガーとの距離も5m弱ぐらいだから、あたるわけがないとエドガー自身も意味もないと断じていた。
「あまい……。 視覚に対象を認識。音声認識Search and destroy 」
ルナルはメガネを装着していた。
これにはある魔術が施された優れものだった。
目でエドガーを捉え、声を出した。反応し、棒の動きに変化が生ずる。
競で鉢合わせしてしまったときの逃走手段を考えないほど、当日まで何もしなかったわけじゃない。
魔動騎士を町から出て、隠れて召喚し、その魔術式をあさったり、対抗手段を講じるために色々余った鉄を利用して作ってみたのだ。
創作の時間ほど、無口なものはないとファブニールは話し相手がないと痛く詰らなそうにしていたがそのおかげもあって、戦闘能力を補うものをいくつか装備しているのだ。
実際、このドレスでは隠すのに苦労した。
そして目の前のこれは、この世界にはない視覚誘導兵器だ。
「なにっ!!」
とっさに飛び退ってエドガーがかわす、違う屋骨に飛び移って逃げたが、それが迫りつつあることに驚いてもう一度飛び退りながら剣で斬り付けた。
それが失敗だった。
ドカン、ドカンと立て続けに5発の爆撃がエドガーを襲った。
火の魔術式、爆炎を施した五つの弾幕。
着弾と同時に爆発する仕掛けを施したものだ。
弧を描いて、それぞれがこのメガネの魔術式『視覚誘導』に捉えた者を逃さない
後は、音の波、つまり風の魔術式を使い、音声認識による発動をつけた。
それによって生まれた名前の如く、見敵必殺
さすがに、これを食らってはさすがのエドガーも死んだかとルナルは思った。
だが、予想に反して、煙の中から声がした。
「危ないな、こんなもの一般人だったら死んでたぞ。」
いや、普通に誰でも死ぬだろうとルナルは突っ込みを入れたい。
強敵として、重態位は与えただろうと思っていたが、どうやらルナル自身の考えが甘かったらしい。
即座に、抱えたファブニールと飛び降りる。
裏から逃げる算段をつけていたので、行動は早かった。
追うようにエドガーが、魔法顔負けの速度で追ってくる。
「たくっどんな、体してるんだお前はっ!!!」
「何のことはない。俺には絶対防御の王家の魔術式が、体に掘り込まれているからな」
ああっなるほどといってもいられない。
あの簡易鎧の下の肉体か、その鎧自身に防御魔術の結界が施されているのだろう。
この世界の魔術とはここまで実戦派なのかと嘆きたくなる。
物語りよろしく、黒いフード着て、杖もって、鍋でもかき混ぜろといいたいがそれは魔法使いではなかったかとへんな疑問を抱きながら町の中を駆け抜ける。
魔動騎士で着地した大通りを抜けて行こうとしたが、飛び越えてエドガーが正面に立ち進路を塞いだ。
「終わりだ、ルナル悪いようにはしない。」
「くそっ」
と、はきつけながらも、隣のファブニールは事の成り行きをつぶらな瞳でずっと見ていた。
主はどうして逃げ惑うのだろうと簡単な疑問を抱いて、ああ、アイツがわるいのかと判断した。
ルナルの腕からもがきでる。横に抱えた状態だったために、そうしなければ逃れられなかった。
「おい、ファブニール」
仕方なく、地面に下ろすが目の前のエドガーに視線を向け続ける。
それに反して、ファブニールは真っ直ぐに行進してエドガーの真ん前まで来た。
親子の対面になるが、そういう雰囲気にはならない。
「主、こいつ悪い奴か?」
全くもって無表情に言ってくるものだから、素直に返事してしまった。
「いや、そいつはお前の親だ。」
「ほう……これが親か?」
エドガー自身も娘の行動に疑問を感じ何となくせっかくだからと名乗ってみる。
「ああっ私が父親だ、ど、どうだあってみて……。」
なんとも、いえない質問だった。
緊張しているのか、幾羽か上ずった声だったが、今のうち逃げようとすれば、即座に襲ってくるだろう剣が予想できる。片手が剣の柄を握り締めたままなのだ横なぎにでも唐竹割りでもやってのける自信が有るのだろう。
親と言われたエドガーで見つめるファブニールは小さなこぶしを握り締め、正拳を放つ。
「いらん父親など、われは主のみ居れさえすればそれでよい。」
ドゴオォと勢いよく吹っ飛ばされたエドガーの姿があった。
自分の親になんてことをと呟かずにはいられないが、よし今のうちにと倒れたエドガーの横をファブニールとともに通り過ぎようとした。
が、ガシリと掴む腕が俺の足を拘束した。
「ま、待て…ルナル何故逃げる?」
相当強く殴られたのか、頭を振りながら立ち上がる。
仕方ないとルナル自身、エドガーに多少なりとも親しみを感じている分素直に答えようと向き直った。
「貴族や王族なんて権力者に利用されたくないからさ」
「大丈夫だ我が王はそんな…」
「分かってないなエドガー、おまえ自身分かるはずだ。身勝手なものは信じる者とは別の方向からやってくる。意図せぬ悪意というのは多聞に悪いぞ」
「しかし…、」
「くどいっ!!」
ルナル後ろ手に、先ほどの棒を10と倍の数投げ捨てる。
視覚からは外した状態だから、今度は見抜くことさえできまい。
もちろんこれだけでどうにかなるとは思っていない。左足にあるホルスターからナイフを抜いて斬り付けた。素人では傷すらつけられないのか、この男の見切りと頑丈さときたら頭にくる。
「諦めろ、おとなしく投降してくれ……」
かすりもしないがそれでいい。
このナイフもルナルが作り上げた風魔術の道具だ。
振ることで風の斬撃を飛ばすが長距離には撃てず、至近距離しか効果のない失敗作。
それでも、この腕を掴むくらいの至近距離ならと使い、案の定、鎧を切断してくれた。
「オマケだ受け取れ、音声認識Search and destroy 」
対象を今切り裂いた風の斬撃でできた隙間に固定する。
そうして後ろに落ちていた10個の棒筒がヒュンと言う音とともに起動し襲い掛かる。
ドドドドドドドドンと連続した爆発が至近距離で起こったために、ルナルは吹っ飛ばされた。
地面にはいつくばってどうにか視線を上げた。
地面に倒れ付したエドガーがそこにはいた。
さすがにあの衝撃を受けては防御壁がいくら頑丈でも脳に受ける衝撃までは殺せなかったらしい。
よし、と逃げるために立ち上がろうとしたが、どうやら立て続けの魔術使用に体の魔力精製がピークに達したらしかった。すごい熱で体が動くことができない。
「おーっ引き分け(ダブルノックダウン)とはな」
中年親父もとい国王が俺の視界にゆっくりと現れた。
隣に連れ立った姫が驚愕してルナルを見ている。
「何のようだ、くそ……。」
ファブニールに至っては俺に近づいて、ツンツンと俺をつついている。
「何をしてる?」
「疲れたのか?」
天然極まれば、どういえばいいのかとルナルはガクリと頭を地面につけた。
「大丈夫か?」
視線だけ動かすと、お姫様が俺を見下ろしていた。
「前みたいに、嘘だといわないのか?」
少しすすで汚れた顔のまま、ルナルは言ったが、頬赤くしてそっぽを向いたお姫様は事も無げに言った。
「言う必要はないだろう? お前の実力は本物だ。」
恥ずかしげにお姫差は語るが、その様子を見ていた国王が「ほう…」と視線を鋭くした。
大通りの戦闘で、場に人が集まりだしたようだったが突然体が上に持ち上げられた。
地面に倒れた俺を担ぎ上げたのはファブニールだ。
六歳の幼女に抱えあげられたためか、足を引きずる形だが、ファブニールはどうやら宿に連れ帰ろうとしてくれているようだった。
「おぅい、譲ちゃん…どこに行くんだい」
「宿に行く、疲れてるなら休ませる。」
至極天然を貫くファブニールには俺は頭ガ上がらない。
事実、疲労困憊の状態で動かないのだからどうしようもない。
王はあごに手を当てて、にやりと実に嫌な笑いをしてくれた。
「なら、王軍の駐屯所に行けばはやく動けるようになるぜ…。」
全く何てこといってくれるのか。自ら捕まりにいくようなものではないかとファブニールを静止しようとしたが、
「なんなら、あまい菓子もつけるぞ」
と、いってほしくない譲歩をたきつけた王には睨むしかもう術はない。
「本当かっ!!」
やっぱりかとみればファブニールは無表情ながらも弾んだ声を上げる。
王の甘言にまんまとはまったファブニールに引きづられ捕まりにいくルナルは、少なからず連行される罪人の気持ちを理解した気になった。




