第015話_錬金術師の娘、逃走_中編
どうにかして追っ手を振り切って、宿たどり着いたのはあたりが暗くなる頃合だった。
ルナルは倒れるようにベットに沈む。
ファブニールは既に寝ていた。
疲れから素直に眠ることにしたのは、体が大人顔負けに動いた代償とも言えることだった。
こうして人騒動あった事態は終わったかのように思えた。
だが、次の日、部屋に差し込んであった手紙にはエルダインの家紋がある。
さすが王国騎士団、場所くらい調べるのはわけないらしい。
中身を確認するのは怖いが、一応みなければ行動も決められないと割り切って封を切った。
そうして、丁寧に書かれた一文は一週間後にあの待ち合わせた場所で話をしたいという物だった。
ファブニールのことや俺の魔法には一切触れてないが、聞きたいことが多すぎるから直接会いたいというのだろう。
一週間後というのは、事の事態を収拾してからということだろう。
ならと、ルナルは逃走するために資金を作らなければいけないと考えに至った。
「さて、どうするか……」
短期での依頼をこなすべく、ギルドを訪れた。
依頼の完了手続きを済ませて、どんな依頼があるのか探してみた。
実際に短期の依頼というのは本当に子供のお手伝い程度らしかった。
地味な作業という言葉に尽きるだろう。
草むしり、却下
虫の駆除、却下
猫の捜索、却下
と資金の足しになるようなモノは一切なかった。
仕方ないと気分転換に市場に出向くことにした。
一週間猶予がある分その間に決めれば言いと楽観視してのことだ。
だが、予想だにしなかった災難は俺のこの選択でもろくも崩れ去った。
ファブニールと向かった市場はかなりの賑わいを見せていた。
卸ろしをする者や買い付けに来たもの、他国の流通品などの販売もやっているようだった。
ファブニール自身は、たべものにふらふらと釣られて行くので見失わないようにするのが一苦労だった。朝ごはんを食べさせたときも声が弾んで食べていたのを覚えている。
この子自身は、感情表現が表、つまり顔に出にくいらしかった。
一見無表情だが、目新しいものや食べ物には目や鼻がいく分は欲望に忠実なようだ。
「主、食べ物がいっぱいだ。」
無表情で分かりにくいが、要求が分かり安い。
ルナルは、近場で売っていた焼き手羽を二つほどもらって包んでもらいファブニールに手渡した。
食べ物だというとパクリと無表情に食す。
ここで分かったことだが、どうやら瞳の輝きが違う。
「うまっー、手羽うまー」
無表情に言うそれは少々変に映ったが、喜んでいることには違いなかった。
俺は頭を撫でながら、こいつの生活用品を買うのを忘れていたことを思い出した。
育てるといっていながら度し難いなと、露天に並ぶ服を見ながらどれがいいかを聞いてみた。
「主と同じ色だ。」
色は黒でいいというが、はっきり言えば、この子にはあまり似合わないような気がした。
今も黒いドレスを身にまとっているが、もう少し明るい色でもいいのではと言ってみる。
そうすると、白い色のワンピースを選んで見せてきた。
私服にするならそれぐらいで言いかと、俺は値段を聞いた。
15000Gになります。といわれたときはどんな法衣服だオイと突っ込みたかった。
しかし、ファブニールが痛く気にっていたようなのでそのまま購入した。
ここで俺の財産の内訳は、一気に半額近くまで落ち込んだ。
親ばかの才能があるなと自分で頷かずにはいられない。
そして合わせで下着も見繕ってもらい値段的には20000Gとなった。
後でわかったことだが、俺はぼられたらしかった。
相場を調べてから購入すべきだったと購入してあとからボヤくとはどうにも一般生活を送ってない自分にどうしようもない憤りを感じた。
それでも、金は出て行っても戻ることがないのが常であるかのように、昼食でその失敗を悟った。
ファブニールの胃袋は異次元というほどに、およそ10人まい程食べてくださった。
朝は、食管に興味心身で手加減していたらしかった。
間食を入れてそれだけ食える6歳児前後の幼女がそこにはいた。
まずい、と俺は事態を把握した。
出て行く資金どころか、今までの支出で、既に宿代を払う金額でギリギリのラインに来ている。
2週間程度の宿泊代金でこの先旅をできるかどうかそんな者答えるべくもない。
「どうした主、我は満腹」
無表情に言うこの子は妊婦でもないのに腹が出っ張っている。
ゲプ、と満腹しご満悦のようだ。
はははっと笑うしかない。
さすが半竜、食欲は竜そのものだった。
どうやら、これは奥の手を使うしかないようだった。
このままでは逃げる前に金欠で動けなくなるのは目に見える未来像そのままだ。
行動せねばと、エドガー宅で得た書庫の知識を使い金儲けの算段をつけることにした。
「これからどうするのだ、主?」
ことの発端は暢気なようだが、俺は親を自認するつもりなのだから弱音など見せるわけにも行かない。
故に不適に笑うってどうどういってやる。
「ああ、金がなければ、売るしかない」
「そうとも、金は有ってこそ然るべきものなのだ。」
と熱く語った。
首を傾げるファブニールに俺は笑みを返した。
錬金術の非常手段を使用するときが来たのだと
今回は短い




