第002話_終わる世界と機械の巨兵
最近寝坊中、
死ぬということは一つの終わりであると同時に始まりになるか?
答えは解らないで統一できる。
当然の『答え』だと言えた。
誰も観測したことのない未知の領域、自然に考えるなら物質として死を迎える、それに尽きる。
魂や精神の分野になると、そこに実体を伴う必要があるのか、無いのか多岐にわたる。
逆に輪廻転生があるとするなら、どういう法則に基づいてかは想像に過ぎない。
輪廻転生とは死者に対する慰めと同時に、生者の慰めと来世への期待がある分、死を次へと意識を持たせる意味合いもあるのだ。
宗教云々では徳積みだのとよく語られる事柄だろう。
故にウツミもこの事態に唖然とした。
「おいおい……。」
あの私室で、心臓発作した後の帰結は至って単純だった。
視界がブラックアウト後、体の感覚が消えていく無力感。
生が終わるであろう恐怖が一瞬過ぎたあとの無に変える感触。
完全に自分が死んだと辞任しているというのが今の現状でそして何故、
何故目の前に機械の巨人がいるのかわからない。
端的に、その巨人に捕まれて手に握られてるのが自分だったりする。
関節機構が独特の機械音を奏で、ギリリとウツミの体を握り締める。
天も地もない真っ白な空間に佇んでいる黒い機体、イコール握られる自分。
なんとシュールで現実味のない光景だろうと意識を別方向へ持っていこうとするが全くもって状況が変わらずじまいだった。
あわよくば、このまま握りつぶされるのかという現実逃避もいいだろう。
だが、ウツミにはその機械の構造が未知のものであると同時にどういう原理で動いているのか
という方向に思考が引きづられはじめているのも感じた。
ATオタク故に機械の構造には目がないのが持病のようだった。
system code... [atman]
機械音が静かに響き渡る。
偏りそうな思考を現実に戻されウツミは巨人の瞳とも言うべき赤いメインカメラらしき物を見た。
形的には自分の世界にあった人型兵器の巨大版に見えなくもない。
一つ目の漆黒の巨人、優美なほどの美しい機械仕掛け。
死後の世界に自分の妄想が繁栄されたのかとまた現実を曲げて考えてみるが感触が生々しすぎる。
握られてなければ、口元に手を持ってきて思考錯誤に耽るだろうが今はそれを押している感情がある。
「理解不能だな」
「だが、面白い……。」
やはり死んでも変わらないのは、この思考構造。
対極を見ない向こう見ず、思うままの自由で横暴でただの自己満足。
わかりやすく言えば、「わがまま」だ。
自分がどんな環境にいても我を通すそれは誰にでもできて誰にでもできない
故に国が作られ、偽りの自由が与えられるのだ。
だからこそ、外れればウツミのように弾かれるしかない。
しかしその口元には三日月を口に浮かべて
「何をやるのか知らないがやって見せろ!!」
期待と後悔を天秤に思いっきり片方に傾かせる。
何がどうなろうと今の状況を理解するよりたやすい。
変化こそが最大の好奇心を満たす所業なのだから
code open...
まばゆい光がウツミの視界を奪い、次の瞬間からだが分解されていく
「まずったかな?」
つぶやいた瞬間、ウツミの意識もそこで消えた。
沈黙する黒の巨人がただ1人その空間似ただ揺蕩うだけだった。
今回短い