第013話_素人の計略、激突する赤緑
誤字脱字在ると思うので、一応各話を直してます。
緑色の魔動騎士は長剣一つ構えて、俺の前に出現した。
加重な鎧を着込んだ騎士だった。
大きさは少しアルテミスより大きいように見えた。
「おい餓鬼、お前が貴重な玩具を持っていようが、それだけで場の状況を打開できるなんて思うなよ。」
拡声器を伝い男の声が、伝わってくる。
ひどく自信に満ちたイラつく声だ。
コックピット内部では、視覚結晶がメインカメラからの状況を伝えてくれている。
あちら側も召喚をした時点で、もう家は半壊どころの騒ぎではない。
完全に倒壊を免れないほどになっている。
エドガー自身は、ガクンと口をあけて硬直している
急いで魔動騎士の手を使って邪魔にならないところに移動させる。
太い大きな木がある場所の根元に、腰を落ち着かせる。
視線は逃さず、目の前の騎士を一度も逃してはならないと常に中央に捉え続ける。
「そんな余裕あるのか、おい!!」
一息に間合いをつめて上段に長剣が振られる。
俺はアクティブインターフェースを一切動かさず、思考制御のみでそれをかわす。
が、如何ともしがたいのは経験の差というものだろう。
振り切ったままの姿勢から右側によけたアルテミスの右足を緑色の左足が引っ掛ける。
右に避ける事を事前に読んだかのような動作はやはり実践に慣れていると見て取れた。
体制が崩れるのを、コックピットの中でファブニールが楽しそうに「うおーっ」と横に傾くのを楽しんでいる。
その姿に和んではいられない。
咄嗟の作業だったが、うまくいった。
俺はアルテミスの左足で思いっきり地面を蹴った。
「うそだろっ!?」
敵が驚いているのが解る、片足だけでバックに大きく飛んだのだ。
本来ならできはしない動作は、ある意図を持って組み込んだ補助魔術だ
路地を飛び出し宙返りの要領で、大通りの真ん中に着地する。
ドシンっと機体重量ならではの重い音が辺りに響く。
大きな音を聞いていたのだろう。町の人たちは既に場を空けて巻き込まれないように逃げていた。
人がいなくて助かったと安心してもいられない。
ここで戦闘するわけにはと昨日歩き続けた、岩石だらけの道を思い出した。
俺は笑みを浮かべた。
真似する様にファブ二ールがフフフンと笑うのに和むが、しなければならないことを思い出して、俺は呆然と立つ緑色の魔動騎士に向かって片手を挙げ指がよく見えるように目の前に持ってくる。
「て、てめぇ餓鬼何のつもりだ」
簡単な挑発だ、様は誘うように人差し指だけでクイクイとこっちに来いと指図してやっていた。
これだけで、敵が乗るほど素人ではないことは先ほどのことで解っている。
だから、子どもらしくおちょくってやるしかない。
「頭も頭なら手下も素人らしい、こんな子どもにあしらわれる王国騎士とは馬鹿の集団の集まりか?なら、俺が新しい名前をくれてやる。なぁ馬鹿騎士団」
ブチリと相手が切れる音を聞いたようだった。
比重が重い機体なのか、ガシガシと音を鳴らし俺を追いかけてくるみ緑色の魔道騎士を俺は後ろ目に確認する。
誘い出しは成功し目論見どおり、岩場まで誘導することが出来た。
相手が直情的な奴で助かった。
これが思慮深い、観察眼の持ち主なら一発で見破られただろう。
ここからは、互いに腕見せ所だ。
「頑愚にして鈍足、とろいにもほどがるぞ馬鹿騎士様」
「う、五月蝿いぞ、騎士としてお前の我らへの不敬な言葉の数々…ゆ、ゆるせはせん」
ガシ、ガシと機体重量が重いせいもあるのか、実際に動かしている側としては結構辛いらしい。
長剣を構え、俺のまん前に陣取る。
いつでも串刺しにしてやるという意気込みが伝わってくるようだった。
「死で償ってもらうぞ、餓鬼」
騎士としてと語る貴族の腰巾着に俺は憤り、怒りをあらわにした。
「やはり同類か……。」
「何が言いたい?」
「いやなに…、この国の騎士は子どもにすら怒りを露にする。」
「なんとも、大人気ない子供だなと思ってな!!!」
俺は機体を前へと押し下げ、疾走する。
思考制御極れりだ、思ったとおり、魔法として使う『神威』を魔動騎士に組み込んだのは、正解だった。期待が分解しない程度に抑えて使用するのと、変換効率が悪いせいかどんどん魔力が消費される難点があるが、それでも本来の素人操作よりはましだろう。
急にスピードをあげて双剣で切りつける。
技も腕もない素人でしかない戦い方。
それも魔法使いであるルナルには全てを武器に一つの凶器と化す戦い方だった。
長剣が首を掠めるが、速さにおいてはこちらに分がある。
双剣の片方が浅く相手の方を刈り取る。
右手がダラリとさがり、明らかに動作不良を起こしたように見える。
「なんだ!?その出鱈目な軌道は、騎士の戦いではないぞ!?」
剣を左手だけで構え、こちらを凝視する緑色の魔動騎士は拡声器から声を張り上げる。
「これは風の魔法だ、お前のような重歩兵程度では、俺の速さには着いてこれん」
冷静沈着な声だが、その一方でかなりの魔力変換を余儀なくされている。
魔力出力自体は高いルナルだが、継続して魔力へと変換することにはまだ慣れていない。
それ故に、この戦闘事態長く続かない。
「くそっ!?これで終いにしてやる…」
そう言って相手の剣が赤く発光し始めた。
煙を吐き出して蒸気が、周りに白い霧を作る。
アレにあたれば、この軽量機体だからこそただでは済むまいと冷や汗が伝う。
だから、アレを使い作戦を組む。
こちらに登録された過去の戦闘履歴から以前引っ張り挙げた技。
ほかには技と呼べるものはないし、もう長時間動くことは出来ない。
相手にはまだ余裕があり、戦闘も継続できるだろうが、こちらにはそれほど余裕はない。
表面には、出さないよう心がけてはいるがと額にひんやりとした感触があった。
「主様、大丈夫?」
小さく無表情な顔がそこにはあった。
変換を立て続けに行っているルナルの体は異常なほどの熱を発している。
それに加え、魔術式の思考制御を引き受けているのだ辛いのは仕方ないが弱音を吐くほど正直者でもない。
だから、意地でも笑う。
「ああ大丈夫、お前は渡さんし、あいつらも償わせる。」
「私、主様のもの」
「ああ……そうだな」
酷く拙い喋りも、この少女にとっては精一杯のことなのだろう。
保護欲かきたてられるのは、仕方がないが、淫猥な欲望にさらされる事だけは許さないし殺しもさせない。
負けることは許さない他でもない自分のためにと、決意を露にする。
「これで、決着だ……、ディーイとやら」
拡声器越しにルナルは声を発する。
それを受けて、身構えるデューイの緑の魔動騎士は、赤い長剣を構え走りこんでいる。
もう一度『神威』を発動し、機体に風を纏わせこちらも正面に位置取り移動速度を上げて突っ込む。
超スピードとまではいかないが、通常より倍は早い。
だが、一度目のようにそれをが通用するほど相手の腕を舐めてはいない。
こちらは素人に毛が生えた程度。
それ故に、相手のことを過小評価しては勝てるなんて見込みは生まれない。
「バカめ、そんな突貫は何度も通用すると思うなっ!!!」
予想どうり、赤く蒸気を発する長剣が、コックピット目掛けて横凪に来る。
最初の突きではなく、切り替えて横凪に両断する斬撃だ。
このままでは、直撃だろうが俺は後ろ手に双剣を構えていることを相手は知っている。
と踏まえ、それすらも両断できると確信していることを密かに願う。
これを逆手に打ち合う一歩手前で『断空旋』を放つからだ。
この技は、過去の技のトレースだが、その原理はいたって単純。
魔法もない斬撃によって衝撃を飛ばすという技だ。
手ずから武闘派ではない俺には本来仕えないし再現も出来ない。
だが、魔法という幻想を得て、魔動機関を別の意味で使いこなすのは多分俺くらいのものだろう
だからこの返しを相手は予想だにしない。
この技が囮だと相手は気づかない。
衝撃が飛んで熱風が全て緑の魔動騎士を操るデューイのほうへ流れる。
蒸気によってあがった煙すらも、
「終わりだ」
小さく呟いて、振り切った斬激の体制で一歩踏み込み、回転する要領で右に回りこみ相手の首を欠き切った。
突貫と見せかけ、視界を奪い、相手が見えない状態を作り出す。
相手の武器あっての作戦だった。
視覚を失い、既に闘に値しない敵をルナルは蹴り付けた。
ドオオオオオオオン
大きな音を立てて沈み込み、抵抗させないようにコックピットに双剣の片方を突きつけた。
「降りろ」
短い命令に王国騎士団団員は素直に従った。
「貴様、こんなことをしてただで済むと……。」
悪態付きだったので今までの苛立ちを生身の人間に、自分の何倍もある剣を突きつけた。
気分は多少解消されたがルナルは言った。
「短剣おいて去れ……。」
斬っと縦に勢い欲振り下ろしたもう片方の剣が巻き起こした突風に男は尻餅を着いて震えるように俺を見た。
「分かったか?」
ガクガクと首が千切れんばかりに振って殺されたくない一身で恐怖が彼を突き動かし、頼りない足取りでどこへとも知らずその場からいなくなった。
ルナルも男が、あの町に向かわないよう確認し、落ちていた短刀を拾う。
そして、トンと柄で叩き、魔動騎士を収納しもう片方の戦利品も収納した。
「ふぅ…っ、やれやれだ。」
「ヤレヤレダ」
真似をするファブ二ールの頭を軽くなでて、ルナルは町へと帰還した。




