不思議な少女・・・4
ガサッ ガサッ ガサッ ガサッ・・・。
後ろで人の歩く音がした。
この公園にはどんなに小さな音でも響いてしまう。
でもここでこの音を聞くのは、初めてだ。
その足音は、私のずっと後ろでとまる。
気になって振り向いてみると、そこには肩の下あたりまで髪を伸ばした可愛らしい女の子が立っていた。
見た目は幼く、とてもおとなしそうに見える。
顔は・・・はっきりと見えないが、たぶん私と同じ年くらいだろう。
手には、今にも枯れそうな黄パンジーの花を持っている。
それだけは、しっかり確認することが出来た。
その子は、公園の花壇をじっと見ているだけで動かなかった。
(変わった子だな〜・・・?)
家、学校、病院の行き来をしている毎日の繰り返しだった私は、林間学校や修学旅行もろくに行ったためしがなかった。
だから、普通の人にはつまらないことでも密かに興味を持っていた。
私は気づかれないように、空を見るフリをしながらその子を見ていた。
(枯れそうな黄パンジーの花をどうするんだろう・・・?)
どくらい時間がたっただろうか。
あの子が要約体を動かした。
動かしたかと思ったら、花壇のほうを向いてしゃがみ、また動かなくなってしまった。
こっちから見えるのはあの子の背中だけで、何をしているのかまったくわからない。
どうしても見たくなって、無意識に頭を左右に動かしていた。
しばらく見てると、あの子は ハッと我に返るようにこっちを振り向いた。
そして、こっちに向かって歩いてくる。
私はその子が立ち上がった場所を覗き込んでビックリしてしまった。
そこには 周りのどの花にも負けないくらいの、堂々と綺麗に咲いている黄パンジーがあったからだ・・・。