事実・・・6
「・・・そんなこと言わないで、明日香ちゃん・・・。明日香ちゃんの命日が私にはわかっていながらも、あの時はあせったわ。今回の命奈美ちゃんもそうだったと思う。これから先、あなたがどれだけ辛い思いをするのかということも、承知でやったわ・・・。」
「なんで! そんなことを・・・!」
「聞いて! 明日香ちゃん! 私、あの時は新人だったけど、患者さんには命日はあげないようにしようって決めてたの。尊い命だから。・・・でも明日香ちゃんのお母さんは、あなたの生まれた直後に死んだ旦那さんがいたのよ。悲しいはずなのに、笑顔でこう言ってたわ。『この子はお父さんの生まれ変わりだわ・・・。きっと長生きしてくれる・・・。』それなのに、明日香ちゃんの命日は4日後。この状況に誰が耐えられたことか・・・。あなたのお母さんに喜んでほしかったの・・・。この通り、あなたに恨まれることも承知済みよ?」
利緒さんは苦笑いした。
・・・何?
私、こんなに優しくて心強い人に助けてもらっていたのに、『憎い』としか思うことが出来なかったの?
最低最悪な人間・・・だね、私。
「明日香ちゃん、命日を全部あげるとどうなるか予測つくかな?」
「・・・病気が治る・・・んですね?」
「そう。私たちには命日は見えても、未来までは見えないわ。あとは明日香ちゃん次第よ?」
今度は心から笑ってくれた。
「利緒さん・・・。私・・・今までずっと・・・利緒さんのこと、・・・身勝手な人だと・・・思ってて・・・本当は・・・優しい人・・・な・・・のに・・・。私が身勝手でしたね・・・。」
「もういいのよ。誤解が解けて嬉しい・・・。どうせ明日にはこの世にいないんだから、あなた達のためにつかいたいわ。さようなら・・・明日を生きる子―――明日香ちゃん・・・。」
それは、普通ではあり得ない別れの告げ方だった。
1人の人に会うために、もう1人の命を失わなければならない。
神様はいつでも 私に意地悪だった・・・。