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集結した崩壊を進んで  作者: 美紗埜 穂美
少女たちのその運命は
4/7

生きてきっとその先に

Prologe


 死んだ。

 何で死んだ?

 自殺?何でよ?

 ゆみ・・・、あんた・・・。

 学校を壊すのはやりすぎなんだよ。

 なんであんなことしたの?チコが壊れたよ。

 あんたが死んで、みんな悲しんでるんだよ。ねぇ。

 チコが壊れちゃったんだよ。あんたと同じになるかもしれないよ。

 あんたと・・・・・・、あんたと同じように死んじゃうのかもしれないんだよ。

 ゆみもチコも死んで・・・、そしたら私はどうすればいいの?!あんたのせいで!!

 あんたがおかしかったことに気が付かなかった私とチコもいけなかったのかもしんないよ。

 でも・・・・・・、殺して、壊して、私たちの生活まで崩壊させちゃって・・・、許されないことなんだよ。

 ねぇ、ゆみ・・・、ゆみ・・・、ゆみ・・・、どうにかしてよ。あんたが作り出したこの状況をなんとかしてよ!!


 ヒノの心は壊れてしまっていて、混乱していて、何かをよりどころにしたいけど出来なくて・・・・・・。どうしようもなく、どうしようもなく歪んでいて・・・・・・。

 終わらせないと自分までもが壊れてしまいそうで、それが怖くて。その怖さを少しでもなくそうとして。消そうとして、自分も消えようとして、みんな巻き添えにして、死のうとして、壊れないように終わらせようとして、全てが収まるのが待てなくて、それまでに起こってしまうことが怖くて、今までに失ったものの重さに耐えられなくて、死のうとして、殺そうとして、終わらせようとして、見つけようとして、終わることを願いながら、自ら終わらせることを決めようとした・・・・・・・・・・。


 ゆみ。

 死んだ?

 何で死んだ?

 自殺?何でよ?

 ゆみ・・・、あんた・・・。

 学校を壊すのはやりすぎなんだよ。

 なんであんなことしたの?チコが壊れたよ。

 あんたが死んで、みんな悲しんでるんだよ。ねぇ。

 チコが壊れちゃったんだよ。あんたと同じになるかもしれないよ。

 あんたと・・・・・・、あんたと同じように死んじゃうのかもしれないんだよ。

 ゆみもチコも死んで・・・、そしたら私はどうすればいいの?!あんたのせいで!!

 あんたがおかしかったことに気が付かなかった私とチコもいけなかったのかもしんないよ。

 でも・・・・・・、殺して、壊して、私たちの生活まで崩壊させちゃって・・・、許されないことなんだよ。

 ねぇ、ゆみ・・・、ゆみ・・・、ゆみ・・・、どうにかしてよ。あんたが作り出したこの状況をなんとかしてよ!!


_________________________________


 今日、友人とあったことを思い出しながら、ヒノは、謝ろうかどうしようか迷っていた。

 迷いながら、PCに手を伸ばし、その友人とこの時間でも繋がれる、唯一のサイトを開いた。


チャットルーム

―Quietさんが入室しました。-

Quiet:ばんちゃー

翔灯:ちっす(^0^)/

陽炎:ばんにゃ

チハル:こん

ボブEX:ごきげんよぉー

Quiet:またボブさん名前変えて・・・・・・

―ヒノっぴさんが入室しました。-

翔灯:ちわ(^0^)/

陽炎:ばんちゃーっす

チハル:こん

ボブEX:またまたご機嫌よー

Quiet:ばんにゃらー

―ヒノっぴさんが入室しました。-

―ヒノっぴさんが退室しました。-

陽炎:え?はぁ??

翔灯:何しに来たんだw

チハル:まぁ、あの人のことだから

翔灯:ヒノっぴさんて不思議キャラだよねー☆なんかさぁ世間離れしてるってゆうか、庄月中のこともなぁ~んか庇ってたし。もしかしてもしかすると庄月中生だったりして (((((キャー

ボブEX:あぁ~、前もなんかいましたしね

Quiet:犯人?

陽炎:ズバッと言うねー

―ヒノっぴさんが入室しました。-

チハル:あ、もどてきた

内緒話toQuiet ヒノっぴ:どういうこと?

内緒話toQuiet ヒノっぴ:ゆみにもここのアド教えてたの?

内緒話toヒノっぴ Quiet:うnwそだけど? なにか?

内緒話toQuiet ヒノっぴ:わかった。もぅいい

―ヒノっぴさんが退室しました。-

Quiet:ありゃりゃー

翔灯:神出鬼没のUMAヒノっぴww

ボブEX:なんかちょとずれてる気がする。UMAてww

チハル:荒らし目的なんじゃない?

陽炎:うわーズバッと言うねー                                 

チハル:Quietさんとお仲間ww                                

Quiet:ずばっと軍団w                                    


 チャットルームから退室して、チャットを見ておく。

 最初は謝る気だったのだけれども、チコがゆみにもここのアドを教えていたという事を知り、何か、いやな予感がしてきた。

 別ウィンドウで同じサイトを開き、チャットの過去ログを漁ってみる。


チャットルーム(数ヶ月前の発言)

―ユーみんさんが入室しました。-

内緒話toユーみん Quiet:ねぇゆーちゃん

内緒話toQuiet ユーみん:なに?

翔灯:ユーみんさんばんちゃー

ユーみん:あ、おばんでーす

内緒話toユーみん Quiet:この前さ、学校壊しちゃいたいって

内緒話toユーみん Quiet:いっちょたけどぉ、アレ本気??

内緒話toQuiet ユーみん:ろんもち本気だよ☆

内緒話toユーみん Quiet:なんかさ、こんなん売ってたんだけど・・・・・・、

内緒話toQuiet ユーみん:えっ?

内緒話toユーみん Quiet:∵←コレクリックしてちょ

翔灯:・・・、どうしましたーー?

翔灯:みなさーん

翔灯:おぉーぃ

   ・

   ・

   ・

   ・

   ・

   ・


 普通は見れないはずの内緒話のログまで見れたことに、ヒノは疑問ではなく憤りを感じていた。

「チコ・・・、あんたが管理者ってことは分かってるんだからね・・・。わたしたちをからかって何が面白いのよ・・・・・・」

 気が付くと、ヒノの目から大粒の涙があふれ出ていた。

 信用し、信頼していた友達が死んで、壊れて、やってはいけないことをしようとしていて・・・・・・。

 ヒノは止めなくては、と思った。

 友達として、親友として、チコの暴走を止めなくてはならないのだと。

 チコが何をしようとしているのかは分からない。

 でも決して「いいこと」ではないのは確かだ。


 ウィンドウを閉じ、今のチャットルームに目を戻す。



チャットルーム                                        

Quiet:でもあれどぅやって爆破したんかな~?                         

Quiet:そんな爆弾とか置いてあったら普通に気付くと思うんやけど                

翔灯:それってさぁこれじゃない?                             

翔灯:★←のリンクをクリックw                              

Quiet:え                                        

陽炎:なんすか?                                       

チハル:★になんかあるの?                                 

ボブEX:翔灯s、なんがあるの??                              

翔灯:もぅ、何でもいいからクリックしてよ~!                       

―ヒノっぴさんが入室しました。-                              

チハル:あ                                          

―ヒノっぴさんが退室しました。- 


 コイン型爆弾。

 なにコレ?

「ゆみ・・・、あんたまさかこれで・・・?チコがチャットであんたに教えたのってコレだったの・・・・・・?」       

 ヒノの涙は止まらない。とどまることなく溢れ続けて、崩壊した人への弔いとする。



チャットルーム

ボブEX:映画みてぇー                                    

Quiet:でも・・・、これ一個で壊せるんですか?                       

翔灯:1個じゃ無理だけどさ、何個かあわせて使ったんじゃないかな?               

Quiet:あ、なるほど                                     

翔灯:それにこれここ県民サイトの管理者さんが売ってるみたいだよー               

チハル:マヂすか

  ・

  ・

  ・

  ・

  ・

  ・


 チコ・・・・・・。

 ヒノは言葉にならない叫びを上げた。

 何が楽しいってゆうの?!

 チコにコレを買わして儲けたかったの?!

 なんで?!

 何でこんなことしたの?!

 

『生きて。きっとその先に希望があるよ』


 いつの日かドラマで聞いたその言葉を、ヒノは思い出した。

「希望・・・、か。そんなもの本当にあるのかしらね・・・・・・」

 ヒノはそうつぶやいて、ずっと前にデパートで興味本位に買ったナイフを引き出しから取り出した。

「チコ・・・、終わらせようね。こんなこと良くないよ・・・・・・」

 涙の浮かぶ彼女の目には、苦痛の色があった。

 


 遠い月明かりの下で、ヒノの心は、崩壊した・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


______________________________________________________

  イち

  断罪


 チコ。

 終わらせようね。

 もう何もかんも,誰も信じられないよ。

 

 ヒノは,チコの登校の道の途中で,ナイフを持ってたたずんでいた。

 道の角から曲がってきた自転車を見て,覚悟を決め,唇を結ぶ。

 

 チコ・・・・・・。


 潤んだその目に,親友の姿が映る。

 

 チコ・・・・・・。


 ナイフを持つ手が震える。


 チコ・・・・・・。


 ヒノは,姿の見えた親友の元に向かって駆け出す。


 チコ・・・・・・。


 間近に親友の姿が。


 チコ・・・・・・。


 突っ込む。手に,嫌な感触が伝わってきた。


 崩壊したヒノの心が,破壊を生み出し,チコの思惑通りになる。

 その身を犠牲にしてまで,趣味を完成させようとする。

 ヒノはそのチコの異常さに気がついていなかった。

 ヒノの手がナイフから離れる。血とともに,親しい友人の体が倒れてゆく。

「アハハハハッハアアアハハハハッハハハ・・・ッハハハ・・・・・・ッ」

 その光景が,崩壊したその瓦礫をも,さらに粉々に砕いてゆく。

 ヒノはケータイを取り出し,ある番号にコールする。


 110


 自分のしたことを告白し,次の番号を押す。


 119


 チコの状態を伝え,ケータイを閉じる。

 ヒノは手に持ったチコを刺したナイフとはまた違うナイフを手に持ち,その刃に自分の姿を映す。大きな罪を犯した自分の姿は,その時刃にどう映っていたのか。崩壊したその心は,自分の顔をどういう風に捉えたのか。その時のことを,ヒノはまったく覚えていない。その心は,記憶する余裕を持ち合わせていなかった。

 自分の姿を映し,見て,躊躇って,決意して,刺して,目の前が,遠く、なった。


 チコの隣に,自らの腹にナイフを立て血を流したヒノが横たわった。


 しばらくして,警察と,救急車が来て血に染まったその光景に目をむいた。

 倒れた二人の少女は,ともに救急車に運ばれていった。


_______________________________________________________________


 数ヶ月前,ヒノとチコの友人の友美が学校を爆破した。

 その裏に誰の影があるのかも知らずに、爆破したことがバレた友美は、自ら身を投げた。

 それを機に、ヒノとチコの友人関係が崩れ、全てが崩壊のその先へと向かった。

 その終点には、一体何があるのか、誰の望んだ未来があるのか?

 全てが崩壊した後のその道には、果ての彼方の星のそのあとには、何もかもが闇に飲まれた。

 

 友美がやったこと、チコがやったこと。

 それに耐えられずに崩壊したヒノ。

 

 つまらない日常の革変を望んだ少女。    

 面白そうだから、と、自分の親友をそそのかして殺した少女。

 全てを終わらせようと決意し、自分をも巻き添えにしてその崩壊を止めたつもり(・・・)だった少女。


 彼女らがその道の上に残した爪あとは大きく、誰にも消せないほどに深かった。

 学校の崩壊の加速を、それを望むことを、全てを止めようとすることを、それ自体が罪だという事に気が付かない少女たちはそれぞれが儚く散っていった。


 ただ一人、ある少女を残して。


 残されたその少女はまた自分の趣味に没頭し、友人を巻き添えにして、踏み台にして、関わった人々すべてを崩壊に連れ込んで、ぎりぎりの境界線上を歩き続けて、堕ちそうになったら人を利用して、生き続ける。

 自分の力を過信した少女は、もうすでに何もない道から新たに何かを作り出そうとする。

 

 生きてきっとその先に、思い十字架を背負った少女は何かを見出せるのだろうか?

 自分がどうなるのかという事も全て含めて「趣味」として扱う少女の道はいつ途切れるのか。

 

 ヒノ、チコ、友美。

 三人の少女はそれぞれに翻弄されて、死んで、生きて、死ぬ。


 「翔灯」

 「陽炎」

 「チハル」

 「ボブ」

 「Quiet」

 

 それぞれは皆つながっていないように見えてどこかで繋がっている。

 謎で暗いつながりが、ある一つの崩壊を創った。


___________________________________________________________________

 

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