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短編小説

ブラックとカフェオレの間は微糖

作者: うわの空

 俺は自販機の前で仁王立ちしていた。理由は簡単。

 ブラックコーヒーを飲もうか、カフェオレを飲もうかで迷っているからだ。


 俺の会社は駅から少しだけ遠い。だけどその道中に、小さなベンチと、自販機があった。

 いつも少し早めに家を出て、ここの自販機でブラックコーヒーを買い、ベンチに座って飲む。これが俺の日課だった。

 しかし今日は、すごく甘いカフェオレが飲みたい。気がする。

 俺は迷った。いつもはブラックコーヒーを飲んで、頭をシャキッとさせている。すると、仕事がはかどる気がする。ある意味これはジンクスだ。

 しかし今日は何故かカフェオレが飲みたい。それも、すごく甘いカフェオレが。今日は大事な会議の日だから、頭が糖分を欲しているのかもしれない。

 俺は悩んだ。間をとって微糖に逃げるという手もあったが、それだとなんだか宙ぶらりんな感じで、飲んだ後もモヤモヤしてしまう気がする。頭の回転が良くなりそうなものすごく甘いカフェオレか、頭をシャキッとさせる苦いブラック。このどちらかにしたい。

 どうする。どうする。俺は迷った。ブラックとカフェオレの2本を飲んでしまうと、トイレが近くなりそうで嫌だった。会議の最中にトイレに行きたくなるのはまずい。どうする。どうする。

 俺は自販機を睨み続けた。そしてついに、決意した。

「よし!!」

 俺は鞄から財布を取り出し、


 鞄から財布を取り出そうとして、


 鞄がないことに気付いた。



 そういえば今日、電車に乗って、鞄を網棚に乗せて、


 そのあと、鞄に触った記憶がない。


 俺は、背広のポケットに手を突っ込んだ。定期券はある。だが、携帯も、財布も、今日の会議で使う大事な資料も、すべて鞄の中だった。


 俺の目の前がブラックになった。



 カフェオレを、飲もうと思ってたのに。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 笑いました。(爆)
[一言] 面白いですが、笑いませんでしたね。意外性はありました。
[一言] とりあえず一言。 南無・・・
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