第9話 朝食会議
朝食の食卓前。さくらは非常にニコニコしていた。
「むぅ。さくら姉……」
鈴はニコニコしているさくらのほうを見ると不満げな顔をする。
「鈴ちゃんも来てくれたので嬉しいなと思いまして。マスターへの折檻お疲れ様です」
「さくらは怖いことを言うね……」
「当然の結果だと思いますよ? あと雛菊ちゃんの件もありますから」
「うっ……。はい……」
「雛菊がどうかした?」
さくらが雛菊のことを口にすると同時に鈴も反応する。
2人は同じくらいだから仲が良いんだよね。
「この世界は雛菊ちゃんの管轄だったんですが、何かが起きていたらしく雛菊ちゃんとの繋がりが途絶えてしまったんです。鈴ちゃんは気が付きましたか?」
さくらにそう問いかけられると、鈴はこめかみに指をあてしばらく考え込む。
「プチっと切れたならわかるよ。でもそんな感じはなかったよ」
「そうですよね」
2人が言うとおり、もし突然繋がりが切れてしまったなら私のほうでも感知できるはずだ。
でもそれが知らないうちに切れてしまったとしたなら一見繋がってるように見えているだけか、辛うじて細い繋がりが残っているのだろう。
「マスターは何が起きたと思いますか?」
不意にさくらがそんな疑問を投げかけてきた。
考えられることはーー。
「うーん。繋がっているように見えて実際には繋がっていない。空間断層かな。あれがあるとラインを繋いでいても間の断層でぐちゃぐちゃになってしまうんだ。そうなると一方は繋がっていると思い要請を待ち、もう片方は繋がっていると思い要請する。でも結果は途中でラインがぐちゃぐちゃになっているので妖精は通らないとかね」
実際近くにいたらわかることなのだけど、今回のように空間を隔てている場合にはわからなかったりする。
まぁ予想ではあるんだけど。
ただそうなると、そんな断層が発生する状況がうまれたということになるわけで、それはそれで大きな問題となる。
だってそれはこの世界が不安定になっているということだからだ。
「なるほど」
「どっちにしても雛菊に聞かなきゃわからないことだね。詠くん、雛菊の居場所わかりそう?」
「一応この島のどこかにあるルピナスのモジュール内ってくらいはわかってる。あとは転移紋探しってところかな」
「じゃあボクの能力が役に立ちそうだね」
雛菊探しの状況を伝えると、鈴は嬉しそうにそう答えた。
【鈴】は魔法などの特殊な力に特化した従者だ。
例えば封印や結界、空間の歪みや力の異常など、そういった見えないものに対応する能力が非常に高い。
魔法1つとってもすぐに理解し構造を解析する。さらには応用し別の物を組み上げるといった応用力も高い。
ちなみに鈴は自分のことをボクと呼び、私のことは【詠くん】と呼ぶ。
「うん、頼むよ。私も今のままだとあまり役に立てないしね」
力が足りない状況では能力を制限せざるおえないから仕方ない。
「あ、それだけど、ボクが持ってこられる分だけは持ってきたよ。それと今回起きた問題の原因ってロキ君だよね? 現場の痕跡辿ったらロキ君辿り着いたからボコっちゃったけど」
どうやら鈴は現場の状況を確認したらしい。力の回収は一部といえども大変ありがたかった。
それとロキよ、すまない。
「あぁ、ありがとう。それにしてもロキってよくわかったね。ボコっちゃうのはちょっとかわいそうだけど」
ロキには改めて何かお見舞いの品を送っておこう。
「今後ロキ様は出禁ですよ、マスター」
「毎度いたずらがひどいんだから!」
「詠くんも反省してよね」
「はい……」
そんなこんなで話し合いは一段落となった。
そして鈴から受け取った力の一部を回収。
『力の規定量の回復により一部制限が解除されました。各艦船に対する一部遠隔アクセス能力の開放。管理者イリスとの接続の回復。直接接触による当該施設の管理者機能の復旧が可能です。』
突然ウィンドウがポップアップし、そのような情報が表示されたのだ。
どうやら新しいことができるようになったらしい。




