第18話 いざ再びのグレーメルの街へ
雛菊と合流して翌日、前回作っていた転移アンカーを元に再びグレーメルの街へとやってきた。
組合に登録しているので街での長期滞在は許可されている状況である。
まぁ身分証や資格証のようなものを求められたら身分証も登録証も出せるから問題ないだろう。
「ここがグレーメルの街ですか。初めて来ました」
「なかなか大きい~?」
「港も近いだけあって海の香りが強いね。新鮮なお魚を食べるにはいいかも」
「私たちの島にも海はありますけど漁師がいませんからね」
「そうそう。詠くん海に出てもいいんだよ?」
「ははは。磯釣りならうまいよ? 沖のほうに行くには良い感じのボートを作ってからだね」
「期待してるね!」
果たして、私が沖釣りに出られる日はくるのだろうか? ボート完成までお待ちあれ。
「では軽く案内しつつ組合へと向かいましょう。雛菊ちゃん、私たちの情報の登録はどうですか?」
前回まで雛菊がいなかったため私たちの情報はエラーとして出力されてしまっていたのだ。
「仮登録ですが完了しています。さすがにシステムでは上位者までは自動登録できないようですね。改善も視野に入れておきたいところです」
雛菊は端末を操作しながらさくらの問いかけに応えている。
まじめなのもいいけどよその世界の神格者とか自動登録はしなくてもいいのではないかと思う。
そう頻繁に訪れるわけでもないのだし。
「それは構いませんが、神格者は突然来て突然去るものです。あまり気にしても仕方ありません」
「はい。予定に入れておくだけに致しますね」
「そーそー。せっかく復活できたんだからもう少し肩の力を抜こう」
「リラックスなら任せて」
姉妹たちは仲良く移動しながら話をしている。
いま彼女たちの身長は60cmのサイズから150センチ手前のサイズくらいまでに変化している。
いわゆる小さめの子供スタイルといったところだろうか。
もう少し年齢を重ねれば150cmを超えることもあるかもしれないが、まだみんな小さめだ。
「見てあの子たち! 可愛い」
「どことなく似ているよね? 姉妹かな?」
「一緒にいるのはお父さん? 若いわね~」
「ねーねー詠く~ん? パパだって~?」
周囲の声を聴いてにやにやとした表情で冷やかしてくる鈴。
相変わらずいたずらっ子だ。
「別に似たようなものじゃないかな? 関係性は……色々あって難しいけど」
私と従者たちは家族であることは間違いない。
友であり兄弟姉妹でありパートナーであり……まぁ色々だ。
「ふぅん? まぁいいけど~?」
鈴はまだ何か企んでそうな顔をしながらさくらたちのほうを向いてしまった。
まぁ鈴も年頃だしなぁ。
そんなこんなで色々と噂をされつつもグレーメル探索者組合に到着した。
相変わらずここは人が多いようだ。
扉を開け探索者組合の中へと入る。
ちょうど依頼を受ける人が多い時間のようで受注の列が長い。
それ以外にも掲示板前にはたくさんの人が集まっているし登録希望者も専用の窓口に列を作っているようだった。
それにしてもこんなにたくさんの人が新規登録するのか。
ざっと見た感じでは10人くらいいるんだけど?
「新たに3人登録したいのですが大丈夫そうですか?」
「こんにちは。今はちょうど混雑中なのでお時間がかかりそうです」
「じゃあ少し間を開けたほうがいいかもしれませんね。ところでなぜこんなに新規の人が?」
新人が多いのはいいことだけど突然増えた感じが否めない。
さくらたちのトラブル防止のためにも少し間を開けて再度登録したほうがよさそうだ。
「それがですね、2日くらい前から近隣の村々から登録希望者の方が来ているんです。なんでも街道の森狼が姿を見せなくなったから出稼ぎにと」
「街道の森狼? あの森付近の?」
「そうです。詠春さんもお受けになられてたあの依頼です。あの時討伐された10体を最後に身を潜めてしまったようですね。何かしました?」
「何かって、さくらと2人で討伐したくらいかなぁ。特に刺激をするようなこともなかったと思いますよ」
受付の女性に疑われるのは心外だ。
とはいえ森狼が急に姿を見せなくなったのは心配でもある。
こういったいつもいたものが急にいなくなる時は大抵悪いことが起きるものだからだ。
「気になる話ですが私にも原因が分かりませんね。マスターが素手で森狼を倒してたせいじゃないですか?」
「それくらいで姿を見せなくなるとは思えないけどなぁ」
「えt!? 森狼を素手で!?」
私とさくらの話を聞いていた受付の女性が驚いたような声を出していた。
別にゴリラじゃないですよ? 力を素手に纏わせてエネルギーで殴っただけですからね。
「マスターって時々ゴリラですよね」
「ゴリラじゃないです」
ゴリラじゃないんです!!




