第11話 隠れた問題
さくらの元に集められた採集物はさくらが一度数量を記録するという作業を行い、それぞれの用途に利用された。
鉱石類はいくつか鉱脈の種にした後工業艦に転送されて精錬を待つ。
こちらから赴いてもいいのだけどまだ力の量的に宇宙までの遠距離転移はできないため物質の転送という形で済ませることに。
そして届く請求書。
管理者といえど私的利用にはお金がかかるのだ。
「精錬品の2割徴収か。今採掘できる量はさほど多くないから戻って来る量も微々たるものだね。世知辛い」
届いたメッセージの文面には次のようなことが記載されていたのだ。
『親愛なる管理者様。お久しぶりです。こちら第35世界派遣艦隊の工業艦【グラジオラス】です。この度はこちらの世界にお越しいただき誠にありがとうございます。ご依頼いただきました鉱石の精錬は当艦隊でお受けすることが可能です。料金についてですが、転送費用などを含めますと総量の2割を手数料で徴収させていただければと思います。問題がないようでしたらこちらのメッセージに返信を頂けますと幸いです』
「グラジオラスで精錬してくれるそうだけど、2割持っていかれるようだよ。それで問題ないかい?」
私のほうに届いたメッセージをさくらに転送し、最終的な判断を伺う。
うちの家計の財務担当を蔑ろにしてはいけないのだ。
「はい、問題ありません。グラジオラスには今後も働いてもらいたいですしね」
「じゃあそのように返しておくよ」
さくらの承認を得たのでグラジオラスには精錬をお願いする旨のメッセージを返しておく。
これでしばらくは金属精錬には困らないだろう。
少量であれば壺や炉などで精錬もできるのだけど、今は少し急ぎたいのだ。
「そういえばこの世界の文明レベルって中世程度なのかい? この前胡椒がやたらと高く売れてたようだけど」
少し気になっていたのだ。それなりに豊かな街だったようなのに胡椒の値段がやたらと高いところが。
「軽く調べたところ、最近では外部からの技術支援もあったようですが蒸気機関が発明されているようです。地球でいうところの近世程度の技術力はありそうです。胡椒については産地に問題があるようですね。おそらくこのままではさらに減産してしまうことになるでしょう」
「産地に問題?」
さくらの報告で気になった個所が一か所だけあった。
「はい。この世界には4つの大陸があり2つの大陸に人が住んでいるのですが、残り2つの大陸が長く居住不可能となっているようです。居住可能な大陸のうち胡椒の生産に適した場所はほとんどなく、一部の地域だけでしか生産されていないようです。ちなみに栽培技術は開発されていないようですので、栽培技術を提供してあげられれば現在の胡椒の価格高騰は収まるでしょう。最後に残った胡椒の生産が可能な地域は現在長く続く天候不良に悩まされているようです。さらに高騰させている原因はこれですね」
「ふむ……」
どうやらこの世界は大きな問題を抱えているらしい。
雛菊が休眠した理由もそこにあるのだろう。
とりあえずこちらで提供できるものは提供し、利益は技術開発などに還元する方向で行こうと思う。
「わかった。じゃあ今後は胡椒を定期的に市場に流すとして、並行して栽培技術を確保するための研究所を用意していこう。利益をため込んでも良いことはないからね。利用できない大陸の件は雛菊に詳細を確認するとして、現地の視察もしに行かないといけないか……」
「そうですね。現在その大陸がどういう状況か、私のほうで確認することはできません。上空からでも白い何かで隠されているようですから」
「目隠しの正体も探らないとか……」
どうやら一筋縄ではいかない問題が起きているようだった。




