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友情のカケラ

作者: 雨香
掲載日:2025/11/14

放課後の教室に、西日がオレンジ色の影を落としていた。

教科書を机に広げたまま、玲奈はため息をついた。数学の宿題はさっぱり分からない。

そのとき、ひょいと誰かの影が机に差し込んだ。


「またため息ついてる。…難しいとこ?」

声の主は、大輝だった。玲奈とは幼なじみで、クラスでもよく一緒にいる友達だ。


「うん。図形がもう全然分からない」

「じゃあ一緒にやる?今日、部活ないし」


玲奈がうなずくと、大輝は彼女の隣の席を引き寄せ、ノートを開いた。

大輝は決して天才というわけではないが、丁寧に人に説明するのが上手で、

玲奈がつまずく箇所を見つけると、少し考えてから例えを交えて話してくれる。


「三角形を家の屋根だと思えばいいんだよ」

「屋根?」

「そう。ここが支えてる柱みたいなもので…ほら、こうすると分かりやすいだろ?」


玲奈は、屋根に見立てた図形の意味を理解した瞬間、目を丸くした。

「ほんとだ…!なんで大輝って、そんなに分かりやすく説明できるの?」

「玲奈が分からないとこ、だいたい想像つくから」


何気なく言った大輝の言葉に、玲奈は胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。

自分をこんなにも気遣ってくれる存在が身近にいることに、改めて気付く。


ひと通り宿題が終わる頃には、外はすっかり夕焼けに染まっていた。

教室の窓から見える空が赤から紫に変わっていく。


「ありがとう、大輝。ほんとに助かった」

「いいよ。困ってるときは言えって、前にも言ったろ?」

「…うん。そうだね」


玲奈が微笑むと、大輝も照れたように視線をそらした。


廊下を並んで歩く二人の影は、夕日を受けて長く伸びる。

その影が重なったり離れたりするたび、玲奈は思う。


——友情って、きっと特別なものだ。

気付けばそばにいて、当たり前のように支えてくれる。

それがどれだけ大切なことなのか、今日、あらためて知った。


「帰りにさ、コンビニ寄っていかない?」

「いいね。アイス食べたい」


何気ない会話に笑い合いながら、二人は夕暮れの校舎をあとにした。


その歩幅はぴたりと揃い、まるで未来へ向かう道のりを、

これからも一緒に進んでいくかのようだった。

今日休みで寝転んでたらなんか思いついてできた短編です。


ここまで読んでくれた方!ぜひ「忘却の輪郭」読んでみてくれると嬉しいですっ!現在連載中です!

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