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44、"F"の荷

ちょっと長いです

 イモートが目録に視線を落とし、例の如く流れるように告げる。


「この目録と荷物の中身を考えれば証拠としては充分でしょう。仕入れ元の地域名と属性、そして横に書かれた数字ですが数ではなく年齢です。出荷先もきちんと明記されておりますので過去に出荷された者達の救出も⋯⋯生きていれば可能です。そして意図的に亜人や亜人との混血を対象に選別し特に子供と女性を多く含んでいる事が読み取れます。また出荷先にある数か所は貴族や上位の商家に直結する港屋敷の倉庫でありここに記された符号と符牒が一致すれば購入先からの流通経路を更に炙り出すことも可能です。更にここから私の認識調整を継続的に用いることで現場を長期間に渡り監視する為に彼らと安全に行動を共にする事も可能です。如何なさいますか?」


「それは要らん。ここはこれで終わりにしたい。気分が悪いからな。⋯⋯特に、今直ぐは救えないんだ」


 ミルトは机に広げた目録を空間拡張された魔導バッグに詰め込んだ。全部で3冊。アルヴァリク公爵家が人身売買を始めてから、あまり期間は経っていないのだろう。王権を転覆する為の布石として活動させるのが目的という点も、死者の推察通りのようだ。


 そして、ミルトが言った通り今直ぐは救えない。目の前の娘達を救ってしまうと、証拠が無くなってしまうから⋯⋯ミルトは目を閉じ、奥歯を噛み締める。


 そのとき、倉庫の重い扉がゆっくりと開き、3人の男たちが入ってきた。短躯の者、痩せた者、黒い布で顔を半ば覆う者。見た目は歪だが彼らの服装は上等だ。しかし腕には押印や焼き印が見えた。


 先程の用心棒とは、一線を画す存在感がある。


(もしかして、こいつらが"貴鱗"か?)


「おい、荷の確認だ。事務所にいるそこの、何だったか⋯⋯まあいい手伝ってくれ」


 一人がミルトに声を掛ける。彼らの認識はイモートの放った『認識調整』に覆われ、ミルトを見ればただの同業として反応する。物腰も距離感も、同僚に対するそれだ。


 ミルトは肩をすくめて笑う。冒険者の顔を作りつつ、同時に内心は警戒を緩めない。


『共感』──発動


「オレは新入りだ。分からんことは教えてくれ」


 ミルトの言葉に"貴鱗"の男たちは得意げに頷き、薬剤が漏れない程度に箱を開けては中身を確認していく。中には名札の付いた小袋、布切れ、時に子供用の小さな履物が含まれていた。まるでそれが商品かのように。男の持った紙に記された番号と照合していく。


(こいつらは知っていて手を染めている⋯⋯必ず報いは受けさせてやるぞ)


 ミルトは全員の顔をしっかりと覚えた。


 数分が経ち、その作業の合間に男の一人が仲間に呟いた。


「おい、その"F"って書いてる3つは触るな。特別な客だ」


 ミルトの耳が反応する。


「"F"ってのは?」質問して反応を見る。


 ──フェリキタス ——貴族っぽい野郎


「知らんでいい」黒い布を巻いた男が答える。


 キャラバンの副リーダーが、震えて漏らした名だ。背後にいるのはただの貴族や商人ではなく、公爵家筋に通じる人物ということになる。


 やがて、場の空気が少し変わる。扉の外から皮靴の音が近付く。その足取りは整然としていた。男たちが一斉に背筋を伸ばす。


 半ば開いていた扉の隙間、そこに現れたのは、派手では無いがどこか品のある装いの男だった。年の頃は40前後、灰色がかった髪を後ろで束ね、薄い青の目は冷たく澄んでいる。


「受け取りに来た」彼の声に男達は一礼する。


『共感』──発動


(まさかの1発目で当たりか。運が良い。⋯⋯気分は最悪だが)


 コードネーム"フェリキタス"。その男は、箱を一つずつ覗き込み、指先で名札に触れては軽く顎を撫でるように確認していった。その所作は商人の手練れというよりも、上からの指示を下ろす者のそれだった。


「今回の分は?」


 男が聞く。"貴鱗"の一人が手元の冊子を開き、渡した。彼は淡々と数字を読み上げる。仕入れ先、出荷先、日付、分配の割合。フェリキタスは眉一つ動かさずにメモを取るようにして短く頷いた。


 ──F便は第6埠頭で今夜 ──他は各2つ

  ──出荷数は各便2件か ──利率は2割か

 ──3割が我が主へ ──1割がこの者共

  ──仕入れ値が安い ──ボロい商売だ


「今夜の"F"は6へ移しておけ。報酬もそこで取れ」


 明らかに手慣れている。"貴鱗"の男達は頷いた。


(この男にイモートを⋯⋯)


 ミルトは感情を押し殺し、表情を動かさず心の中で全ての思考を刻む。第6埠頭、各2つという量、利益の割合——これで流通の先も明確になる。


(一度戻ってルヴィに相談して、公的な糸を引く口実も整えるか)


「他の配達先の屋敷名と、コードはこれだ」


 "フェリキタス"の男は、懐からは小さな札を幾つか引き抜き"貴鱗"の男達に差し出す。


 イモートはそのやり取りを静かに観察し、堂々と札を覗き込む。『認識調整』が効いているとはいえ、相手の前で堂々と振る舞う事に慣れていないミルトは、少しだけ焦る。


「ミルト兄さま。彼の出した札を確認しました。これを基に保管先を押さえましょう。彼の振る舞いから判断するに単なる取りまとめに留まらず上位の役人や貴族とも連絡を取り合う役割を担っていると見て間違いないでしょう。直接的な暴露は王都全体に政治的波紋を呼ぶ可能性が高いと考えられます。そのため私の『認識調整』を用いて現場での証拠と記録を慎重に収集しつつ、ルヴィに確証を渡し彼女の手によって公的な手続きと証拠化を進めるのが最も合理的です」


 ミルトは無言で頷く。彼らの目の前でどう答えて良いのか分からない。イモートは自身の持つ特性スキルに絶大な自信があるようだが、ミルトは初めてなのだ。


 "フェリキタス"の男は短く息を吐き、箱の中身をもう一度確かめるように上から目を走らせ、指示を出してからその場を後にした。


「日が暮れるまでには運んでおけ」


 男たちは黙って頷いた。そこからの彼らの動きは機械のように速い。


 ミルトは心の中で呟く。


(このままただ公に晒しても、波紋が大き過ぎる。煙幕とするにしても混乱は避けたい。⋯⋯事件の解決までを広める必要があるか)


 ミルトは静かに撤退の準備に入る。イモートは既に、認識調整の網を微調整して周囲の記憶に残すべき細部を固定し始めていた。


 倉庫の空気がまた日常の仕事音に戻る中、ミルトは低く言った。


「ルヴィと今後の流れを考える。お前はあの男に付けるか? アルヴァリク公爵家に繋がれば、そのまま撤退しても構わん」


「承知致しました。すこし認識を調整してワタクシの立ち位置を変えますので、ここから先の会話は注意して下さい」


「頼む。⋯⋯危なくなったら直ぐに転移して来い」


「はい。イモートはミルト兄さまのイモートです。必ずやミルト兄さまの元へと帰還致します」


 イモートの言葉に、ミルトは一瞬だけ柔らかく笑みを返した。


 倉庫から出てみれば、来た時と同じく、外で吹く海風は肌に纏わりつくようだ。気付けば陽が真上から落ち始めたいる。


 ミルト達は第一の歯車を確実に回した。


(次は第6埠頭だが、さて⋯⋯)



 東の国防を担うフェルム辺境伯家。その次期当主として貴族年鑑に登録されている第一子のミルト・フェルムという青年が、私の目の前に居る。


 噂とはなんと当てにならないものだ。


 王太子用の謁見の間、いや謁見室と言えばいいか。さして広くもない部屋に、私の座る玉座が置いてある一段高い所まで敷き詰められたダークグリーンの絨毯。


 扉の外に待機している騎士が両開きの扉を開き、黒髪黒瞳の若い男がゆっくりと歩いて来る。


 その堂々たる態度に私は先程の感想を持った。ミルト・フェルム、確か私と同じ歳だった筈だが⋯⋯。


 玉座の間に差し込む午後の光が、やけに白々しく見える。


 数ヶ月前、私の側近候補だったシルヴィリーネリア・コヴェイン伯爵令嬢が、学園の卒業祝賀に姿を見せぬまま忽然と消えた。以来、私の世界は色を失っている。彼女を探さねば、見付けねばという焦燥だけが、逆に私という男をかろうじて形作っている。


「殿下、フェルム辺境伯次期当主が、緊急との事で控えております。謁見の間に御足労頂きたく」


 護衛騎士カクテリアスの声で我に返る。彼は学園の頃からの友であり、無言の気遣いを欠かさぬ男だ。そのカクテリアスが言うのだ、確かに緊急なのだろう。


 憂鬱だが、行かねばならんか。私は文字通りの重い腰を上げ、謁見の間へと移動する。私の他には護衛騎士のカクテリアス、新たな側近のシュートル・ピース子爵令息。そして定期会合に来ていた婚約者のミリアリア・ルル・ファンムー侯爵令嬢も同席させる。


 重厚な扉が開き、入ってきたのは――冒険者の様な出で立ちの、黒髪黒瞳の青年。


 同じ歳でありながら、中央の学園には通わなかった辺境伯家の嫡子。いや、正確には"次期当主候補から外された"と噂されていた若者だ。


 その理由は単純で、15の年、大陸全土に根を張る"教会"で行われる成人の儀の折、彼の授かったスキルがあまりにも凡庸だった為だ。


 国境を守り、凶悪な魔物を駆逐する任を負うフェルムを継ぐ器では無いと目されたからである。


 私自身、彼のことは耳にした程度しかなかった。生まれながらに貴族令息としての持てるものを持ち、周囲に持て囃され、しかし努力を怠らず几帳面で真面目。ただスキルが凡人の域を出ない為に、嫡子としては捨て置かれた――そうした印象が、中央の誰しもの共通認識だった。


 しかし今、私の前に現れたその青年の姿は、噂に聞いた凡庸さからは遠い。


 出で立ちは貴族の着る服ではない。まるで冒険者だ。だがその冒険者として、場数を踏んだ事を連想させる眼差しは鋭く、立ち居振る舞いは剣士のそれ。何より、彼の纏う空気に揺るぎのない自負を感じる。


「お初にお目にかかります。ウルタルフ殿下、フェルム辺境伯家が第一子、ミルト・フェルムに御座います」


 低くは無いが、張りのある声で頭を垂れ、恭しく礼を取る。無駄な美辞麗句は述べない。それが目の前の男には、よく似合っていた。


 その顔を眺めながら、私は言い知れぬ感覚に襲われていた。凡庸と断じられたはずの男が、今、私の目の前にいる立っている――。


「⋯⋯よく来た、フェルム卿」


「卿などと⋯⋯王太子殿下にお目通り願える生まれであろうとも、私はまだ何者でもありません。どうぞミルトとお呼び捨て下さい」


「そうか、ではミルト、今日は緊急で話があると聞いたが?」


 乾いた声を絞り出したその瞬間、私の脳裏には思わずシルヴィリーネリアの面影が過ぎる。


 失ったものを取り戻すために、或いは目の前の青年の存在こそが、運命の転機となるのではないかと。


(都合の良い⋯⋯そんな訳が無い)


 ちらりと視線をやると、側近のシュートル・ピースは静かに目を細めていた。普段は柔和なこの男が、この様な顔をするのは見たことが無い。何かを察しているのだろうか。


 一方で、偶然同席していた婚約者のミリアリアは、私よりもむしろ驚きを隠せぬ様子だった。彼女は私との婚約を解きたがっており、義務でここに居るだけだが、高位貴族の令嬢である彼女ですら、ミルトに気圧されているようだ。


 やがて、私はゆっくりと玉座から身を乗り出し、言葉を紡いだ。


「聞かせてくれるか? 何故、謁見を求めたのか」


 その問いの奥底には、ただ一つの願いがあった。


 どうか、この青年がシルヴィリーネリアの行方に繋がる何かをもたらす者であってくれ、と。


 私の問いに、フェルム卿――いや、ミルトは一呼吸置いて答えを切り出そうとした。だが、その口元がわずかに揺れ、言葉を呑み込む気配がある。


 ⋯⋯ふむ。公には口に出来ぬ話か。


「皆の者、下がれ」


 私は玉座の間に響く声で命じた。


 だが、すぐさま異を唱えたのは、シルヴィリーネリアと変わるようにして私の側近となった、シュートル・ピースだった。


「殿下、いかに辺境伯家の嫡子とはいえ、素性を確かめたばかりの者と2人きりになるのは危険にございます。とてもではありませんが──」


「問題無い。彼はフェルムの次期当主だ。今の王家にとっては無くてはならぬ存在。特に今はな。そしてそれは⋯⋯お互いにだ」


 遮るようにミルトの立場と、安全を語れば、今度はカクテリアスが口を開いた。


「殿下、せめて私だけは残らせて下さい。殿下の身に万が一があれば、私は――」


 いつもは冷静な彼が、珍しく熱を帯びた声を上げる。その気遣いはありがたいが、今は邪魔だった。


「カクテリアス。お前の忠義は知っている。だが今は不要だ」


「⋯⋯殿下」彼の眉間が苦悩に歪む。


 さらに追い打ちをかけるように、ミリアリアが裾を握りしめて言った。


「殿下⋯⋯まさか、この方を信用なさるの? 学園にさえいらっしゃらなかった辺境の子息を⋯⋯。殿下はお疲れで、ご判断を誤っておられるようですわね」


 声は穏やかだが、視線の奥には疑念と、どこか侮りが見える。彼女は私乃身を案じているのか、それともただ婚約解消を早めるための行動なのか。私の濁った頭では、もはや判別はつかなかった。


 私は深く息を吐き、冷たく言い放つ。


「ミリアリア。お前には関わりのない事だ」


 玉座の間に一瞬、凍りつくような沈黙が流れる。


 その沈黙を破ったのはミルト・フェルムだった。


「アルヴァリク公爵家について⋯⋯」


 沈黙を破りはしたが、室内は更に凍りつく。私の周囲に起こっている事は当然、私も把握している。だがこの王宮内で、面と向かってその名を私の前で出す者など居ない。


 だが、その暗黙の了解すらも、目の前の男であれば──この国の王太子である私を前にしても、全く物怖じする事の無いこの男であれば⋯⋯その名を口にする資格を有しているのかも知れない。そう思わせるだけの風格がある。


 私自身、胸の奥が冷たくなるのを覚えたが――最初に動いたのは別の者だった。


「──っ!」


 側近のシュートル・ピースが、思わず声を詰まらせて半歩踏み出したのだ。


 彼はここ数ヶ月で私の側近に任じられた。誰もわざわざ口にはしないが、シルヴィリーネリアの代わりに据えられた男だ。成績は優秀だが、それ以外は取り立てて特徴もなく、目立つことのない人間だった。


 その彼が、この名を出された途端に動揺を隠せずにいる。


「シュートル? アルヴァリク──」


 だが私の言葉を遮って、もう一人が反応を示した。


「殿下! ⋯⋯その名をここで口にするのは」


 ミリアリアだ。


 彼女が青ざめる理由は分かっている。彼女の家門ファンムー侯爵家は、古い歴史を持つ。当然アルヴァリク家とも深い関係を持っている。


 なるほど。ミルトはわざと口にしたのだ。私を試すのではなく、この二人の反応を見るために。


「お二人には、ご退出願いたい」


 ミルトは静かに告げる。その声に揺らぎはない。


「な⋯⋯!」即座に反発したのはシュートル。


「殿下! このような若輩に我らを下がらせる権利など――」


「シュートル、歳は同じだよ。それに権利があるか否かではない」


 私は冷ややかに言い切った。


「私が命じるのだ。シュートル、お前は下がれ」


 彼の顔が引きつる。だが私の言葉に逆らうことは出来ず、歯噛みして深く頭を垂れた。


 そのシュートルに、ミルトが言葉を投げる。


「シュートル殿、後で陛下から直接お聞きすればいいのでは? それとも──貴方の"上司"からか?」


 今度は部屋の空気は凍り付かない。だが、ミルトが吐いた言葉は、この場にいる者ならば絶対に聞き流せない内容だった。


 ミルトは口元に笑みすら貼り付けて、シュートルを見つめている。


 私はシュートルの顔を見る──


 ──誰だこの男は⋯⋯


 ここ数ヶ月、シュートルとは執務を共にしていた。1日の大半を共にしていたにも関わらず、一度も見たことの無い、暗い瞳でミルトを見つめていた。


 背筋が冷える。実際に部屋の温度が下がっている様な感覚に襲われる。


「──ミルト・フェルム⋯⋯貴様の余計な行動で我らの「黙れ鼠風情が。お前は俺に偉そうな口をきける立場か? それともそれが王の意向か?」


 シュートルが憎々しげに奥歯をぎりりと鳴らす。そして、そのまま背を向けて部屋を出て行った。いつもなら私に一礼して退室するのだが⋯⋯確信する。恐らくもう、側近としてのシュートルと会うことは無い。


 続いてミリアリアが小さく唇を噛んで話し出す。


「何を言ってるんですの? ⋯⋯殿下、私はただ――」

「分かっているよ」私は遮った。


「ファンムー侯爵家である君は⋯⋯アルヴァリク家と縁のある者は、これ以上は聞かぬ方が良いだろう?」


 彼女はそれ以上は何も言わず、裾を翻した。その背に向けてミルトが言葉を投げる。


「ファンムー侯爵令嬢、この件について、黙っていた方が良いですよ」


 ミリアリアは立ち止まり、ミルトを振り返る。ミルトは薄く笑みを浮かべて、更に続ける。


「家に報告せず静観しているのが良い。それだけで貴女の望みは叶います。⋯⋯子供の頃からのね」


「──っ!?」


 ミルトの言葉に、ミリアリアが目を見開く。


「ではまた、機会があれば」


 これで話は終わりとばかりに、ミルトは別れの挨拶をミリアリアに投げ掛けて、私の方を向いた。


 ミリアリアは何かを言おうとして、だが黙ってそのまま退出して行った。


 扉の閉まる音と共に、沈黙が場を支配する。ここにいる者が、本当にこの3人だけなのをか。互いが確認するかの様に耳を澄ませていた。


 こうして残ったのは私と、護衛騎士カクテリアス、そしてミルトだけ。謁見の間に、ようやく語るべき者だけが残された。ここまでたった数分のやり取り、たが私の心は混乱の極みにあった。


 私は肘掛けをトントンと打ち、しかし品が無いなと改め、深く息を吐く。


「アルヴァリク公爵家の名を、なぜこの場で口にしたのか。聞かせてもらおうか」

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