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体験 ホラー小噺  作者: せろり
9/10

リカちゃん

リカちゃん人形って、多分ある一定年齢の女の子は遊んだことがあるかと思うんですが、我が家にあったリカちゃん人形のお話しを。


女の子…娘がうちは5人いるんですな。

それぞれ遊びでお気に入りになる玩具は違えど、それなりに数は揃っていくのが子沢山あるある。

わたしはあまりおもちゃそのものにお金をかけるタイプではなく、どちらかといえば絵本や本を与えたい所謂教育ママなタイプ。

長女はやはり長女ということで曾爺✕4、婆や、叔父母、伯父母とあれこれと与えられ、積み木やパズルやおままごと道具等等…そのお下がりを次女、双子、5番目…と使っていったんですが

リカちゃん人形だけは、それぞれの子たちがお気に入りを持っていました。その中でも最古たる人形は実はわたしのリカちゃんでした。 

リカちゃん人形と一口に言っても、わたしの時代のは栗色髪のくるりとカールされた髪が肩口までの人形。

長女のはロングヘア、次女のは色が変わるタイプ、双子のはピンク髪だったかな…金色だったのを染めたんだったかな?5番目の娘のはリカちゃんのお友達だったかな?モデルみたいなお人形シリーズでしたか。


兎も角、時代とともにお顔も華やかになってて、髪型も違っててお洋服もかなり作らされました(笑) ヘアアレンジしちゃうのでくちゃくちゃになった髪型をぬるま湯で洗って戻してあげたり、思い出すだけでもいろんな思い出があります。

それぞれの子たちが中学生位になった頃に『遊ばないんだからそろそろ処分したらどうか?』と聞いてみるんですが、ぬいぐるみや絵本やおりがみやらは処分するならどーぞーと軽いのに、リカちゃん人形だけは捨てさせてくれないんですね。

各々思い入れがあるようで。

それでも普段から出して遊ぶわけでもないし、飾るわけでもないので、わたしが適当にまとめて置いておくんです。

 十年前に末っ子長男が生まれる頃になり、手狭になったことだし引っ越すか、と区内ではあるけども引っ越す事に。

そこも実はかなりの事故物件なんですが、我が家は気にする質でもないので、安価だし広さ優先で即決。

あれこれと不用品を捨てたり纏めたりとした中にリカちゃん人形たちもありまして。

持ってく?と聞くと全員が『当たり前!持ってく!リカちゃん人形は持ってく!お母さんみたいにわたしのはこれなんだよ!って子供に将来見せるから』と嬉しいんだか照れくさいんだかわからん感情を持たせてくれる娘たちでございます。

まとめて段ボールに突っ込みつつ、引っ越先でも下手したらこのままだな〜と思いながら玩具と書いて段ボールを封しました。

そんなこんなで引っ越後、出産だの双子の大学進学だの次女の留学だの長女の結婚だのと、なんだかんだとバタつく中、ある日ふと、押し入れからカタカタカタカタ小さな小さな音が聞こえる気がするんです。大体が家族が寝静まった深夜。

まぁそんなこともあるよね!知ってた!とか思いつつ、さすが事故物件!ワクテカだね!とか思いつつ、全員が寝静まった部屋でまだたりとコーヒーを飲むのがわたしのおひとり様時間。変える気はありませんでした。

そんなこんなで数カ月、ある日ふと聞き慣れたカタカタ音もたんなるBGM化してた春でした。

唐突に腰が脂汗が出るほど痛い。あまりの痛みに救急車案件か?!と焦りました。旦那氏は出張が多く、ほぼ別居状態(笑)いやー、焦る焦る。子供起こすのも忍びないし、でも乳児居るし、下手に入院とかしたら誰が子供達の衣食住を守るのか?!と。一瞬でそこまで思いましたね。

ネジ切れるんじゃないか、という腰の痛み。腸捻転か?いや、場所が違う、盲腸…でもないな、とどこか冷静に考えると、ふと…あ、これ念だ、と。

押し入れから来てる…と。

痛みで歯ぎしりしながら、物置というか押し入れというかかっこいい言い方するとウォークインクローゼットを開けると、案の定封したままの段ボールからカタカタ…カタカタ…カタカタカタカタと音がする。

『ごめんね、開けてあげるからね』と呟きながら真っ先に取り出したのはリカちゃんハウス。

何人かのリカちゃんは真っ直ぐに入ってて、折り重なるように下になってたリカちゃんは腰からなぜか背中に直角に曲げられていました。そんなふうに入れたりは絶対にしないんです。それぞれの娘たちの大切なお人形なので、一番お気に入りのドレスを着せて仕舞ったのをハッキリと覚えてるので。

真っ直ぐに直してあげて、髪を梳いて調えるとスーーーーっと腰の痛みは取れました。

そのまま全員出してあげて、翌日にお風呂に入れて調えしばらくリビングに置いておきました。

その間、わたしの腕に小さな小さなお人形の手形のような痣が浮きでたりしてましたが、悪い感じはありませんでした。

娘たちも、久々にリカちゃんが出てるので着替えさせたり髪を結ったりしながら久しぶりだね、と撫でていました。

 特に障りは無かったのでそのままかなーと思ってたら、それぞれが大事にすると話していたリカちゃん人形たちを とある国の留学生を預かった時に、着物等のお洋服ごと子供専用の病院へ寄付しませんか?と話してきたんです。娘たちも遊んでもらえるなら!と快諾。

海を渡って行きました。

ちょっとした怪談ですね(*´艸`*) なお、それ以降我が家は誰も触ってないのに仮面ライダーベルトが夜中に鳴ったり、誰も触ってないのに◯✕クイズのピコーン!とフダが上がる玩具が鳴ったりが日常です。

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