言魂と書くか言霊とかくかで実は意味が違うんだけど、友人の言魂の話し。
言魂のはなし。
嘘、妄言、憶測の噂話、悪口などなど。
自分を守るためだったり、他者を貶める行為だったり、いろんな嘘がありますが、日本では古来より【言葉には魂が宿る】といいまして。
そんな言魂の話を一つ。
大風呂敷を広げる与太話の得意なカトちゃんという男性の友達がおりまして。
このカトちゃん、一体何の仕事をしてるのか?全くわからないまでも兎に角、女と金と酒とパーティーが途切れたことがなく。
美男子というわけでもなく、話術ひとつで世間の荒波をゆうゆうと泳ぎきってるタイプ。
ただし本人は常に金が無い。 下手するといい大人なのに五百円持ってないときもある。
なのにポルシェ乗ってるし、時計は数百万相当のロレックスを何本も持ってるし、靴はたいていオーダーメイド。ただし本人は一切お金出したことがない。もらったー!とか、なんか何処其処で飲んだら隣に〇〇って有名人いて意気投合して貰った\(^o^)/とか、まさに現代の『わらしべ長者』。
一緒に遊んでてもまず、【知らない人】がいない。六本木で歩けば、おー!カトちゃ~ん!と見知らぬ外国人とハグしてたり、いつの間にか仲良くなってて5人で飲んでたはずが、気がつくと40人くらいの大所帯になってて、いつの間にかその店のオーナーまでもが同席してて飲み代がタダになった、とか。
なんだかよくわからない現象が起こるのがこの男の凄いんだか凄くないんだかわからないところ。
こんな不景気なご時世なのに、常にカトちゃんの周りでは嫌なことが起こらない。一切起こらない。
たとえ女絡みの殺傷事件に一触即発になったとしても。
何故かカトちゃんが登場するだけで、そのまま仲直りして『3人』で夜の帳へと消えていく。
まぁ、そこはいいんだ。
この1代好色男、一体どうなってるのか聞いたことがある。
『カトちゃんさー、なんで金回りいいん?ちょっと貸してよ』
『えー、おれ金ないよー?知ってるじゃん!お、そういえばせろりさま!この前のカップラーメンごちそうさまでした!』
『いやいやいやいや、カップラごときでそんな土下座いらんって。で、なんで金回りええのん?教えろやコラ』
『おれんちさー、前にも言ったことあるじゃん?親父が会社つぶす原因の奥座敷のはなし。』
『あー、入っちゃいけない部屋だっけ?よ!さすが元お武家様!世が世ならお殿様だもんな!カトちゃん!さすが麻布六本木出身!いよっ港区男子!』
『そそそ、控えおろう!って違うから。おれさー、親父が潰してくれたおかげで継がなくて済んだんだけど、教えは守っててさ。親父もバブルでど~ん!と飛んでるから億単位で借金したはずなんだけど、結局上手く交わせたのかのらくらと生きてるからね。』
『お?今カトおじなんの仕事してたっけ?』
『なんもしてねぇんじゃね?』
『息子と同じかぃ!で、なんでなんもしてねぇのに剛毅よ?』
『うち、詳しくは言えないんだけどってか、言ってもわかんないと思うんだけど、婆さんの婆さん?だっけか?ご先祖さまが神様の嫁でさ、言ってはならない言葉ってのがあるんだよ。それを口にしない限り、その子孫は安泰っていうんだけど誓約が面倒くさくてさ。俺の代で終わり。御破算にしましては〜ってやつ。』
『あー。忌み言葉?』
『それもあるけど、普段からありがとう!とか、好きだ!とかキレイだねとかを心から思うことと、口に出す事かなー。あと。しょーもねぇ嘘はつかないこと。自分に嘘ついてもしょーがないっていうか、魂が汚れるから禁忌なんだよ、おれんち。
たぶんそれが金回りのコツ。ってか女もそうじゃん?素直にアイラブユー言われたほうが嬉しいじゃん?』
『すまん。カトちゃんの御立派様なおいなりさまで私の頭にお殿様ーとかやられた身としては、お前とだけは有り得ねぇ。だがお前がモテることは知ってる。』
『素直に嬉しいっていっとけっつーの!とにかく、日本人は感謝下手すぎ!ありがとうも、ごめんなさいも口に出すのはタダ!タダより安いものはないけど、気持ち悪い生き方するよりは心から言ったほうが気持ちいいんだよっつーのがうちの教えだからさ。せろりちゃんもだんなさんにありがとうー!ダイスキヨーって言ってりゃいいんだよ。おわかり?』
『サー!イエッサー!よくわかわないけど、わかった!ありがとう!』
ってな話がありまして。
最近とみにSNSとか見てても思うんですよー。
身の丈にあわない無理してるインスタも、ほんの些細な事で炎上する罵詈雑言も。
結果廻り廻って自分に還ってくる穢になるんじゃないかしら…と。
ちなみにカトちゃん、今たしかカルフォルニアにおります。デビューがどうのとかいってたけど、どうなったんだろう???
あいつ副業ドッグブリーダーだったような気がするんだけど……??
いや本業か?ちがうかな?
とにかく何をしてるのか謎だけども幸せそうな友人の、幸せのコツ?
言魂の話でした。チャンチャン