触(さわ)れて障(さわ)れる
ところで皆様は幽霊って触れるの?と思いませんか?
わたしの旦那様はある日ふとそう思ってしまったそうなんです。
それもこれも、新婚時に越した目黒と世田谷区の境くらいに在るとあるマンションに時々出ておりまして。
「あー、今日は階段にいるー。思わず避けて来ちゃったよ」と私が言うと、嬉々として「見たい!見てみたい!」と、部屋からすっ飛んで来るくらいに『見てみたい!』好奇心旺盛なタイプの霊感ゼロ体質さん。
そういう陽キャ的な気の持ち主はなかなか滅多に波長が合わないんですよね。
細かく細かくチャンネル調整をして、昔のラジオの電波を合わせていくようにアンテナ伸ばしてみたり、補助電池芯をつけてみたりして、ようやくたまーに繋がるかな、くらいの確率です。
そんな旦那様。ある日とうとう念願の霊とのご対面をしたんです。
結界越えて寝室の入り口に、テンプレ髪長俯き女性の後ろ姿が、壁とドアを透かしながら、佇んでいたそうで。
旦那様、つい『顔見てみたいなぁ、でも声掛けたら消えちゃうかも?ていうか怒ったらこっち見るんじゃないか?よし!ケツ触ってみよう!』と。
おいコラなにナチュラルに痴漢行為しようとしてんのよ!と後からガッチリ叱ったのは言うまでもなく。
『いやー、対話できたらちゃんと謝ろうと思ってたよ?どんな気分でそこに出てるの?って聞いてみたくて。』
んで、触れたの?って聞くと
『そこに見えるのに触れないっていう謎体験できた!映像に手入れてるみたいな感じ!そして寒くなかった!他の場所ならどうなんだろ?って触ろうとしたらスルスル消えちゃうし。』
と、なにやら納得しておりました。
ちなみにその後しばらく電灯を替えても替えても消えるという、地味に嫌な霊障に悩まされました。
電灯の笠に御札貼ったのは私も初めての体験でしたよ…。