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おっさんのごった煮短編集

生体認証スキャニング

とある記事を読んで、思いつくままに書いてみました。




 生体認証スキャニング、その技術は遺伝情報をサンプルを採取せず、身体に触れることもなく、外部から読み取る技術を指す。



 特殊な電磁波を利用し、それを照射したのち、肉体を透過した電磁波を計測することで個人の遺伝情報を全て読み取る技術はセキュリティ技術の大きな進歩だった。


 

 当初、国立大学にて一人の天才の研究を経て、セキュリティ関連の大手企業が出資しての製品開発が行われ、富裕層向けの防犯アイテムとして売り出された後、その技術はあらゆる所へと波及していく。



 民間主導で行われていた研究開発に、国家プロジェクトとして予算が導入されたのは、研究開始から五年ほどのことだった。


 国民識別番号制度の拡充。



 マイナンバー登録にさいして、遺伝情報を登録することを義務付けることを前提とした試験運用が始まると、それから数年ほどで、国民全ての遺伝情報が国家に管理されることとなった。



 あちこちに設置された監視カメラは即座に遺伝情報を読み取り、集められた膨大なビックデータからAIが算出する予測は、人流、物流、行楽、商業、犯罪、事故、様々な可能性を割り出し、それを分析し活用する専門職を産み出した。



 「A-021587365番、真島蔵人様、この先の予定ルート上で事故に遭遇する可能性が60%を超えました。案内するルートへの変更をお勧めします」


 耳骨に埋め込まれた極小骨伝導スピーカーからもたらされるのは、生体内に同じく埋め込まれたネット接続用端子から発せられる電波をもとに使用者へと呼び掛ける案内サービスだ。



 「ありがとう、ルート変更するよ」


 「了解しました。ではお気をつけて」



 今では、誰もが安全に快適に自分にあった生活を送っている。






 そう、AIの予測する未来と遺伝情報からもたらされる危険の回避によって。





 人々は完全なレールの上を歩くだけの機械になった。




 「我々は予防犯罪局です。W-000524872番、あなたは1ヶ月後にトラブルによる犯罪行為を犯す可能性が90%を超えました。よって、予防収容所への収監が決定しています。犯罪予防法第2条1項、犯罪可能性が規定を超えた者にたいして、その身柄を拘束、期間内の留置を科すものとする。この条文に従い、あなたを連行します」


 ある日突然に犯罪予防局によって逮捕拘束され、犯罪可能性のある期日を超えるまで留置されることは、当たり前となった。


 「あー、ちょっと出張だね。しばらく帰れなそうだから、よろしく」


 「気を付けてね。といっても、世界で一番安全な場所にいくから、問題ないかしら」


 何事もなかったような会話で男は手錠をかけられることもなく、ちょっとした旅行にでも行くかのように行政組織の駆る緊急車両へと乗り込んで運ばれていく。



 事故、犯罪、病気、様々なリスクの回避のために、専門の公務員たちが人々を所定の施設へと収容する。


 犯罪も病気も事故も前時代と呼ばれる時代からは信じられないほどに減った。



 人々は自由意思に従い、成長し、就職し、家庭を持ち、死んでいく。



 そう思い込んでいる。



 

 全てが管理されているとも知らずに。







 

感想お待ちしてますщ(´Д`щ)カモ-ン


今年、はじめての短編小説。


書き初めですわさ(笑)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 危機回避もできて自由に生きているつもりなのですから、幸せな世界かもしれませんね。 [一言] この世界、私は嫌いじゃないです(。-_-。)
[良い点] 最後まで、科学的なリアルな文章で、現実に起こりそうな気がします。阻止、せねば! [気になる点] 便利だ。と、思うけれど、経済的なこと考えただけでも、凄く貧乏になりそうですよね。そうなったら…
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