自閉スペクトラムな私 事件簿その4
大学時代に読んだ本に「執念深いという言葉は理系では誉め言葉である」と書かれていた。
私は、(へえ、そうなんだ)とその言葉を疑いもせず受け入れた。
ちなみに私は大学の学部は文系であった。
その日もいつものようにコンビニの早朝バイトで、大学に行く前に仕事をしていた。
その時、一緒に仕事をしていたのは女性の人で50前後くらいの人だった。
そのコンビニのバイトの中ではとても仕事の出来る人で、私も彼女と一緒なら特に問題もないだろうと安心して仕事に取り組んでいた。
朝のコンビニは通勤や配達の人が食べ物や飲み物を買いに来る事が多く、その日もやはり客が多かった。
そんな中、「辻君、悪いけどタバコを補充してくれる?」と言われて
「あ、はい。分かりました。」と答えたものの客が多いせいか、なかなか手が回らなかった。
しばらくお客さんをさばいて、ひと段落した頃を見計らって、商品の陳列を整えようとした時に、その女性から
「辻君、悪いけどタバコの補充、お願い!」と言われて
「はい。分かりました。」と答え、さっそくタバコの補充をしようとしたが、運がいいのか悪いのかお客さんが来たので、また補充出来なかった。
お客さんが引っ切り無しにきて、ようやく時間が出来たのはバイトの終了15分前だった。
私は(ようやく仕事が終わる)とホッとしていた時に、その女性から
「辻君、タバコの補充、お願い!」と3回目の指示を受けた。
この時、私の頭のネジが緩んでいたせいもあっただろう、つい
「○○さんって、執念深いんですね。」と誉め言葉(?)を述べたら、
ものすごい形相で私の腕を力一杯つかんで
「さっきから何度も言っているのに、やらないから言ったんじゃない!!」
と大声で叱られた。
そこで、初めて自分が言った言葉が不適切だったことを知り慌てて
「すみません、あの、冗談です。」と伝えたら、相手の女性も悪かったと思ったのか
「私も冗談よ」と返された。
ただ、その後の空気は最悪で、
(また自スぺをやらかしたな・・・)と心の中で猛省した。
この時ばかりは(もっと勉強しておけば良かった・・・)と自分の頭の悪さを後悔した。