アレを教えてあげてね
「ねぇ今日アレだから、もしかしたら遅くなるかも。」
「あぁ、委員長がこっちに帰ってくるからプチ同窓会みたいのやるんだっけ。」
あの濃密な一日から十五年が過ぎて今日は女子会があるそうだ。
「そう、だから夕飯は二人で食べてね。アレは冷蔵庫にあるから、あとはカレー温めてね。」
「サラダは俺しか食べないんだよなぁ。」
「食べさせるのもパパの仕事だよ。」
そう、パパになったんだよ。
「それはそうなんだけど嫌いなのはしょうがないんじゃないか?トマトだけは食べてるんだし。」
「もぅ、パパは甘いんだから。」
自分でも認めるくらい甘いと思う。しょうがないだろ、だって小さい頃の二葉に似たカワイイ娘だ。
「そろそろ出ないとマズイんじゃない?」
「あっ、ヤバ。もう行かないと。四葉ちゃんママお出掛けしてくるね、いい子にしてるんだよ。」
「………」
それでこの子が四葉だ。ほっぺを膨らませてムクレているけど。
「なんで四葉は朝から機嫌悪いんだ?」
「そっ、それはアレよ、アレ。」
二葉がごます時のヤツだな。
「ママがね、私が一年生になったら教えてくれるって言ったのにアレアレって良く解らない事を言って教えてくれないの。」
「何だそれ、パパでも教えられる事なのか?」
「そうよ!パパに教えてもらいなさい。そうよ、それがいいわ。」
「パパ?教えくれる?」
こういう時にパパの凄さを見せつけとかなきゃだな。
「まかせろ!なんでも聞いていいぞ!」
「じゃ、行ってきま~す。っと、パパ!アレ忘れてるよアレ!」
「おう、行ってらっしゃい。チュッ」
行ってらっしゃいのキスは毎回の決まりごと。
ちなみに初めてのキスは結婚式の時だったりする。
まわりからは『ロマンチック』『純愛なの』『憧れる』なんて言われたが、そんなのではない。
「ごめんねパパ。頼んだよ。」
なぜか謝られたんだが。
「あ~なんだか嫌な予感がするよ。面倒を押し付けられたような気がするなコレ。」
「行ってきます。」
「「行ってらっしゃい。」」
「ねぇパパ~。赤ちゃんってどうすれば出来るの?」
うわ、これかぁ。二葉のこじらせの原因だ。
でもちゃんと答えてあげないとな。
「葉月お婆ちゃんが言うには愛し合う二人が仲良くすると出来るみたいだよ。」
「それは知ってるよ葉月お姉さんが言ってた。でもママがそれは少し違うって。小学生になったら教えてくれるって言ったの。」
「お婆ちゃんの事お姉さんって呼んでるのか?」
「うん!パパもお姉さんって呼んでるからって。」
「ぐはっ。」
何年前の話だよ。今でもお婆ちゃんって呼ぶと寒気がするからお義母さんって呼んでるけど。
「ねぇ、ちゃんと教えて。じゃないとパパの事キライになるよ。」
おいおい、小学生が女を武器に使ってきたよ。
しかも俺が嫌われたらショックなのわかってて言ってきてるな。
「愛し合う二人が仲良くっするとっていうのは本当だよ。でねその二人がキスをすると出来るんだ。パパとママも結婚するまでしなかったんだよ。」
「………」
「四葉、ちゃん?」
「パパ、どうしよう。たっ君と幼稚園でキスしちゃった。」
おい!たっ君!おもてに出ろ!
「でも愛し合ってる訳じゃないんだろ?」
「うん、たっ君、マリちゃんともキスしてた。」
おい!たっ君!うらやま…けしからん!
「四葉とマリちゃんはどんな関係?」
「ともだちだよ。小学校も一緒なんだ。」
どんなラノベの設定だよ!
「まあ、アレだ。大人になってキスすると赤ちゃんが出来るって事だ。わかったかな?」
「うん、わかった!」
すまん未来の彼氏君。
娘はやらん!なんて言おうと思ってたけど優しくするよ。キスできないツラさは俺が一番知っているぞ。
できたら早撃ちのガンマンなら良いお酒が一緒に飲めそうだな。
ありがとうございました。
短編書いてみました。
よかったら読んでみてください。
一旦完結にしましたが続けます。
またよろしくお願いいたします。




