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アレを渡そう


 二葉が固まってしまった。


 顔はニヤニヤというよりウットリ?している。まあ、嬉しそうならいいか。ナイス!キムタク!


 二葉が動かないので、このタイミングで誕生日プレゼントでも渡そうかな?毎年渡すきっかけが無くて渡せなかった物だ。


 ルーレットを使えば、さりげなく渡せるだろう。


 そう思い机の引き出しからシルバーのリングを取り出す。もう四年も作り続けているから我ながら上手く出来た一品である。黒いガラスが嵌まっていて宝石に見えなくもない。


 引き出しの中にはガラクタの様なリングがゴロゴロしているのは秘密だ。 


 二葉の前に移動してから「おーい、ふたばー、次のルーレットは俺が回すぞー。それっ!」


 回した振りをして好きなポーズをしてもらおう。


「二葉の手だって、ちょっと出してくれる?」


 そろーっと左手を伸ばしてきたので、リングを付けてあげたい。小指には少し大きいみたいだな、中指は小さいか、薬指はピッタリ!よしここでいいか。


「誕生日おめでとう、二葉。」


 あれ?反応がない。そうか!セリフ言わないといけないんだっけ。

 こういう時のセリフ、セリフ。

 恋愛小説は読まないからなぁ。ハイファンタジーなら読んでるから、その中の誰かいないか。

 よし、これだ、姫に指輪を渡す騎士!俺の事も騎士って呼ばれてるから、ちょうどいい。役になりきるぞ!


 こうして、冷たくなった指先を温めるように手を握るんだよな。そしてセリフ。


「二葉!聞いてくれ!」


 ビックって指先が震えた!声大きかったか?声のトーンも落としてっと。


「私の心も身体もあなたに捧げる!私の瞳の色と同じ石を使った指輪をもらって欲しい。私を生涯の騎士にしてもらえないだろうか。」


 さらにここから決め!があるんだよな。なんか乗ってきたよ。ノリノリだぜ。


 チュッ!


 指輪に口づけして完成だ。どうだ?


「はっ、指輪?口づけ?さっきのセリフ?」


 ごにょごにょ?何か言った?


「嬉しい!」


 ガバッっと抱きついてくる、当たってるから、柔らかいの当たってるから。


 俺の俺が反応しないように、こう言った。


「次、ルーレットスタート!」


 回しちゃえ!


「まだやるの?もうお腹いっぱいだよ。しかも次のはあまり好きなヤツじゃないかも。もう少し指輪の余韻とか・・・」


 知らん、こっちは気分ノリノリなんだ、まだ付き合ってもらうぞ。


「二葉の両足が茶色!」


「はいはい知ってます。壁際の床だよ。はい、どうぞ。(でもイカサマルーレットだから操作しないとこのまま茶色しかでないよ)」


「ん?なんだよコレ!後ろに磁石か何か付いてたよ。」


 ベリベリ!「回すぞ!おお良く回るようになった!クルクル回ってるよ。さっきまでの何かおかしかったんだよなぁ。」


「止めて!もう終わりでいいの。完全に運ゲーになっちゃったよ。あーもう、オレンジ出るな!私の顔の横のオレンジ出るな!」


 クルクル、ピタッ!


「はい、出るよね!出る気がしてたよ、オレンジ!」


「じゃあ行くよ!俺の右手!オレンジ!ドーン!」




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