第一王妃の誘い
朝になり、男は部屋での朝食を終えると、ミーリンに案内をお願いしてすぐに街へと出かけた。
ミーリンとしては出かける事が好きなのだろうかとても楽しそうにしている。
そして今は広場に居る。 この広場の中央には噴水の泉があり、小さく上がる水流と有りがちだが彫刻女性の持つ瓶から水が流れ出ているのがわかる。装飾に青い宝石が多く使われているためか、日の光の頼りなさを十分に補っている。
この世界の人の時間感覚や習慣はまだよくわからないが、既にそれなりの人々が往来している。
ところどころに小さな出店もあることから、街の要所なのか移動の際に通過しているのかもしれない。
男が確認したかった時計は、広場の端の方にあった。高さが五、六メートルくらいありそうなポールの先に丸い時計っぽく付いている。 そのさらに上方に円形の板があるのは、宿屋のものと同様に、そちらが本体で見えている部分には魔法で投影しているのだろう。
上の方を見上げて確認していると、背中の方が妙に騒がしくなった。
人間の男が三人、ミーリンに詰め寄っている。
男が振り向き、状況に気付いた時、少し大柄の人物が割って入った。
背中に大きめの剣が目立つ、そして鎧、材質は木と皮の様だが、塗装と宝石類の輝きで豪華に見える。
日焼けした肌に束ねた長い黒髪は腰まであり、そしてホットパンツとロングブーツ装備による絶対領域がある。二センチくらい。 女性の剣士だ。
すると、三人の男達は、何かぶつぶつ言いながら去って行った。
「どうした?」
男が、ミーリンに駆け寄ってから聞く。
「ええと……なんでも無いのです」
ミーリンは説明しようとしてやめた。 あまり良い話で無いのは想像が付く。
「お前は第七王女様の」
そのミーリンに対して女剣士が聞く。
「はい、カテルミア様、助けて頂いてありがとうございます」
「その男は、お前の良い人なのか?」
女剣士は、優しい表情で聞く。
「めっそうもございません、この方は……」
ミーリンはいったん男を見る。 実は詳細を聞いていないのかもしれない。一緒に出かけることも想定されていなかった可能性もある。
「ん?」
男には、想像できる会話内容が中途半端過ぎて答えようが無い。
「……あ、すいません。 いまの主でございます」
「ふむ、そうなのか?」
そう言いながら、なぜか背中の剣を抜くと、男に視線を合わせてから、いきなり斬りかかった。
男は微動だにしない。 剣先は、眼前で止まっている。
「七姫様も参加されるとの噂は本当であったか」
「カテルミア様、何をっ」
ミーリンが慌てて、女剣士を止めに入る。既に事は終わっているが仕方ないだろう。
「すまないが、指輪をそのひとに貸してくれるか」
男は、ミーリンに翻訳指輪を女剣士に渡してくれる様に頼んだ。 その時、いつ外していたのか、速度減速指輪をはめた。
「どうぞ」
ミーリンは、自分の指から外して、女剣士に渡す。
女剣士は、翻訳指輪を受け取るとすぐにはめる。そして、跪いてからかしこまった風に言う。
「たいへん失礼いたしました。 無礼をお詫びいたします」
「あんた、強いな。 そして、その子が助けていただいた様だから礼を言わせてくれ。 ありがとう」
「こちらこそ、差し出がましい事をいたしました。 そして、あっさり見切られた。
近いうちに、お手合わせをお願いしたい」
「俺は、剣士じゃ無いよ? もちろん侍でもない」
「確かに、そのようでございますね」
帯刀していないこともあるが、他にも何か特徴があるのかもしれない。
「ああ、あんたみたいな美人さんとは、手合わせじゃなくて、会うだけならこちらからお願いしたいくらいだ」
「その様な言葉、幼少期に爺やに言われて以来でございます」
「そうなのか? 周りのやつは、見る目が無いな」
いつの間にか周りに来ていた部下らしい者達の方を見回しながら言う。
「では、これにて失礼いたします。 またお会いいたしましょう」
女剣士は軽く笑みを作ってそう言うと、指輪をミーリンに返した。
「またな」
言葉は、もうわからないだろうと、代わりに手も振った。
「何をお話になったのです?」
少し不機嫌気味にミーリンが聞く。女剣士の言葉に対してなんと返したかが気になったのだろう。 それと、助けてくれたとは言え、主へ斬りかかられたのだ。
「ああ、また会いたいなって」
「そっちですか。 たしかにお美しいですもんね」
「お前も、かわいいぞ」
「お戯れを……でも、あの方は、たぶん闘技会に参加されると思います」
「なるほど、手合わせとは、そういう意味か……当たるまで勝ち上がって来いと……
鎧相手、でも木製、されど木か」
「鎧は魔法で強化されていますよ」
「そういう世界だったな……関節技はヒンシュク買いそうだし……さらに、踏み込まずにあの剣速、
……絶対領域、下の短パン部分は防御弱そうだが、トイレの時に楽とかなのかな……だとすると、本戦では完全防備の可能性も……」
「とりあえず、行きませんか」
難しい顔でたたずむ男に、少しあきれた様にミーリンが促す。
「そう……だな」
男が、ちょっと気まずそうに答えると、ミーリンはその手を引いて歩き出した。
「行きますよ」
この世界では日常茶飯事かもしれないこの場のやり取りを、視界の外から意図を持って見つめる瞳は一組二組では無かった。
「俺、いがいと人気あるなぁ」
その日は、他にも要所を回って宿に戻った。 多少の事件はあったが、コンクリートの無い町並みは、目にも優しく、良い気分転換になったであろう。
三日後、闘技会一般枠の予選の日が来た。本戦はさらに一週間後となる。
当然、男は予選に出場する。
朝食を終えると、付き人が迎えに来ていた。第七王女は外出を許されなかったらしい。
「よもや、予選で負ける様なことは無いですよね」
付き人は、男の敗北は自分が責任を負うとでも思ってる風に少し怒り気味に言う。どちらの結果が本心かはわからないが、見届けて報告するのだ、予選程度では敗北を伝えたくは無いと思えた。
「あぁ、任せておけ……と、言っておこう」
男は、付き人が苦手なのか、余裕ありと彼女の事情などそしらぬ風に答える。
予選会場は、本戦と同じく闘技場が利用される。
参加者は、百人ほどは居るだろうが、広々としたグラウンドに整列するわけでもなく自由にしている。
個人参加であるはずだが、グループらしい者達も見受けられる。作戦として散らばっているグループもあるだろう。
やはり戦闘力が高いのか獣人が多めで、人間も比較的に体の大きな者ばかりに見える。そして、女性がいない。
予選のルールは本戦と違う。 上半身裸を含む装飾品および武器等装備品の使用禁止は実質魔法使用不可で、ギブアップか意識不明により失格、その上で出場枠の六人になるまでのバトルロイヤルとなる。
なお、魔法使いの広範囲魔法は観客を巻き込む可能性が高いため明確に禁止だ。 場外、観戦者を巻き込むと器物破損で済めばよいが傷害や殺人などの重犯罪にもなる。
女性が参加しないのは、上半身裸のルールもあるが、何より、先のルールを除けばなんでもありなためセクハラ的攻撃も許容されることだ。
過去に、悲惨な事件があったらしいことを男はそれっぽく教えられた。
男は、適当に人口密度の低く全体を見られる端の方に立つ。開始時間までは、できるだけ敵を把握するのだ。
ただ、端側、つまり観客よりの位置は、ある意味危険なエリアになる。
休むためとか戦いを避けようと端に寄ると、観客の中から攻撃される。 実際審判的な者も予選にはいないため、後見してる者を勝たせるためならなんでもやるということらしい。
結果として、その中を切り抜ける事も含めての予選なのだ。
男は、見た目を言えば、参加者の中ではかなり貧弱なため、最初は相手にされないとも思える。 だが、第七王女の後見の話は広まっており、注目される存在、実力者として早いうちに集団で潰しにくる可能性もある。
しばらくすると、特に整列や説明も無く、適当に開始の合図がされた。
後者だった。 数名が男を囲む。
「夜襲を受けるくらいには有名になったと実感してたよ」
へらへらとした笑みを浮かべる男達への独り言を終えるより先に、男に背を向けて守る様に立つ者が二人。
囲んだ男達の顔が険しくなる。
「お前ら、あっちへ行け……ああ、七姫様のとこの……」
「一緒にたたんじまおう」
「まったく、面倒が増えたぜ」
囲んだ男達が吐き散らす。
「貴様ら後悔するぞ」
二人は、そう答えてから囲んだ者たちへ向かう。 もちろん、二人を手配したのは七姫本人では無い、付き人の独断だ。
「ん? 余計なことを……といいたいが、断る理由も無いし言葉も知らん。 付き人さんの指示だろうし無下にすると面倒くさそうだ」
会話は理解できないが事体は把握できた男は、自らも相手を決めて向かう。指輪を外している男にしては普通の速度で。
だが、この戦いは、二名の強さもあるが、観客には、あまりにも卑怯な戦いに見える。
そのためか、汚いやじも多く、物を投げてくるものも居る。 婿候補の噂さえもあるため、ねたんでいる者も多いのだろう。
「あらら、観客も敵にしちまったかな。 まぁ、今は構わないか」
言葉の発し方から嫌な雰囲気を感じつつも、男は打撃と投げのみで余裕で戦って見せた。
人数が減り、男がひときわ大柄な男に向き合った時、ドラの音が大きく響いた。予選終了の合図だ。
予定通りの人数になったのだろう、各陣営の助っ人達が申し合わせでもしたかの様に徐々に降参していたのだ。助っ人の二人もいつの間にかいない。
「なんか釈然としないなぁ。 それに、お礼言いそこなったし」
男はつぶやくと、手を挙げて合図をしている担当者らしき者のもとへ移動した。
その夜、男は第一王妃より呼び出された。
闘技場を出たところで、待っていた付き人から告げられ、承諾したのだ。
そして、今、第一王妃の部屋に居た。 広々とした部屋だが、あまり暖色系の宝石を使っていないのか、豪華なわりに落ち着きがある。
一人の若い女性、年齢は二十代前半くらいか、豪華なテーブルに付いている。護衛は居ないのか、見えないのかは、今のところ不明だ。
第一王妃であろうその女性が男の方に顔を向けた。
「こちらへ」
優しい呼びかけで、扉を入ったところで突っ立って居る男を、テーブルの反対側の席へ付くように促す。
言葉が通じないことは付き人から知らされており、部屋へ入る前に翻訳指輪を付けさせられている。指輪のデザインは少し豪華に見える。
「失礼する」
男は、警戒のためか王族の部屋が物珍しいのか、辺りを見回しながら席へ付いた。
「お疲れのところすいません」
男は、予選とは言え戦いを終えてさほど時間が立っていないのだ。
「いえ、俺もお会いしたかったし」
「なぜです?」
「この国一番の美人さんだという噂を聞いていたからだけど……あ、言い方、気を悪くしないでくれよ」
真実としては噂など聞いていないが、流れで出した社交辞令的言葉を、男はきっとそういう噂はあると確証していた。
「下衆ですね」
「ごもっともだ。 じゃ、下衆ついでに、もう一言。 噂以上で、来てよかった」
「懲りない性格ですか」
「これも悪いが、俺は王族とか貴族とかそういう肩書には遠慮しない。 年輪と実績のある者には敬意をはらうけど」
「本日は、わたくしがお呼びした立場ですゆえ、この部屋の中に限り、あなたの言動に制限を付けるつもりはありません」
「部屋の外だと、他のやつがうるさいか、オーケーだ」
「では、本題に入ります」
「ああ、どうぞ」
「王は、殺されました。 犯人はどこかの国の暗殺者。
王国の混乱を狙ったものでしょう。
そこで、急な病死とし、女王を立てる事で混乱を生じさせない様にしたいのです。
もし、どこかの国の犯行であった場合、戦争となり、余計な血が流れます」
第一王妃は、なぜか王の死について語った。
「つまり、犯人は分かっているから、思惑に乗りたくないと……でも、なぜその話を俺に?」
「解釈はご自由に」
「ふむ、では、戦争まで行くのって、その目的も分かってるのか?」
「ええ」
「なるほど。 でも、次の手が来るのでは」
「はい、恐らく……もう」
「了解だ」
「ですので、闘技会を辞退してください」
「嫌だね。 そういう話を聞いたら、なおさらごめんだ。
俺が出ること自体が問題では無いんだろ」
「そうです。
七姫の婿の座を狙っているわけでも無いのなら、あなたがこだわる理由を教えてください」
「教えてやってもいいが、条件がある」
「あなたは、立場を弁えていますか? 今すぐ、衛兵を呼んで投獄もできるのですよ?」
「衛兵程度で抑えられると見くびられても困るが、それ以外のいくつかの気配はただものでは無さそうだ。
でもさ、とりあえず条件を聞いて見ないか?」
「確かに。 話を進めるためには、致し方ない様ですね」
「そう厳しい顔をしなさんな、可愛い顔が台無し……でもないな……
その顔も悪くない」
「あ、あなたは……」
「すまない、話がそれた。
条件だったな」
「そんな浮ついた人間、信用できませぬが……」
少しうつむいた顔に、顔を少し近づけて小声で言う。
「情報交換をして欲しい。 あんた、何か知ってることがあるはずだ」
「何を言い出す。 いや……お前は提示できる情報を掴んでいるということですか?」
「ああ、そうでなければ、こういう事になってない」
「いいでしょう。 しかし、先にそちらが話してください」
「おーけー。 俺は、たぶんこの世界の何かに関わっている。 いくつもの偶然の重なりによる流れで出る事になった武闘会だ。 何かしら掴めると思っている」
「では、あなたは優勝したいわけでは無いと?」
「そうだな、勝ちたいさ。
だけど、勝負だからな。 絶対勝てるなんて思ってるわけじゃない。
ああ、違うか、優勝を願われてるわけじゃない。
俺のちっぽけな武人の部分が勝ちたいと思ってるだけさ」
「そうですか、娘の恩人と聞きましたので、傷付いて欲しく無かったのですが」
「まさか、出るなってのは、そういう理由か?」
「はい、そうです」
「ちょっと待て……」
「はい?」
「あなたの持ってる情報を聞かせてもらってもいいかな? 今、あんたは、この国で一番偉い人だ、だから、心当たりは無いのか?」
「漠然としすぎた話ですね。 いったい、何について話せばよいのでしょうか?」
「ええと、察しが付かないと?」
「ええ、あなたに関わりそうな情報としては、魔法剣士様の事でしょうか?」
「強いですよね」
「はい、優勝していただくために戻って来ていただきました。
彼女に勝てる者はおりませんから」
「ほう。 つまり、ある意味出来レースか」
「そうです。 それが最も平和な結果です」
「他の王妃達は事情は知ってるのか?」
「知らせておりません。 それでは少し禍根が残りますから……ただ……」
「ただ?」
「気付いている可能性は否定しません」
「なるほどね。 皆さん思いは一緒と」
「王位は、いずれ誰かに王子が生まれれば譲らせるつもりです。 もちろん七姫も含めてです」
「では、そこからが本当の勝負だな。 いや、待てよ、そっちはとっくに始まってるか」
「各自思った様にすれば良いのです」
「ああ」
「ところで。 もう一度確認ですが、あなたは七姫の婿候補では無いのですか?」
「ほんとに違うぞ、そんな話これっぽっちも」
「そうですか、七姫は見る目がありませんね。 では、わたしの娘はいかがです?」
「何を言い出した? 浮ついたやつは信用できないんじゃ?」
「先ほどの言葉は取り消します。 一姫は、器量では七姫よりも上だと思いますよ」
「えっと、過大評価していただいてのお申し出、とても光栄ですが、俺はそういう立場に興味が無い」
ある意味王になる様なものだ。
「身分でしょうか? 変わった方ですね」
「ああ、ちょっと話が噛み合わないので、その話は、また今度でいいかな?」
話がではなく常識の部分がだろう。そういう立場を望む者は多いかもしれないが。
「そうですか、まぁいいでしょう」
「約束だったな、俺がどこの国の者か」
「はい」
「俺は、この世界の者じゃない。
こっちに来た理由も方法も、誰かの仕業なのかもわからない。
だから、右も左もわからないこの世界で、還る方法を探すより、まずは明日のご飯のために成り行きで行動してる。
だから、さっきの話になるのさ」
「理解出来かねます」
「嘘じゃ無いけど、信じてもらう必要も特に無いんだけどね。
そして、俺の居た世界では、戦争と謀略で世界が動いていた。そして、滅びに向かっている。
この世界、そうならなくていいなら、その方がいい」
「あなたは、この世界のために動いているつもりなのですね……」
「そこまで大げさじゃ無いよ。 平和が好きなだけさ。
いろいろ推測の域を出て居ないから、実際どうなのかもこれからだし」
「でも、人は、世界が違っても、あまり変わらないと思います」
「そうかもな」
「わたくしの話は、お役に立ちませんでしたね」
「いや、俺として大きな収穫があった」
「そうですか、そうであればよかった」
にっこりと微笑む自然体の笑顔は、嘘では無いと思えた。
「じゃ、帰るよ」
「抱いていかれませんので?」
「はい~?」
「先ほどから、胸を気にされていらっしゃいましたので、その気なのではないかと」
谷間を強調する様なドレスは、視線誘導されて当然だったろう。 ましてや、それが必要無いほどの美貌だ。
「あ、それは、大変失礼いたしました。
不快でしたよね」
「いえ、不快だなどと思いもよりません。
もう朽ちて行くだけのこの体、その様な視線をいただけるのは光栄です。
ですので、お役に立てるのでしたらお好きにしてくださいませ」
「ご厚意だけ受け取って、とにかく今日は帰るよ」
「わかりました。 一姫の事、よく考えておいてくださいませ」
「あ、ああ、また」
男が部屋を出ると、奥の部屋より誰かが出てきた。 王妃に近づき、離れて斜め後方に少しの距離をとって立つ。 近衛隊長兼付き人だ。
「あの男、どう見た?」
「真面目……という印象だけです。
見た目は、そうでも無いですが、中身は聖人なのかもしれませんね」
「おもしろいな……」
「はい」
「話については?」
「そうですね。 嘘は言っていないようですが、意味を計りかねます。 この世界のものでは無いと言うのも」
「ふむ。 あと、気になるのは、エルフが絡んでいる事だが?」
「エルフが王戦に望んで絡みはしないでしょう。 特に今回は。 七姫様が偶然引き込んだというところでしょうが、あの男に興味があるのかも知れませんね」
「わかった。 報告では力量もさほどでは無いらしい……放っておきます」
「御意」
「それに、あの物言いは嫌いでは無いしの…………第三王妃に関わらなければよいが」
「そうですね。 バンパイアが潜入しておりますので構っている場合で無いのは確かです」
「あの男には分かっていると言ったが、バンパイアを動かせるほどの敵、目的は読み切れない」
「今は、魔法剣士様にお任せしましょう」
「そうだな」