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菫ノ詩集

ひとり出る

作者: 堅香子 擬々

夏のホラーやろうと思ってたけど、忘れてた。



秋の夜風は怖い



ある秋のよるのこと


家々には光がともり


どちらこちらの草々の影もくっきり見えるよるのこと


ねずみ雲に隠れはするがちょろりちょろり月光が漏れるよるのこと


私から隠れた虫々がこちらこちらと手をふるよるのこと



右から塊となった風がやってきた


私はぼっーとたっていた


風がふいてふいて



左から塊な風がやってきた


私はまだぼっーとたっていた


風が吹く吹く



私はぼんやりこの町に月光が降らないか降らないかと鈍チンなねずみ雲を睨みながら思っていた


右から右から



左から左から


右から右から



左から左から




夜風は吹くのであった


風は塊



それは夜景をシルエットとした怪物で


私を何度も何度も何度も執拗に舐めに舐めに舐めに舐めた


ああ、この夜風は怪物だ


この風の生ぬるさは犬の唾液と同じ


ああ、私は舐められている



そう、わかったとき


視界の端でそよそよ風でゆれる干された服の影は私をとる黒い腕となって、この秋の声は怪物を呼び寄せる黒魔術の類いとなって、こちらを爛々と照らす作られた星々は一瞬にして私を見る複眼となった


そうして、

逃げるように私は家へ入った

すると、すると、

私は月光が降らなかったことを思いだし残念がっていた

まだ私の頬をすきま風が舐めているというのに


ああ、実に

秋の夜風は恐ろしい














つづかない( ̄ー ̄)

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