第六話 「ハードサンド・ドラゴン」
「第28回! 剣統一トーナメント開催!」
司会のその一言だけで会場全体が歓声の声で溢れかえる。
「赤コーナー! 自慢の腕で打った刀で参加だ! Mr.ジョー!」
「そして青コーナー! 若き男、どんな力を隠しているのか! ライア・ホルスー!」
なぜ今俺が、こんな大会に出場しているか、それは3時間前のことだった。
「おい、後どのくらいだ? ずっと馬車に乗ってるぞ」
「何を言っている。まだ馬車に乗って30分もたっていないんだぞ」
「マジですか! 私死んじゃいます……」
「こらこら早まるなリゼ」
まさかリゼが馬車で酔うとは、リゼの事心配してたら、俺も早く着かないかソワソワしてしまう。
頑張れ! リゼ!
「娘よ、後もう2400秒だ。秒で着くぞ、秒で」
「秒で! よし! 私頑張る!」
リゼ騙されるな、それは分で考えると40分になる。秒につられるな。
「小僧、それを娘に言うんじゃないぞ」
「はいはい。って、なんで俺の考えたことが?」
「これが私の能力だからだ」
能力って魔法とかとは違うその人固有か?
『そうだ。能力は基本、人間には付いていないものだ。モンスターなどは能力を持つものが多い』
へー、面白いな。
『だが、今の私ではこの能力は……』
あ、声が消えた。
「今の私は力が少ししかないから、能力を少しの間しか発動できない」
「なるほどね」
その後、何事もなく俺たちは土の国ソイルに着くことができ……いや、1つ問題があった。
「トラちゃん。嘘つきましたねー」
1人完全に酔っている奴がさらに酔いを悪化させていた。
「リゼーがんばれー」
「はい〜……」
その時、またトラの時と同じように俺の心臓に激痛がはしった。
「ぐっ! 反応してる!」
「来たか。よし行くぞハードサンド・ドラゴン」
「了解です。トランスペアレント・ドラゴン」
俺とはまた別の意思。この時俺の中には、ハードサンド・ドラゴンがいた。
「まずは龍神石を治しに行くぞ」
「了解です」
トラとハードサンド・ドラゴンは祠へと向かった。
『お体お借りしています』
ああ。別にいいぜ。この仕事はお前らにしかできないからな。
『ありがとうございます』
お前、なんで敬語なんだ?
『では、あなたは初めてお会いした方には敬語を使わないと』
いや、そういうことではないけど。トラが使ってなかったからさ。
『そうでしたか。ですが私はトランスペアレント・ドラゴンとは違います。それと私はあなた様をなんとお呼びしたらよろしいでしょうか』
ライアでいいよ。
『わかりました。ではライア様。これからよろしくお願いします』
おう。よろしくサン。
トラとサンは祠の前まで来ると、急にその場に止まり、暗い表情になった。
どうしたサン。なんかあったか?
『緊急事態です。祠の入り口が大きな岩で塞がれています』
マジか! どうにかしてその岩をどかせられないのか?
『方法はあります。ですが、それをするにはあなたの体に負担がかかってしまいます』
嵐を止めるために龍神石は必要だ。なんでも好きにやれ!
『ありがとうございます。では』
そう言って刀を取り出すと、何かぶつぶつと唱え始めた。
「大地よ、我が呼び声に応えよ。そしてこの刀に大いなる一撃を放つ力を! 土撃!」
周りに地響きがなり、真っ二つに岩がわれた。
「がはっ! ごほっ!」
「まだいけるか」
「はい」
2人は龍神石の前まで急ぎ、トラの時同様に龍神石を治した。
「終わったー!」
「おお、戻ったか」
「ああ。今回は結構負担が高かったぜ」
サンに体を貸す時と技を打つ時でな。
「それは大変だったな」
「まぁな」
ん? てか、なんか忘れてるような。
「あ! リゼはどこだ!?」
「あ、ついおいて来てしまった」
「このアホ! 可愛い奴め! 大好きだ! このやろー!」
「っ! ななな! 何を言っている!」
トラにはこれが1番きく。
「とりあえず、10分後にここに集合だ!」
そう言って俺とトラは別々の方向へリゼを探しに行った。
どこだリゼ! 変なやつにつかまるなよ!
「わああああ!」
「あいって! 大丈夫ですか!」
「ああ。大丈夫、大丈夫」
「すいません。よそ見してました」
やっちまった! 冷静になれ俺!
「大丈夫じゃよ。それより君、さっきの地響きと岩の割れた音を聞いたかい?」
「あ、それって俺だ」
「ええ! あれを君が!」
厳密に言うとサンだけど。
「君! 今すぐこっちへ!」
「いや! 俺急いでるんで!」
俺の言い分は聞かずそのままお爺さんに引っ張られていってしまった。
その結果、
「それではAブロック、第1試合! レディー! ゴー!」
開始のゴングがなり俺は無理矢理、剣統一トーナメントに出場する事になった。
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