第二話 「水の王国アクア」
「お嬢ちゃん。口のきき方には気をつけたほうがいいぜ」
ゆっくりと俺の胸のあたりに手を伸ばす。
なるほど。目的は体か。
「この外道め! 容赦はせん!」
俺が急に叫ぶものだから相手は一瞬ビクッとしてバランスを崩した。その隙を見て右足で相手の顔面に一撃喰らわせると、
「娘よ早くこっちに!」
リゼの手を引っ張り、その場を俺たちは去った。
「ね! 待ってください!」
「なんだリゼ? てか、ここどこだ?」
「ライアが連れてきたんでしょ? まさかさっきの事もう忘れちゃったんですか?」
さっきの事? 俺は確かリゼと飯を食ってたらその後男A.B.Cが来てそれから……なんだっけなー。
んー。わからん! 何も覚えてない!
「すまん何のことだ?」
「何のことだって、本当にわからないんですか?」
「ああ。全く」
少し自慢げに言う俺に、少し呆れた顔のリゼ。
「ライアが男達に連れて行かれそうになったところを助けてくれたんじゃないですか。なんかすごーく怖い目をして……ありがうございました」
「え? 最後なんだって?」
「なな何でも無いです! さ、早く服だけ買って帰りましょう!」
「お! マジか!」
その後リゼが俺の服を買ってくれてとりあえずは助かった。本当、ありがとうございます。
「今日どうするんですか?」
「どうするって、何をだ?」
「夜はどう過ごすんですか? 誰か知り合いガハハハ近くにいたりしないんですか?」
「いないよ。俺の知り合いなんか、龍神村にしかいないんだぞ?」
「龍神村!?」
急に叫ぶからおもわずビクッとしてしまった。心臓がバクバクいってる。
「龍神村って言ったら、ここから1,000キロ以上離れてる所ですよ! そんなところから川で流れてきたってどういうことですか!?」
「いや、俺に言われても……。そういや、ここってどこなんだよ」
「ここですか? ここは龍神村から西側に行くとある水の王国アクアです」
「アクア。聞いたことはある」
「この国はもともと砂漠のように乾燥した土地でした。でもある日、突如現れた水の龍が大地を潤し海までも創造したと言われています。それがトランスペアレント・ドラゴンです」
水のドラゴン。あの時の嵐と関係あるよな。あの嵐も5体のドラゴンが作り上げたものだからな。
「ですがここ最近。あまりこの土地に雨が降っていないんですよ」
「それもドラゴンと関係があるのか?」
「はい。原因は、何者かが龍の祠にある水の龍神石を割ったからと考えられています」
そりゃ龍も怒って雨を降らさないわけだ。もしかしてあの嵐も五属性の龍が怒ったからだったりしてな。
『黙れ小僧!』
ぐっ! また心臓が!
『勝手に私を悪者扱いするな!』
誰だてめーは。
『私は水の龍トランスペアレント・ドラゴン。貴様の刀に宿りしたのだ』
トランスペアレント・ドラゴン? リゼがさっき言ってたやつか。
おれの刀に? 何言ってんだ。
『私だけではない。今はまだ目覚めていないが他の4体の龍もだ』
は? 何言ってんだ?
『話は後だ。とにかく娘と共に龍の祠に向かえ!』
は? だから何言って?
『急げと言っている! 早く!』
わ、わかった!
「リゼ、龍の祠の場所わかるか?」
「は、はい。一応は」
「ならいい。早く行くぞ!」
「ええええ! どういうことですかー!」
そして俺はリゼの手を引っ張り龍の祠へと向かった。
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