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第一話 「リゼともう一人の俺」

「んー。今日もいい天気ね。早く水汲んでお洗濯しよっ……何あれ、ひと?」


「ぐはっ! げほっ!」


「咳してる! 君! 大丈夫!」


 女性の声……てかここどこだ。知らないところだ。俺は確か昨日嵐に巻き込まれて—


「んっ!」


 なんか今口塞がれたんだけど! でもなんか口の中に空気がはいってくるような……って! 人工呼吸じゃねいかー!


「ななな! お前なにしてんだ!」


「何って人工呼吸ですけど?」


「バカかお前! 知らない奴のくくく口によくできるなお前! バカか!」


「知らない人に二度もバカって言われたくありませんよ」


 問題点はそこじゃねえ! 本当バカかこいつ!


「こっちが意識しちまうんだよ。バカやろう」


「何か言いました?」


「なんでもない!」


 危ない危ない。俺もあったばっかの奴になにドキドキしたんだよ。俺もバカか。


「まあ。助かったのは確かだ。ありがとう」


「はい!」


 いちいち可愛いんだよ! なんだその敬礼可愛いすぎだろ!


「お前、名前は」


「リゼと申します! 元気のあるぴちぴちの16歳!今は一人暮らしで料理や洗濯、裁縫なんて朝飯前の家庭的美少女です!」


 なんだその自己紹介、可愛いすぎ。もうなんか冷えた体が暑くなってきた。


「リゼは便利やかなんかか? よくそんな長いセリフがすぐに出てくるな」


「早速リゼって呼んでくれて嬉しいです!」


「あっ! いやその、これは違くてな!」


 思わず言ってしまった! 俺のバカ野郎!


「何が違うんですか〜?」


「ええい! 次は俺が名乗る番だろ! 俺はホルス。ライア・ホルスだ」


「よろしくお願いします。ホルスさん!」


 これこそ100点の笑顔。この笑顔に惚れないやつなんているのか? 俺は惚れた。


「服が濡れていては風をひきますよ。私の家に来てください」


 手を握られたかと思うといきなりひっぱられて連れて行かれそのまま家に上がってしまった。歩いてる途中で心の準備は済ませた。


「これなんかどうでしょう!」


「おい。これは一体どういうことだ」


「もちろん服を選んでいるのですけど? 女性用ですけど」


 そう。俺は今リゼに服を選んでもらっているのだが、何故かリゼの持ってくるものは全て女物。しかもその理由が、「家に女性用の服しかないんですもん。仕方ないじゃないですか。顔可愛いですし服着たら女性にしか見えないですって! 大丈夫ですよ!」一体何が大丈夫なのか。


「服がないなら自分で買うよ」


「お金あるんですか?」


「ああ。ここにある……あれ? ない? なんで?

なんでないの?」


「そりゃ川しかないでしょうね」


 あ、マジすか。

 一気に気が抜けてその場にしゃがみ込む。


「マジかー。終わったー。刀もどっかでおとしたっぽいし。終わったわー」


「刀ならここに」


 リゼが刀を見せた瞬間俺はリゼの方に飛んで行った。俺は犬か!


「ありがとうリゼ! 好き! 大好き! 愛してる!」


 俺がそう言った瞬間、左頬に激痛が走り吹っ飛ばされた。


「ばばばバカじゃないですか! あったばっかなのに好きとか! 考えられません!」


「人工呼吸はよくて好きはダメなんだ。てか俺、勢いで好きとか言っちゃった」バカ野郎。


「早く服着てください」


「はいはい」


 っで結局女性用の服を着ると。わかってましたよ。俺の心が今にも崩れそう。


「もうすぐお昼なので、ご飯でも食べに行きましょう!」


「わかったよ」


 この格好でね。わかったましたよ? はい。わかったましたよ? もう俺の心の3割が……。


「何食べます?」


「心の傷を治せる万能激うまな肉」


「個人差ですね」


「そうだな」


「とりあえずパスタでも食べましょう」


「ああ」


 この店で食事を楽しめないのはたぶん俺だけだ。

 やばい。人が俺を笑っているようにしか見えない。頭は伏せておこう。


「パスタきましたよ」


「早いな。むぐっ!」


 頭をを上げた瞬間、トマトの香りが口いっぱいに広がった。ってこれは例のやつだ!


「可愛い女の子からのアーンですよ。元気出ました?」


「はい……」


「それならよかったです」


 可愛い。その一言に限る。


「おいおい! 見せつけてくれるじゃないか!」


「なんだお前ら」


「女の子がそんな顔したらダメでちゅよー」


「ガハハハ!」


 ガキかこいつら。しょうもない。ほっときゃ大丈夫だろな。


「ちょっと止めてください!」


「あ?」


「バカ、あいてにするな!」


「ここは楽しく食事をする場所です! 私は彼を元気付けようとしてしただけの事です! バカにしないでください!」


 こいつ勇気あるな。すごいよお前。


「あ? なんだテメー? なかなか良い顔してるじゃないか。俺達と遊ぼうぜ?」


「いや! 離してください! やめてください!」


「おい! 何やってぐっ!」


 なんだ急に心臓が!


「おいどうしたお嬢ちゃん? もしかして俺達と遊びたいのか?」


 リゼから聞いた話によると、俺はその後男3人を持っていた刀は使わず素手で倒したらしいが、俺はその時の記憶が無い。だがリゼが言うに、その時の俺の目つきは別人かのように鋭く相手を睨みつけていたらしい。


「なんだよ、お嬢ちゃんも早く行こうぜ!」


「離せ」


「あん?」


「その娘を……話せと言っている」

読んでいただきありがとうございます!

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