第十二話 「仮面の男」
俺は誰かに肩を掴まれた。その時感じたのは『恐怖』だった。いままでの奴らとは全く違う。経験の違いから来るような恐怖。だが、殺意とはまたちがうようだった。
「おい小僧」
その時聞いた声は少し聞きづらい低い声で、少し若いような感じだった。
「な……なんですか」
少し後ろを向くが影で顔は確認できない……いや、黒い仮面をつけていた。
「そこにお前の探している女はいない」
「なんでそれのことを知っているんだ。まさか、お前がリゼを!」
俺は刀を抜くと後ろの男に切りかかった。
「あまい。隙がありすぎる!」
「ぐはっ!」
まるで俺の動きを全て予測し、俺の隙を突いているような動き。やはり強い!
「リゼをどこにやったー!」
「落ち着け小僧。俺は何もしていない」
男は俺の攻撃を軽々と避ける。
「ではなぜ知っていた!」
「細かいことは言えない。だがリゼの居場所はわかる。俺の言う通りにしろ! 手遅れになる前に!」
男は俺の胸ぐら掴んで言った。その言葉には焦りがあった。
「手遅れ? そんなにリゼは危険なのか!」
「このままではただでは済まん」
「とにかくリゼのところまで連れて行ってくれ!」
俺がそう言うと、男は錆びた刀を取り出して地面に刺した。
「この刀に触れて目を閉じろ」
俺は男の言う通りに刀に触れ目を閉じる。
「行くぞ」
「え、行くってどこ……に」
俺はそのまま意識を失った。
「おい、大丈夫かライア」
「う……頭が痛い……え、ここって」
俺は辺りを見渡し驚いた。そこは至る所に機会と炎、たくさんの人で賑わっていた。
「ここってクリムゾンじゃ……」
「ああ。ここは炎の王国クリムゾンだ」
「だって、さっきまで森の中に……」
「細かいことは後だ。とりあえずリゼを助けに行くぞ!」
俺は男に手を引かれ、初めての道を知らない男と走っていった。
読んでいただきありがとうございました!
ブックマークと感想お願いします!