第九話 「黒い村」
「あのー、お2人さん?」
俺の膝の上に2人。そう、サンとリゼだ。
2人とも気持ち良さそうにスピーっと寝息をたてて寝ている。意識してるとすごい恥ずかしい。
まあ、それをさっきからちらちら見ていたやつが、俺がこんな事を考えていたら急に顔をしかめはじめた。
「おいトラ、さっきから俺の考えてること全部聞いてんだろ?」
「なんの事だか、私には何もわかりませんよ」
「そういうとこも可愛いぞ」
「なっ!」
俺の言葉に動揺してトラは一瞬馬車の操作を誤り、少し傾いた。動揺って怖い。
「おい危ないぞ!」
「ライアのせいじゃないか! 急に可愛いとか言い出すから……」
トラ可愛すぎ。マジで、結婚しよう。
「ライア! 何を考えているんだ!」
「ほらやっぱり聞いてたんじゃないか」
「試したな! 許さんぞライア!」
「ならこの状況をどうにかしてくれ。足が痺れてきた」
マジで足が痺れてもう冷や汗も出てきて結構限界に来てる。
「あと少しで近くの村に着く。そこで少し休もう」
「村? 次の国に行くんじゃないのか?」
「何を言っている。次の炎の王国クリムゾンまでまだまだかかるぞ」
「まじかー」
その時、俺はふと窓から外を見た。
「おいトラ……あれが今から行こうとしてる村か?」
「そっちからも見えたか。あれが私達が今から行こうとしている村だが、何かおかしい」
俺とトラが見た先にあったのは、建物が黒くこげ、いくつか倒れかけている建物があり、人の影は全くない不気味な村だった。
「たぶん、この焼きあとは炎の龍、フレイムバーン・ドラゴンの仕業だな」
「炎の龍? 炎の龍ならここにいるぞ?」
「たぶん、刀に宿る心ではなく龍神石の破壊による暴走した力が原因だろうな」
「なるほどな。とりあえず村まで行ってみよう」
そうして俺達は急いで村に向かった
「なんだ……これは」
そこで俺達は炎の恐ろしさを目の当たりにすることになる。
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