プロローグ 「村人ライア・ホルス」
「今日もあついな〜」
小さな村の小さな家に住むこの俺、ライア・ホルスは今日も汗水流し畑仕事。
「母さん。とった野菜ここ置いとくね」
「ありがとねライア」
優しい母に少し厳しいけど本当は優しい父。裕福な暮らしではないけれど3人仲良く暮らしている。
「ライアも今年で16なんだから、自分のやりたい事してもいいんだよ?」
やりたい事か。これといって尊敬する人や仕事もないしな。趣味と言ったら、爺ちゃんが昔使ってた刀を少し握ったり磨いたり......そんなもんだな。
「適当に一人で生きてくよ」
「そう? まあライアにも良い嫁さんができるさ。私みたいに」
「それ自分で言うんだ」
そんなたわいもない話をしていると父さんが仕事から駆け足で帰ってきた。
「母さん! 早く荷物まとめて家に戻れ! 20年前の嵐がまたきそうなんだ!」
「え! あの嵐がまた!」
20年前って俺が生まれる前強い嵐があったのかな?
「2人とも一体どうしたんだよ」
「話は後だ。とにかくお前も荷物まとめて家の中に入れ!」
こんなに焦ってる2人を見るのは初めてだ。
家に入ると窓と扉を閉めいつでも避難できるように荷物をまとめた。
「父さん一体20年前何があったんだよ」
「--あの嵐は化け物だ。お前も五属性の龍というのは知っているだろ」
「ああ。昔世界を創造し、そして滅ぼそうとした火の龍、水の龍、木の龍、土の龍、闇の龍のことだろ」
「そうだ。その5体の龍が巨大な嵐を作ったと言われている」
五属性の龍。この龍神村の近くに頂上が見えないとても大きな山がある。そこに昔封印されたと聞いていたが20年前に突如としてその封印が解かれたらしい。
「父さん風が強くなってきた。家潰れたりしないよな?」
「家は大丈夫かもしれんが、隣の小屋は潰れるかもしれんな」
その時、近くで強い光が放たれ数秒後周りに響き渡る大きな音をたてた。
雷がどっかで落ちたか。本当に家大丈夫だよな?
その後も何度も大きな音が響き渡り強風で家が少し揺れたり、屋根から水がポタポタと落ちてきていた。
「水がそこらじゅうから漏れてきてる。このままだと危ないかもな」
「お父さん、バケツ何個それにタオルとか、木の板とかもあったわよね? あれ使いましょうよ」
「そうしたいがあれは小屋の中だ」
小屋の中にバケツやタオルがあるのか。家から小屋までの距離はそこまでない。急いで行けば大丈夫だよな。
「父さん。俺がとってくる」
「ダメだ! 外は危険すぎる。今行けばどうなるかわからないんだぞ!」
「このまま家にいても3人共死んじまうかもだろ!それなら今できる事を何かするべきだろ!」
「ぐっ……」
唇を少し噛み押し黙る。多分、父さんもこれしかない事はわかってるんだろうな。
「父さん。もし俺が死んだら、母さんのことよろしくな!」
「わかった」
俺は家を飛び出し、小屋のある方へ向かった。
雨のせいで目が開けづらい! 風で今にも倒れそうだ! 近くで雷の落ちる音が聞こえる!
「くそ! 早く小屋に行きたいのに!」
もうすぐのはずだ! 頑張れ俺!
風の勢いに耐えながら一歩ずつ足を進めていく。
もうすぐのはずだ。
「あ! あった!」
小屋は大きく揺れ今にも潰れそうだ。
早くいるもんとって家に戻ろう。
俺は小屋に入りバケツの中に濡れないようにタオルを数枚入れ。その上に工具と木の板をいれ、もう片方の手でバケツをもう一個持った。
「よし。じゃあ出る……そうだ爺ちゃんの刀」
これは俺の大事な刀。これは持っていかなきゃ。
小屋を出てすぐに家の方へ向かった。
「家の近くには川がある。足を滑らさないように気をつけないとっうわ!」
その時、俺のすぐそばに雷が落ち俺は手に持っていた荷物を落とし倒れた。
「くそ! 刀が!」
強風で刀がどんどん川の方へと行ってしまう。
俺は荷物を拾わずそのまま刀の方へとかけていった。
「刀! ってうわあああ!」
刀を拾ったがそのまま強風で俺自身が川の飛ばされてしまった。
このまま死ぬのか俺まだ人生楽しみたかったのに!
そのまま俺は川に落ちていった。
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