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3-11 杯のナイト

アル様が、いない。

いや、厳密には王城内にはいるはずだ。

しかし、どこへ行っても会えないのだ。


まずは執務室へ行ったのだが、アル様はいなかった。

「殿下なら、騎士団の視察に行っていますよ。」

オリバーさんに言われて騎士団の本部へ行ってみる。

すると、騎士団の人から

「殿下なら、少し前に国王陛下に呼ばれて出ていかれましたよ。」

と言われてしまう。

こんな感じで、どこへ行ってもアル様に会えないのだ。


最終的に

(そろそろウェディングドレスの調整の時間ね。今日は諦めよう・・・。)

そう思って自室に戻ると、

「マリナ様。先ほどアルバート殿下がお越しになりました。特にご用事があったわけではないようですが。」

とアニエスさんに言われてしまった。

何だか膝から力が抜けていく気がして、ソファに座りこむ。

何なの、このすれ違いっぷり。

(やっぱり、相性が合ってないのかな・・・。いや、まだ決めつけちゃだめよ!)

そう自分に言い聞かせて、また翌日もアル様を探しに行くことを決意する。

しかしその後も会うことができないまま、数日が過ぎたのだった。


夜。

ベッドに入った後、なんだか泣けてきてしまった。

「何でこんなに会えないの・・・。神様に結婚を反対されているみたい・・・。」

泣いていることが侍女さんたちにばれないように、ベッドに潜って一人静かに涙を流す。

一度マイナス方向に思考が行ってしまうと、どんどん悪い方へと考えてしまう。

なんで、なんで、なんで。

そればかりが頭の中を回っていて、なかなか寝付くことができないのだった。


翌日。

やはり一番いる可能性が高い場所として、執務室を訪ねた。

すると、

「殿下なら、ちょっと働きすぎでしたので自室に閉じ込めました。」

とオリバーさんが教えてくれた。

急いでアル様の部屋へと向かう。

部屋に着くと、やっとアル様と会うことができた。

「マリナ?!会いに来てくれるなんて嬉しい。」

殿下は笑顔で迎えてくれたのだが。

「アル様のバカぁ!!!」

私は思わず怒鳴ってしまっていた。

そうして、同時に泣き出してしまう。

「探しても探しても会えなくて、神様に結婚を反対されているようで、このままじゃ私、結婚できない・・・。うぅ~・・・。」

アル様が悪いわけじゃない。

自分が言っていることが支離滅裂なのも自覚している。

でも、やっと会えた安心感から、感情があふれ出して止まらない。

そんな私の様子に驚いたらしいアル様は、それでも優しく抱きしめてくれた。

「中々時間が取れなくてすまない・・・。」

「違うの。アル様が悪いわけじゃないことは分かってるの。ただ、やっと会えたから安心して・・・。」

アル様の腕の中は心地よく、やはりここが自分の居場所なのだと自覚する。

「アル様・・・。好きです。大好きです。」

「ああ。俺も、マリナの事を愛している。」

互いの体温を確認するように、ぎゅうっと抱きしめあう。

私は、かなりみっともなく泣いてしまったのだけど、アル様は気にした様子もなく、そっと涙を指で拭ってくれた。

そうして、唇にキスを落としてくれる。

それだけで心の中が満たされていくのが分かる。

ここ数日、悩んでいたことが消えていく。

「アル様。私、アル様のお嫁さんになって良いんだよね?」

「当たり前だ。マリナ以外なんて、ありえない。マリナが良いんだ。」

「嬉しい・・・。」

まだ少し涙目のまま微笑むと、アル様はもう一度キスしてくれた。

ゆっくりと、名残惜しく唇を話した後、互いの額をつけたまま、微笑みあう。

そこで、今更なことを思い出した。

「そういえば、オリバーさんからアル様が疲れてると聞いたけど、大丈夫?」

「ああ。マリナに会えなくてやる気が出なかっただけだからな。もう大丈夫だ。」

「へ・・・?」

私に会えないと、仕事の効率が落ちるの?

それってマズいような、嬉しいような、複雑な気持ちになってしまった。

微妙な顔になった私を気にすることなく、アル様は私をお姫様抱っこでソファへと連れていく。

そのまま自分の膝にのせてソファに座ると、私の肩口に顔をうずめた。

そんなアル様を可愛いと思ってしまった私は、片手でアル様の頭を撫でる。

手入れの行き届いた髪は触り心地が良く、ずっと撫でていたくなってしまう。

そうしてしばらく触れ合っていると、部屋の扉がノックされた。

「アニエスでございます。マリナ様はいらっしゃいますか?」

そこでハッと時計を確認する。

「王妃様とロレーヌのお母さまがいらっしゃるんだった。戻らなきゃ。」

「そうか。仕方ないな。」

本当はもう少し一緒にいたい気持ちを抑え込んで、アル様から離れた。

「それじゃあ、またね。」

「ああ。またな。」

そう言って、アル様は私の額に口づけをしたのだった。



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