3-6 審判
それからも、エリィ様とルーイ様はちょこちょこ会っては一緒に遊んでいる。
お互いにお妃教育や仕事で忙しく、中々会うことができないでいる私とアル様とは大違いだ。
エリィ様を羨ましいと思ってしまったことは内緒にしておいてほしい。
「エリィが好きそうな本を見つけたんだ。一緒に読もう!」
「うん!ありがとう、ルーイ。」
まだ幼い二人が仲睦まじくしている様子は、こちらまで自然と顔がほころんでしまう。
そんなある日。
いつものようにルーイ様の部屋からエリィ様の部屋へと帰る途中で、私は後ろからふわりと抱きしめられた。
「アル様・・・。エリィ様の前です。自重してください。」
「嫌だ。マリナが足りない。離したくない。」
困った顔をする私。
私の肩口に顔をうずめたまま離す気がないアル様。
そんな私たちをキョトンとした顔で見上げるエリィ様。
うーん・・・どうしたもんか。
私が悩んでいると、エリィ様がニッコリと笑って言った。
「マリナ。私は先に部屋に行ってるね。」
「え?でも・・・。」
「護衛の騎士もいるし、大丈夫!」
そう言って、騎士だけを連れて、エリィ様は行ってしまった。
私はと言えば、アル様に手近な空き部屋に連れ込まれてしまう。
アル様は改めて正面から私を抱きしめると、
「会いたかった・・・。」
そう呟いて口づけを落とした。
「私だって、同じ気持ちですよ?」
キュンとしてしまった私は、そう言って自分からアル様に抱きついた。
「嬉しいな。」
アル様も私を抱きしめ返してくれる。
そうしてしばらくの間、互いのぬくもりに体を預けたのち、見つめあって笑いあう。
アル様のエスコートで部屋の中にあったソファへと移動した私たちは、二人でピッタリと寄り添いあって座った。
お互いに近況報告やたわいのない話をする。
少しの間そうしていた後、ふと会話が途切れたところで、アル様は私の額にキスをした。
「わがままを言ってすまなかったな。マリナを充填できたから、また仕事できそうだ。」
もう仕事に戻ってしまうのかと少し寂しくなった私は、アル様の頬に口づける。
「もう少しだけ、一緒にいたいです・・・。」
顔を赤くしながら勇気を出して本心を伝えると、アル様はとろけるような笑顔で私の唇を奪った。
「・・・んっ・・・。」
いつもより長めのキスは、頭の中がしびれて、全身の力が抜けていく感じがした。
しばらくして唇が離れても、ポーっとアル様を見つめていると、困ったように笑われた。
「そんな顔をするな。この場で押し倒したくなる。」
そう言われて一気に顔に熱が集まった私は、慌ててアル様から目をそらし、自分の顔を両手で押さえる。
(今私、どんな顔してたの?!)
無自覚だったため、どうしたら良いのか分からない。
アル様はポンポンと優しく頭を撫でて、立ち上がった。
「またな、マリナ。」
「は、はい・・・。」
アル様が部屋から出て行っても、私はしばらくそこを動けなかった。
何とか気持ちを落ち着けてエリィ様の部屋へ行くと、エリィ様はニコニコと話しかけてきた。
「私ね、ルーイといると楽しいの。だから、マリナもアルバート殿下といると楽しいでしょ?」
純粋な目でそう言われて、また少し顔が赤くなってくる気がする。
「そうですね。アル様といられると嬉しいです。エリィ様、ありがとうございました。」
「どういたしまして。」
私がお礼を言うと、嬉しそうにエリィ様も答えてくれたのだった。
ありがとうございました。
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