3-4 剣の10
ある日。
アル様からエリィ様の部屋を訪ねると連絡があった。
いったい何の用事かとエリィ様と首をかしげていると、アル様がやってきた。
ひとまずは皆でソファに座り、侍女さんが淹れてくれた紅茶を飲む。
「それで、今日はどうしたんですか?」
言いにくい話なのか、中々話し始めないアル様に問いかける。
「ああ・・・。エリザベス王女の今後の処遇の話なのだが・・・。」
そう聞いて、私の隣に座っていたエリィ様が緊張したのが分かった。
「やはり、シュトライゼンの王族と縁を結んでもらうのが一番良いという結論になった。俺の従弟にあたるルーイと婚約してほしい。」
エリィ様は何も答えない。
いや、答えられないのだろう。
わずか四歳で婚約とか言われても、私だってピンと来ないはずだ。
「エリィ様に婚約というのは、まだ早いのではありませんか?それに、ルーイ様がどんな方なのかも分からずにお返事するのは無理があると思います。」
「エリザベス王女の安全を考えたうえで最良の策なんだ。シュトライゼンの王族と縁を結べば、反乱を考えていた者たちも黙るだろう。今の王族で年齢的につりあうのが七歳のルーイだけなんだ。」
アル様も、子供に無理を言っているのだということは分かっているらしい。
それでも、エリィ様の安全を第一に考えた結果が王族との婚約だということらしい。
「ルーイ様とは、どのような方なのですか?」
「ああ。父上の弟であるルーベン叔父上の次男だ。本が好きで、利口な子だ。活発ではないが、明るい性格をしている。」
「良い方・・・なのですね?」
「ああ。」
私の問いに、殿下は力強くうなずいてくれた。
私は、エリィ様の手をそっと取ってゆっくりと話しかけた。
「エリィ様は、どう思われますか?」
すると迷うように視線がさまよったのち、小さな声で返答があった。
「よく、わからない・・・。」
当たり前の答えだった。
私は気にすることなく、さらに言葉を紡ぐ。
「では、私の考えをお話してもよろしいでしょうか?」
エリィ様は困ったような表情で私の顔を見る。
「一度、ルーイ様とお会いしてみてはいかがでしょうか。それから、もう一度エリィ様がどう思うのか考えてみてもよろしいのでは?」
「マリナも、一緒に来てくれる?」
「エリィ様がお望みなら、もちろんご一緒します。」
「わかった。会ってみる。」
そう言って、エリィ様はうなずいてくれたのだった。
「マリナ。言いにくいことだが・・・この婚約はほぼ決定事項だ。エリザベス王女の言葉で覆すことは難しいぞ。」
「承知しています。ですが、エリィ様の気持ちを無視して強引に進めるのは反対です。」
アル様がくぎを刺してくるが、私はきっぱりと言い切った。
こうして、四歳の女の子と七歳の男の子とのお見合いがセッティングされたのだった。
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