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2-23 杖の6

そうしてしばらくスキンシップをしていると、扉をノックする音が響いた。

「アニエスでございます。マリナ様のお支度に参りました。」

今日から正式に私付きの侍女となったアニエスさんだ。

「今、行きます。」

扉越しにアニエスさんに返事をして、アル様の方を見る。

「アル様、また後で。」

「ああ。わかった。」

そこで、ちょっとしたいたずら心が湧いた私は、勇気を出してアル様の頬に口づけてみた。

アル様は一瞬驚いた顔をした後、とろける様な笑顔に変わり、私の頭を引き寄せると、唇にキスをされた。

二人はゆっくり離れ、互いに微笑みあって、そうして名残惜しく手を放したのだった。


アニエスさんと二人、王太子妃用の部屋へと移動する。

そこには衣裳部屋が併設されており、そこで支度をする。

ドレスは、アル様のタンザナイトの瞳と同じ青色だ。

シンプルめではあるが、濃紺とシルバーのリボンがアクセントとしてあしらってあり、華やかだ。

スカート部分には贅沢にたっぷりと布が使われており、少し動くだけでふわりと揺れる。

髪もゆるふわ巻きにされ、一部を編み込まれて素敵な仕上がりとなる。

もちろん顔も、プロのメイク術で別人のように仕立ててもらった。

たっぷり時間をかけて入念に準備された私は、王太子妃らしい見た目へと出来上がった。

あとは、私自身の所作が美しければ問題ないはずなので、気合を入れる。

そうして衣裳部屋から王太子妃用の部屋へと戻ってくると、先に支度を終えていたらしいアル様が待っていてくれた。

「俺の色のドレスだ。よく似合っている。」

とろけた笑顔でそう言われて、何だか照れてしまう。

「ありがとう。アル様も、とても素敵。」

夜会用に凝ったデザインの服に身を包んでいるアル様も、いつもよりさらにカッコよく見える。

「そうか?ありがとう。マリナに気に入ってもらえたなら嬉しい。」

そこで、扉がノックされた。

「アルバート殿下、マリナ様、そろそろお時間です。」

護衛のエリクさんとディオンさんが呼びに来てくれたらしい。

「行こうか。」

そう言って差し出された手に、自分の手をのせる。

「はい。」

アル様のエスコートで、夜会会場である大広間へと向かったのだった。


大広間の横の控えの間で、国王陛下と王妃様、アル様と私で出番を待つ。

まずは国王陛下と王妃様が出て、集まってくれた貴族の皆様に労いの言葉をかける。

続いてアル様と私が出て、国王陛下と王妃様へ礼をし、貴族たちにも礼をしたのち、お披露目の意味をこめたダンスを踊る。

初めての夜会ではいっぱいいっぱいだったダンスも、少しは上達したと思う。

「すごく上達したな。」

「そうだとしたら嬉しい。ありがとう。」

そんな会話を楽しむくらいには余裕ができた。

ダンスを一曲踊り終えてまた皆に礼をする。

そこからは挨拶の嵐だった。

次々と色々な人に話しかけられ、それに淑女として返事していかなければならない。

アル様も隣にいてくれるし、メインで話してはくれるが、黙ったままというわけにもいかない。

ただ、お仕事の出張で施術(せじゅつ)をしたことのある方も多く、話題には事欠かなかった。

話している感じだと、実際に爵位を持っている男性陣には概ね受け入れられているようだ。

そんな私に敵意を向けてくるのは、やはり一部のご令嬢方だった。

アル様の隣にいるからしかけてはこないが、私の悪口に花を咲かせているのだろうことは、何となくわかる。

(彼女たちを納得させる良い手はないものかな・・・?)

そんなことを考えているうちに今夜の夜会は終わった。



ありがとうございました。

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