表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/63

2-22 杯の2

そうしてやってきたアルバート殿下の私室は、さすがは王太子の部屋だけあって、扉からして豪華絢爛だった。

その扉を慣れた手つきで開いた殿下は、私を中へと促してくれた。

私はかなりドキドキしながら、そうっと部屋の中へと足を踏み入れた。

部屋の中は、最低限の家具が置いてあるだけで、スッキリとしている。

でも、その家具はどれも最上級品だろう。

部屋には入ったものの、どうしたら良いのか分からず立ち尽くしていると、殿下が声をかけてきた。

「マリナ?どうした?」

「いえ、あの・・・。男の人の部屋には初めて入ったもので、どうしていいのかわからくて・・・。」

恥ずかしさに顔を赤くしてそう言うと、殿下に抱きしめられた。

「で、殿下?!」

「可愛いことを言ったマリナが悪い。それに、正式に婚約したのだから、もう我慢しないぞ。」

そう言って私の顎をすくって上を向かせた殿下は、そっと私に口づけた。

一瞬唇が重なっただけの軽いものだったが・・・。

(私のファーストキスですよ、これ!!!)

そう自覚すると同時に、私はパニックになる。

アワアワと変な動きになってしまう私を見て、殿下が眉を下げる。

「嫌だったか?」

「違います!」

そこは急いで否定した。

「た、ただ、初めての事づくしで、頭の処理が追い付かなくて!ああもう、こんな時はどうするのが正解なの?!」

遂には両手で顔を覆って俯いてしまった私の頭を、殿下がクスクスと笑いながら優しく撫でた。

「そうだな。とりあえずソファに座って落ち着くか。」

「は、はい・・・。」

そう言われて、二人でソファへ座る。・・・って、あれ?

「殿下?何故となりに?」

いつもは対面に腰かけていた殿下が、何故か私の横に寄り添うように座っている。

「いつもは触りたいのを我慢していたからな。正式に婚約したのだから、構わないだろう?」

そう言って、私の手を握った。

(落ち着けない!これじゃ全然落ち着けないよ!)

私の心の叫びとはうらはらに、殿下はご機嫌でニコニコとしている。

「マリナは男に慣れていないんだな。これからゆっくり()()触れ合っていこう。」

少し独占欲が混じった言葉に、嬉しいと思ってしまうのだから私も重症だ。

殿下の手は、剣も扱うからかゴツゴツとしていて皮膚が硬く、頼もしい感じがした。

(温かい・・・。)

私の手よりも大きなそれに包まれて、ドキドキが安心に変わっていく。

「なあ、マリナ。頼みがあるんだ。」

「何ですか?」

「公式の場では仕方ないが、こうして二人きりの時は俺の事を『アル』と呼んでくれ。敬語もいらない。」

そう言われ、私は目をパチパチさせながら少し考えて口にする。

「・・・アル様?」

私がそう呼んだのがよほど嬉しかったのか、満面の笑みで抱きしめられた。

「嬉しい。ありがとう。」

私はほわほわと夢見心地になりながら呟いた。

「アル様。大好き。」

それを聞いたアル様はさらに強く私を抱きしめて、

「ああ。俺もマリナの事が大好きだ。」

と答えてくれたのだった。


ありがとうございました。

これからも二人のイチャイチャが読みたい方は、下の「☆☆☆☆☆」をポチっとして評価をお願いします。

また、ブックマーク登録もしていただけると嬉しいです。

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ