2-15 剣のペイジ
その後、私は自分の身を守るべく、結界魔法の勉強も始めた。
何者かが結界に触れたら私が感知できる。
とりあえずそのレベルの物で良いから、眠っていても使いこなせるように練習する。
エリクさんとディオンさんに協力を依頼したが、眠っている女性の部屋に入るのは騎士道に反するということで、アニエスさんを始め、侍女の皆さんに協力してもらうことになった。
侍女の皆さんは、少数ながら夜番の人もいるようなので、その人に私の部屋に入ってもらう。
それに眠っている私が気づければ成功だ。
試しにやってみたが、最初はやはり上手くいかなかった。
協力してくれた侍女さんは、私の寝顔を確認してから、そっと部屋を出ていくので、朝になってから目覚めたら失敗したということだ。
くそう。朝日が恨めしい。
それでも何度も繰り返しているうちに感覚が研ぎ澄まされてくる。
眠りが浅くなっている時にちょうど侍女さんが来てくれれば、気付けるようになった。
そんな折、扉ではない場所で私の結界に触れた者がいることに気付いた。
「誰?!」
私が声を上げると、すぐにエリクさんとディオンさんが駆け込んでくる。
金属がぶつかり合う音が幾度か鳴り、やがてドサリと人が倒れる音がした。
ディオンさんが暗殺者をしとめたらしい。
「マリナ様、お怪我は?」
「大丈夫です。ありがとうございました。」
「私はアルバート殿下へ報告に行ってきます。」
そう言って、エリクさんは部屋を後にし、ディオンさんは倒れた暗殺者を運び出す準備をする。
ややして、アルバート殿下が慌てた様子でやってきた。
「マリナ!大丈夫か?!」
「こんなこともあろうかと、結界の練習をしていて正解でした。」
ニッコリとブイサインで私がそう返すと、殿下は一瞬ポカンとしたあと、クスクスと笑い出した。
「マリナは強いな。」
「これだけ最強のメンバーに囲まれていますから。」
そう言って、殿下、オリバーさん、エリクさん、ディオンさんを見渡す。
皆がいてくれるから、自分は大丈夫だと思えるのだ。
皆で微笑みあう。
やがて、暗殺者が運び出されて簡単な掃除も済むと、私は再び眠りについた。
良く眠れた私は、
(我ながら、図太くなったなぁ。)
と思いながら目を覚ました。
昨夜の暗殺者はこれから取り調べを行うらしい。
やはり私のお妃教育に反感を持つ貴族の差し金だろうか。
何はともあれ、私には調査の報告を待つことしかできないので、いつも通りに仕事へ向かう支度をしたのだった。
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