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2-10 金貨の6

それからは、本当に目が回るほどの忙しさだった。

午前中は出張依頼を受けてあちこちへと駆け回り、午後の仕事が終わったらヒーラー講義の準備をした。

やがてヒーラー希望者が集まると、その講義を開始した。

最初に集まった希望者は三人だ。

全員女性で、名前はエマ、アリア、リリィという。

私は仕事を早めに切り上げさせてもらい、彼女たちに講義をする。

最初は座学から始め、徐々に手技も練習していく。

普段とは違う指の使い方をするため、痛くなってしまうのだが、そのケアも教えていく。

ああ、ちなみに、テンプレ悪役令嬢を退散させる際に「指の骨が折れるかも」と言ったが、そんなことは起こらないので安心してほしい。

三人とも平民で、今のところ結婚のあてが無いらしい。

そこで、手に職をつけようと来てくれたようだ。

リフレクソロジーは、手しか使っていないように見えて、実は全身の筋肉を使う。

その為、三人とも毎回へとへとになるようだ。

しかし講義の内容は「褒めて伸ばす」ものなので、表情は明るくて楽しそうだ。

「マリナ先生、今日もありがとうございました。」

「無理はしなくて良いけど、できれば家でも練習してきてね。」

「はい!」

正直、私自身もへとへとではあるが、彼女たちが意欲的に取り組んでくれるので、私もやる気が出てくる。

そうして二か月が過ぎたころ、私は王立病院の部屋の改装を始めた。

これまでは一度に一人きりしかお客様をご案内できなかったが、これからは一度に四人のお客様を受け入れられるようにベッドを増やしたのだ。

そして、隣の人が気にならないように、ついたてを置いて互いに見えないように配慮する。

そんな改装が終わるころ、いよいよ最終試験として、私の足に施術(せじゅつ)をしてもらうことにした。

「それじゃあ、私をお客様だと思って、ご案内するところからやりましょう。」

「はい!」

「みんな緊張しているみたいだけど、いたわりの心と笑顔を忘れずにね。」

「はい!」

こうして、三人それぞれの施術を体験してみて、結果をそれぞれに伝えた。

「まずはエマさん。施術は問題ないわ。とても気持ちよくて、眠るのを我慢するのが大変だったわ。でも、それ以外の話し方や動き方が、少し早いから、もっとゆったりとした言動を心がけると、もっと良くなると思うわ。」

「分かりました。ありがとうございます。」

「次にアリアさん。ご案内も丁寧でリラックスできたわ。ただ、点で押す時にもっとゆっくり圧を加えた方がより良いわね。お客様の表情を見ながら、もっと時間をかけて圧を加えてみて。」

「はい。わかりました。」

「最後にリリィさん。一か所だけ、手が足から離れちゃったの、気付いてたよね?」

「あ、はい・・・。」

「一度施術を始めたら、終わるまで足から手を離さない。これだけできれば、後は完ぺきだったわ。頑張って!」

「はい!」

一人一人にアドバイスをした後、一呼吸おいて私は言った。

「以上、全員合格!!」

「え・・・?本当ですか?!」

「やった!」

「嬉しい!!」

私の合格の言葉を聞いて、三人ともはしゃぎだす。

「ちょうど明日は王立病院が休みの日だから、明後日から働いてもらいたいのだけど、良いかな?」

「はい!」

「大丈夫です!」

三人ともに了承をもらえたので、病院長のコンスタンさんやアルバート殿下とオリバーさんに報告する。

この三か月弱、本当に大変だったけど、これからは四人でできる。

これで一気に私も楽になるだろうし、次は何をしようかとワクワクするのだった。

ありがとうございました。

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