1-18 節制
連続投稿祭り 二日目の四本目です。
後日。
オリバーさんが言っていた通り、お給金をいただいた。
お客様の笑顔に衣食住、そのうえお金までいただけるなんて、私は幸せ者だ。
金額が多いのか少ないのかは、この国の物価を知らない私にはわからないので、聞かないでもらえるとありがたい。
早速私は、オリバーさんに聞いた守り石のお店へと足を運んだ。
今日の外出は私とエリクさんとディオンさんの三人だ。
お店に入ると、石を使った様々な商品が所狭しと並べられていた。
ブローチやネックレス、イヤリングや指輪などのアクセサリーはもちろん、置物などのインテリア、加工前の原石も販売されているらしい。
「いらっしゃい。どんな物をお探しだい?」
品数が豊富過ぎて迷っていると、店員らしきおばさんが話しかけてくれた。
「あの、頂き物のお礼に、健康を願う守り石をプレゼントしたくて探しているのですが、ありますか?」
「プレゼントの相手は男性かい?」
「はい、そうです。」
そう答えると、店員さんはいくつか商品をお勧めしてくれた。
私はその中から、一つのペンダントを選んだ。
カイヤナイトという青い石を使ったものだ。
シンプルなデザインで、男性が身に着けていても違和感がない。
パワーストーンや宝石も元いた世界と似通っているらしく、わかりやすかった。
本来なら、王太子へのプレゼントなのだから、豪華な宝石がたくさん使われているものが良いのだろうが、わずかな期間分の私の給金ではこれが限界だったので、よしとしよう。
店員さんにプレゼント用にラッピングもしてもらい、代金を支払って店を後にする。
次の悩みは、どんな顔してこれを渡すかだなぁ・・・。
そんなことを考えながら、王城へと帰った。
自分の部屋まで戻ってきた私は、お茶の用意をしてくれたアニエスさんに相談する。
「先日のワンピースのお礼の品を買ってきたのですが、どうやって殿下に渡したら良いと思います?」
もしかしたら、この国の貴族の間でのルールとかあるかもしれないと思って尋ねてみる。
するとアニエスさんはニッコリ笑って答えてくれた。
「特に決まりはございませんので、マリナ様が良いと思う方法でお渡しになられれば大丈夫ですわ。」
「決まりは無いんですね。どうしようかな・・・。」
あーでもない、こーでもないと無駄に悩んでしまう。
考えてみれば男性への贈り物なんてこれが初めてだ。
執務室に突撃してさっと渡して帰る?
いやいや、情緒なさすぎでしょ!
夜中にそっと枕元に置いておく?
って、私はサンタクロースじゃない!
うーん、うーんと一人悩みまくる私を、アニエスさんが微笑ましく見ていたのだった。
ありがとうございました。
「五本目も読むよ!」「面白かった!」という方は、ぜひ下の「☆☆☆☆☆」から評価をお願いします。
もちろん、つまらなかった方は☆1つでもOKです。
また、ブックマーク登録もしていただけると、すっごく嬉しいです!
連続投稿祭りの詳細は、12/24の活動報告をご覧ください。