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1-13 金貨の4

連続投稿祭り 一日目の四本目です。

昼食を食べ終わり、再び街を散策することとなった。

私としては、あとはアロマが欲しいなーと思いながら店を探す。

そこでふと、化粧品店が目に留まった。

そういえば、香水はこの世界にもあるようで、ドレスを着た時にはアニエスさんが私にもつけてくれた。

それなら、アロマオイルに似たものもあるかもしれないと思い、立ち寄ってみることにした。

だが残念ながら、店頭に並んでいるのはすでに調合された香水ばかりだった。

「あの、香水の材料って、どんな物なんですか?」

お店の店員さんに聞いてみる。

「はい。花などから香りのもとを抽出して使用しております。」

「その香りのもとって購入できますか?自分で好きな香りを作ってみたいんですけど・・・。」

「それでしたら、薬屋へ行っていただければ、購入できると思いますよ。」

薬屋!

なんと、この世界ではアロマは薬認定なのか。

とはいえ、どうやら手に入れることが出来そうなのでホッとした。

私たちは店員さんにお礼を言って、薬屋へと向かうことにした。

薬屋に入ると、色々な薬の香りに包まれた。

「いらっしゃい。何をお探しだい?」

店主らしきおばあさんが尋ねてくる。

「香水の材料になるような、香りのもとを見せていただけますか?」

そう答えると、おばあさんが店内の一角を指し示した。

「その棚のものが材料だ。」

示された棚を見に行くと、小さな薬ビンに液体が入ったものが何種類も置かれていた。

それぞれのビンに札が付けられていたので見てみる。

ラベンダー、ミント、ローズマリー、ジュニパー、レモングラス・・・その他色々。

どうやら私の世界にあったアロマとほぼ同じらしく、安堵した。

私は数種類セレクトすると、殿下にお願いして購入してもらった。


とりあえず現時点で欲しいと思っていたものを買いそろえた私は、ふと気になったことを殿下に尋ねた。

「アルバート殿下は視察だとおっしゃっていましたが、見ておく場所はありますか?」

「マリナはもう良いのか?」

「はい。とりあえず今日買いたかったものは全て揃いました。」

「なら、今度は俺に付き合ってもらえるか?」

「もちろんです。」

私の答えを聞いて、殿下が歩き出す。

向かった先は、一軒の服屋だった。

庶民用ではなく、貴族用の雰囲気だ。

私的には敷居が高い感じがするその店に、殿下は迷いなく入っていく。

「これはこれはアルバート殿下。いらっしゃいませ。お呼びいただければいつでも王城へ参りますのに。」

出迎えてくれたのは、店主らしき紳士だった。

庶民向けの店の人とは違い、殿下の顔を知っているようだ。

「視察の為に街に出たんだ。気にしなくていい。それより、彼女に服を見繕(みつくろ)ってくれるか。」

はい?!

殿下の言葉に耳を疑った。

ここには女性は私一人だ。

つまりは私の服を買うというのか?

「あの、殿下?服なら必要な分をもう揃えていただいてますよ?」

そうなのだ。

王城の私の部屋のクローゼットには、すでに色々なドレスやワンピースが揃っている。

ドレスがかさばるので、ウォークインクローゼットのレベルで用意されているのだ。

「あれは侍女たちが急遽準備したものだ。俺が贈ったものを着てほしいのだが、嫌だろうか?」

眉を下げて、どこか懇願するように言われてしまうと、断りづらい。

「嫌ではありませんが、いただくだけなんて・・・。私からは何もお返しができません。」

「俺が着てほしいんだ。気にしなくていい。」

何とか高価なドレスは断ったものの、結局ワンピースを仕立てるということで押し切られてしまった。

この店は完全オーダーメイドの店らしく、奥で女性店員さんに採寸された。

採寸している間に、デザインも殿下の希望を取り入れて決定されたらしく、完成したら王城に届けられることになった。

「あの、殿下。視察って・・・。」

やっぱりそこを突っ込みたくて聞いてみたところ、こんな答えが返ってきた。

「街を歩きながら、市場の価格状況や治安の確認をしていたから問題ない。」

「あ、なるほど。そうなんですね。」

たしかに、物価や治安は政治にかかわる大事なことだ。

どうやら殿下は私の買い物に付き合いつつも、それをチェックしていたらしい。

なんて器用なことか。

こうして、ワクワクとドキドキの日曜日が過ぎていった。


ありがとうございました。

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連続投稿祭りの詳細は、12/24の活動報告をご覧ください。

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