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16 女騎士といっしょに、飛んじゃいました

 『運び屋アイロス』はいままで俺とアイリスのふたりで切り盛りしていた。

 俺が主に配送を担当し、アイリスは受付や事務作業をやっていた。


 しかしお姫様と乳母と女騎士が手伝ってくれるようになり、俺の仕事場は一気に華やかになった。

 ラブラインとナニーナがデスクワークを引き受けてくれたので、他のメンバーは配送に専念できるようになる。


 レディバグは「なぜ誇り高き騎士である俺が、荷物運びなど……」とブツクサ言っていたが、重い荷物を持って走り回るのはよい鍛錬になると気付いたようだ。


 ラブラインとナニーナの看板娘コンビの噂はたちまち広まった。

 もちろんラブラインがこの国のお姫様であることには誰も気付いていない。


 対外的にはラブラインとナニーナは姉妹ということになっていて、いいとこのお嬢様が社会勉強に来ているという設定になっている。

 ラブラインは偽名として『ラブマニティ』と名乗っていた。


「いらっしゃいませ、『運び屋アイロス』へようこそ。お荷物のご用命ですか?

 わたしはスカイ様のお嫁さんになりたいラブマニティと申します。

 今朝はスカイ様のトーストにジャムを塗らせていただきました。

 ご不浄にはまだご一緒させていただけませんが、がんばりたいと思います」


「そうなんですよお客様、ラブラマニティちゃんは一生懸命がんばっているのよね。

 お客さんもぜひ応援してあげてくださいね」


「はい、お姉ちゃん! お客様の応援があると、わたくしはもっともっとがんばれそうです!」


 荷物を出そうと持ち込んだ客たちは、いきなり妙な世間話をブッ込んでくる姉妹に最初は戸惑うものの……。

 その浮世離れした美しさと、幻想的ともいえるほのぼの感に、次々とファンになっていく。


 おかげで近隣の住民たちのほとんどは『運び屋アイロス』を利用するようになってくれた。


 そんなある日のこと。

 事務所に荷物を取りに戻った俺を、レディバグが呼び止めた。


「おい、スカイ、ちょっと待て!」


「なんだ?」


「これから俺といっしょにコロシアムに行くぞ」


「なんだ、デカイ荷物の配達か? なら俺が行ってやるよ」


「そうじゃない、試合があるんだ」


 レディバグは武者修行の一環として、コロシアムの剣闘士として選手登録をしている。

 この前のフロッグとの戦いに勝利して、次なるマッチメイクがなされたらしい。


 しかも前回の勝利には俺も加担したことになっているらしく、俺までペアとして選手登録されているそうだ。


「次の戦いは大規模戦で、俺とスカイが指揮官として登録されているんだ。

 だからどうしても行かなきゃならん」


 これは後で知ったことなんだが、俺がフロッグを埋没させた一撃が観客には大好評だったらしい。

 コロシアムの興業主たちはなんとかして俺を再び戦わせようと、無理やりな理屈を付けて俺を選手登録したうえにマッチメイクしていたようだ。


 しかしそんな裏事情など知らない俺は、声を荒げた。


「なんだって!? なんでそんな大事なことをもっと早く言わないんだよ!?

 それに俺は、剣闘なんてやったことないぞ!」


「忘れてたんだ。というか、今頃はもう試合が始まっているはずだから、急いで行こう。

 大丈夫、この俺が守ってやるから」


 レディバグは男みたいな口調で性格も大雑把だが、まさかここまでとは思わなかった。

 ほっといても良かったんだが、対戦相手がハイランダー一族の『神使い』と聞いてそうもいかなくなった。


 『神使い』というの捕獲した神、すなわち魔物を飼い慣らし、使役させる者たちのこと。

 ハイランダー一族は『神狩り』だけでなく『神使い』がいることでも有名なんだ。


 フロッグを倒したことで格上の『神使い』が出てきたのであれば、俺にも少しばかり責任がある。


「よし、じゃあ行くぞ」


「なんだ、対戦相手を聞いたら急にやる気を出したな。……って、なにをしてるんだ?」


 俺にはまだ配達が残っているので、一刻も早く片付けるべく、レディバグをお姫様抱っこする。


「時間がもったいないからジャンプで直接コロシアムまで行くんだよ。

 もう試合が始まってるのなら、そのまま参戦だ」


「ほぅ、この俺を担いで飛び上がろうっていうのか。面白い、できるもんならやって……」


 ……どばひゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーんっ!!


「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?!?」

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