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08話 彼は少女の思いを受け継ぐ

俺は今この国のゲートの前で仁王立ちをして待っている。

もう直ぐでミドル率いる魔物の軍団が攻め入って来ると、偵察部隊から情報を

齎されたためだ。

 今回の戦いでは俺が考えた秘策が通用するか否か。

其れが勝敗を分けることとなる。


「来たぞ!」


 俺の後ろにいる軍隊の兵士の一人が叫ぶ。

前から途轍もなく多い魔物の軍団が、馬のような魔物に乗って着々と此方に近づいて

来ていた。

 敵軍の兵士の数は情報でも聞いた通り、目測で約一万人。

戦うのが面倒に思いつつ俺はスキルを発動させた。


「スキル『絶対反射』、『創造現送』」


 絶対反射で目の前に結界を作り、これによって俺に来た攻撃は全て跳ね返せる。

次に創造現象で背中に羽を作り空を飛ぶ。

 上からの攻撃ならば、地上と違い見渡しが良い為、多少優位に立てると

考えたからだ。


「レティーナ。 補佐は頼むぞ」


「任せて頂戴」


 俺は戦闘経験が浅く、相手の将軍であるミドルと比べると遥かに劣る。

なので、此処はナビゲーターのレティーナから敵の情報などを聞きつつ、

戦ったほうが多少勝算の確立はあがる。


「やぁやぁ、皆さんどうも。」


 俺はそういうと創造現送で魔物約一万をドーム上の

檻の中に入れる。敵軍のミドルは驚いた顔を浮かべるということは無く

ただ、冷静に此方を観察していた。


「やぁミドル君。 俺はこの世界では知られていないスキルを持っている。

 さてその計算能力だけで俺に勝てるのかな?」


 今回の俺の秘策。

其れは、俺のこの独特なスキルたちである。

 ミドルは計算能力に凄く優れており、相手の動きを完璧に読んでくる。

しかし、其れはミドルの知識内での攻撃に対しての計算だ。

実際、国王が持ってきたデータを見てみたが、ミドルに対して使われた

スキルは全て、誰でもその効果などを知っているようなものであった。


「つまり、この世界では珍しい俺のスキルはお前の知識外。

 お前は俺の動きなど読めないのさ」


 そう言い以って俺はミドルに襲い掛かる。

創造現送でミドルの手足を泥の姿をした粘着性の高い物質で動けないようし、

其処に創造現送で出した剣で奴の首筋へと一気に剣を押し込む。

 案外あっさり終わったなと誰もが勝利を確信していた。

がしかし、其れは適わなかったのだ。


「成る程。 聞いていた通りの常識はずれなスキルだな」


 ミドルはそういうと俺の剣をよける。

何故だ?あいつの手足の動きは封じたはず。

良く見るとミドルは手足に小さな結界を張っており、俺の攻撃を

防いでいたのだ。


なんという計算能力。 いや其れよりも……


 俺はこのとき初めて国王に騙されたのだと気づく。

ミドルがこちら側の攻撃を防いだ時点で、俺のスキルの内容とかは全てばれている事となる。それに加え、今回俺のスキルを知っているものは国王一人。

理由は何でか分からないが、俺は国王の罠に嵌められたのだ。


「実に哀れなやつだな」


 ミドルが哀れみの目俺の顔を見る。


「お前は騙されたんだよ。 本来国一つ滅ぼすなんて俺一人で十分だ。

 なら、何故こんな大群で攻め入ったんだと思う?」


「そんなの知るかよ」


「答えは簡単だ。 強力な力を有したお前を殺すように国王に命じられたからだ。

 俺一人でも十分だと思ったが一応一万二千の兵を連れてきて正解だった」


 ミドルの言葉に俺は息が詰まる。

国王が俺のスキルの事をミドルに流していたのだとすると、俺の勝ち目は

ほぼ0に等しい、

 しかも国王の裏切り。今思えば、次期国王を決める国民投票でミドルを倒した俺に票が集中するから予め、倒したらその国王の座を譲るという件。

 もし。其れが本当だったなら、何故契約書を書くときに少々躊躇っていた?

考えれば分かる事じゃないか。


「では次は此方から生かせて貰うぞ。 『スキル破壊』、『慈悲の塊』」


 ミドルのスキル破壊で俺が絶対反射で作っていた結界が壊れる。

其処に慈悲の塊という青い球体状の球が的確に俺の胸を貫いた。


「く・・・そ」


 俺は薄れ行く意識の中ミドルのほうに目をやる。

ミドルは、俺のスキルで檻に入れられていた魔物たちを

スキル破壊で開放し、奴らに指示を出す。


「国王も哀れな奴よ。 俺らは只今よりカサリタン王国を滅ぼす事に決定する」


 そのミドルの言葉とともに、魔物の軍隊は王国へと進軍したのだ。

俺は消え行く意識の中で最愛の人を思い浮かべる。


『なぁ稟。 お兄ちゃん今度こそお前のところに行けるぞ』

 物凄く眠たい。

その強烈な睡魔によって意識を手放すのは時間の問題であった。


「ちょっと大丈夫なの!?」


 耳元で大きな声を上げるレティーナの声が聞こえる。

俺は彼女に返す言葉を口に出そうとしたが、最早其れが適わない位に

俺の体は衰弱しきっていた。


「私ね、あんたが初めてだったのよ。 他の冒険者はね、私に見切りをつけてて

 直ぐに私のナビゲートを断るの」


「私があんたを目にしたとき、あぁ、またナビゲート断れるんだろうなと思っていた。

 けどあんたは他のものとは違ったわ。 こんな役に立つかも分からない

 私のナビゲートを断る事は無かった」


 当たり前だ。

彼女もこの世界に来てから俺に親切にしてくれた人の一人なのだ。

そんな彼女のナビゲートを断れるほど俺は悪ではない。


「だからね。 私のナビゲートはここでお終いよ。

 あんたが死んだらナビゲートがいても意味が無いじゃない」


 そういうとレティーナはその小さな手を合わせ、なにやら呪文を

唱える。すると俺の周りに魔方陣が現れ、あたりがまぶしい光で

覆われる。


『今までありがとうね。 絶対ミドルを倒すのよ!』


 彼女はその言葉を最後に、発光で目の前が白一点になる中、

俺の体へと溶け込んだ。

 その刹那今まで朦朧としていた意識が覚醒しだし、体の傷も

すぐさま治癒されていく。俺は何が起こったか分からないなか、

一つの事には気づいていた。

 彼女は俺のためにその命を捧げたのだ。

俺はミドルのほうへと全速力で創造現送で作った羽で飛んだのだった。

彼女の最後の言葉。ミドルを倒すという願いを叶えるために・・・・・



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その日、世界で初めて人間が天使族へと進化した。

しかし、その事に気づいたのは神や同属のものたちであり、

彼の周りのものや彼自身、その事にはまだ気づいていない。

今回主人公が進化するというお話でした。

一応今回は自覚していた文章力の無さを意識しながら書きました。

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