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自身の記念パーティの帰りだというのに、当の本人は浮かない足取りでコンクリート上を慣れない靴で歩く。夕暮れの街は、段々とビルの姿を隠していくだけでなく、人の卑しさや欲望といった秘密も隠してしまうのだろう。だから心を穏やかにさせるのではないか。
その後、あの被害者の男はどうなったのか貞夫には分からない。新聞やニュースにも何も、それらしい事件は載っていなかった。徳しまとも、連絡はとっていない。
ふと、貞夫はレンタルショップに寄った。足が向いた先は、18禁と書いてある暖簾である。人気のないレンタルショップ内には、人が全くと言っていいほどいなかった。この店自体が古く、人を寄せ付けないようであった。
――青春時代を思い出したいんだ。
しまの純粋そうな笑顔が頭に過ぎる。
棚の中には、どれも男の欲情を掻き立てるような、馬鹿げたタイトル達が並んでいる。貞夫は何となく、スナップ映像や、過激な作品が並んでいるような棚を探した。
すると、そこには、しまとの青春時代に観た紫の傘の美少女があった。それをゆっくり手に、中身を取ろうとした。しかし、貞夫の手はそこで止まった。そっと、中身を戻すと、隣のタイトルのDVDを手に取った。
『発禁R21!本物の殺人映像!?』
後ろの表紙を見た時、貞夫はフラッシュバックした。
ビデオの前で、笑を浮かびながら撮る旧友の姿。口内が赤い液体で染まっている見知らぬサラリーマンの悲鳴と、それを眺めている残酷な執行人。
貞夫は、そっとそのDVDを棚に戻した。そして何も借りぬまま店を後にした。
帰り道に、自転車を漕ぐ色褪せた黒のランドセルを背負った2人組の男子が、貞夫の横を通り過ぎる。
「おい、新しいDVD手に入れたから俺んちで見ようぜ」
と、甲高い声の少年は言った。
「どんなの?」
「本当に人を殺してる映像なんだってさ!」
「へぇ、早く見たいな」




